2022/01/13

米国金融政策とオミクロン株

 年末年始は久しぶりに家族で横浜で過ごすことができた。

そして1月5日から妻と一時帰国中の息子と3人で早朝便で鹿児島に。個人的に歴史とおいしい料理と酒がある鹿児島は大好きな街である。鹿児島空港到着後、朝からレンタカーで鹿児島市内と桜島と温泉、翌日は知覧特攻会館と武家屋敷を観光し、霧島神社を経由してレンタカー返却のため空港方面に向かっていると、東京の雪で着陸不能となり羽田便が欠航となった。仕方なくレンタカーを延長し、霧島にホテルを予約。

霧島温泉と鹿児島の郷土料理を満喫して、翌日の午前便で帰ることに。結果的に2泊3日の楽しい旅であったが、羽田空港から予想外の事態が待っていた。雪は殆ど溶けていたように見えたが、首都高速の入口は殆ど閉鎖され、羽田周辺は前日からのマヒ状態は解消されておらず大渋滞、大混乱となっていた。

結局、羽田空港から自宅まで車で通常30分のところ4時間超もかかった。急用があった妻と息子は車から降りて電車で帰宅。私は一人閉じ込められた車内であらためて思った。

『桜島と共存する鹿児島と比べて、東京は、なんと脆弱な都市なんだろう。将来は都会を離れて地方でのんびり暮らしたい』と。大渋滞による疲労で霧島温泉の効能も吹っ飛んでしまったような気がするが、私の新年はそんなスタートであった。

さて2022年のマーケットは、どうなるのだろう?

現在進行しているオミクロン株の世界的な感染拡大も懸念材料であるが、個人的には、アメリカの金融政策により注目せざるを得ない。

FRBは3月にテーパリング(量的緩和縮小)を終了し、6月に利上げに踏み切る可能性が高くなってきた。いや、もしかすると3月の利上げの可能性も否定できない。年内3回もしくは4回とのタカ派的な利上げ予想もあり、パウエル議長は、今後のインフレ動向を注視しながら、マーケットと対話しつつ最適な利上げのタイミングを模索していくことになりそうだ。

よって2022年前半のマーケットは、FRBの金融政策を見ながら神経質な展開が予想されることは間違いないのだが、このようにマーケットの上値が重い状況においては、インデックスファンドよりもアクティブファンド(もちろん良質なファンド)が安全であると考える。マーケットが悪い時にどれくらい下値抵抗力を発揮するか?これがファンドの価値であり、ポートフォリオマネージャーの銘柄選択(目利き)がより重要となるだろう。

似たような例を挙げるならば、高度成長期には経済全体のパイが大きくなったため、大した企業でなくとも利益を上げることが出来た。しかし成熟時代となり経済のパイが大きくならない世界では、強い企業と弱い企業の格差はより大きくなる。近年において典型的な例が、GAFAMやテスラ、ネットフリックスに代表される米国テック企業の巨大化であるが、今後も成熟期において強い企業はますます強くなり、弱い企業との格差はより広がっていく可能性が高い。世界では次なるアマゾンやテスラが出てくることは確実で、そのような成長企業を発掘してくれる運用会社を選別していくことが大切である。

格差拡大は企業だけでなく個人や国家にも言えることである。個人も組織も国家にも調子がいい時と悪い時がある。ずっと順風満帆なんてことはありえない。よって悪い時、ピンチにおいて、どのように対処するかが重要であり、その人や組織あるいは国家の価値が試される時なのだ。

2022年の中頃にはアメリカの利上げの方向がはっきりしてくると思うが、アメリカが適切なタイミングで利上げし、オミクロン株を含めたコロナの収束が進むようであれば世界の株式市場は、回復基調に戻ってくる可能性が高いと考えている。

今年は、北京オリンピック、参議院選挙、アメリカの中間選挙などのイベントを控えているが、あまりこれらのイベントはマーケットに影響はないだろう。やはり米国の金融政策とオミクロン株への各国の対応を含めたコロナの動向がマーケット全体に影響を与えそうである。


2021/12/28

アメリカ一人勝ちの要因

今年もあと僅かとなった。 

岸田首相のオミクロンの極端な水際対策や受験生への対応を見てると、想像力が欠如していて正直なところ危ない感じがする。いつまで日本は鎖国を続けるつもりなのだろう? 外国人の入国禁止で支持率が上がったようだが、ワクチンや治療薬、資源を含めて、海外に依存しているのに留学生を含めた外国人は全く受け入れないという姿勢は、いかがなものか。長期的に日本の国益を失っていると考えないのだろうか?アメリカは、無症状の国民を狭いホテルに隔離(人権侵害と思う。)などしないし、外国人である私の息子もアメリカ国民と同じルールで受け入れてくれる。

オミクロン感染が拡大するとアメリカ人であろうと外国人であろうと誰に対しても無料でワクチンを接種する機会を与えてくれる。 日本人は、政府や役人から命令されたことを忠実に守る人が多いが、彼らの指示は的外れで間違っていることが多い。公衆衛生の専門家といわれる人も正しいとは限らないし、盲目的に信用することはできない。

 日本の長期にわたる低迷は、大して能力もない政府や役人、仕事のできない上司から指示されたことに従順に従って、自分の頭で考えて行動する習慣がないことが要因ではないか。

 12月26日の日経電子版記事によると、『世界の株式市場で米国の一人勝ちが鮮明だ。12月24日時点の時価総額上位1000社を集計したところ、2008年の金融危機後で初めて5割を超え、社数でも最多となった。一方、日本企業は5%を割り込み、存在感の低下に歯止めがかからない。』とあった。

 アメリカの一人勝ち、日本企業の低迷の要因は、いろいろあると思うが個人的には、大学教育の違いが大きな要因と考えている。

 先週、アメリカの大学に留学する息子が一時帰国した。3日間狭いホテルでの強制隔離から自宅に戻った息子にアメリカの現状、大学や授業内容、教授、友人などボストンでの留学生活について詳しく聞いた。

 息子もそうであるが、アメリカの大学生はとても良く勉強する。勉強しないと単位が取れず、成績が悪い学生は容赦なく教授から他の大学への編入を強いられる。高い授業料を払ってもクビになるのである。実際に息子の友人らも授業についていけず編入する人も少なくないようだ。日本と違ってアメリカでは成績の悪い学生は、留年ではなく、リストラされる。だから死に物狂いで勉強する。 特に試験前は朝から晩まで食事をする時間も惜しんで勉強するため、息子も夏から5キロ体重が減っていた。

息子は試験中、さすがに深夜12時には寝るようであるが、ルームメートのアメリカ人は朝3時過ぎまで勉強しているらしい。それでもなかなか良い点が取れるわけではないらしい。 アメリカの大学生は、大学4年間で徹底的に鍛えられ、企業に入る時点で即戦力となる。アメリカの優良企業は、即戦力の学生しか雇わない。企業は、日本のような横並びの新入社員教育はやらない。入社してから育てるような非効率なことはしない。アメリカの企業は、学校の成績だけでなくその人の人物像、インターンの実績など多面的に評価して、会社に価値をもたらす可能性の高い人材のみ雇用する。

日本のような就活はなく、学生は企業に自分を売り込み興味のある企業にインターンのオファーをする。アメリカの学生は、勉強と並行して長期の夏休みを利用して積極的に企業にインターンする。勉強とインターンの両立が必要となるため、日本の大学のように簡単に卒業は出来ない。 講義は実践的で教授の質も高く、民間企業で実務経験のあるプロが指導する。

例えば息子の受講するファイナンスの授業は、ステートストリートやシティバンク、ヘッジファンドでプロとして運用経験のある教授が学生を指導するため、机上の勉強ではなく、実践的で面白いらしい。教授がアメリカの優良企業5社を提示し、学生は、少人数のグループに別れ、各チームは、5社から2社を選ぶ。息子のチームは、テスラとフォードを選び、それぞれの企業のビジネスを徹底的に調査比較して、どちらに投資するべきか議論し、意見を戦わせる。

 学生は、大学が保有するデータをクラウドからダウンロードすることが出来る。財務諸表や決算書、アナリストレポート、サプライチェーン、ESGスコアなど徹底的に企業を比較分析する。少人数のチームのメンバーで役割分担し、テスラとフォードのビジネスの違いを明らかにしていく。息子は、テスラとフォードのサプライチェーンを調べたようだが、各チームメンバーが調べた内容を議論し、最終的にどちらに投資するべきか決定し、皆の前でプレゼンをする。しかもプレゼンは本格的で学生は、ビジネススーツに着替えネクタイをして運用会社のアナリストのように教授や学生の前でプレゼンするようだ。 教授は、各チームのプレゼン内容を多面的に採点し、問題点を指摘する。

私は、息子のチームの分析とプレゼン内容を実際に見せてもらったが、正直なところ、そのレベルの高さに驚いた。そして、こんなレベルの高いことを大学生がやっているアメリカが強いことは当然なのかもしれないと感じた。 全体的に日本の大学生は、アメリカの学生と比べると勉強量が足りないと思う。息子と話していると私も当時の自分が恥ずかしくなる。 日本は、大学受験で疲弊して、大学に入ると勉強しない。多くの学生がアルバイトとサークルで必死になって勉強していない。当然親も同様だったから、子どもたちに勉強しろとは言えない。私も娘に勉強しろとは言えなかった(笑)

 学生のレベルも低ければ、当然であるが大学教授の質もアメリカと比べると低い。もちろん日本にも素晴らしい教授もいると思うが、少数だろう。日本の大学教授の多くが民間企業での実務経験もなければ成功体験もないから、大学における学びが社会で役立つ知識とリンクしていない。別物なのだ。講義は実践的でないし、今の変化の激しい世の中についていけてないから、大学が社会で真に役に立つ人材を育てることは困難である。そして必然的に企業に教育を任せることになる。日本でも社会人が専門領域について深く学ぶためビジネススクールに通っているが、アメリカの大学は、4年間でビジネススクール並みのことはやっている印象である。

 日本企業は、新入社員研修と称して入社してから横並びの人材を育てる。これでは、平均的なありきたりの人材しか育たない。当然であるが企業にとって即戦力ではなく、生産性は低い。アメリカ企業の強さは、アメリカの大学で鍛えられた個人の強さによるところが大きい。もちろんアメリカも格差があるし、日本にはないさまざまな問題を抱えているし、日本のほうがアメリカより素晴らしい面もある。しかし、これまで会ってきた多くの留学生やアメリカ人は、「アメリカで一番素晴らしい場所は、大学である。」ことを認める。アメリカの大学とアメリカ企業の強さは強く結びついていることは間違いないと思う。

2021/11/26

ラジオ出演しました!

先週、愛媛に出張後、土曜の朝からお客様と北条カントリークラブでゴルフをした。その後、南海放送のラジオ番組【友近ママの魔法の引き出し】の一コーナーにファイナンシャルアドバイザー中浜伸二としてゲスト出演させていただいた。番組の内容も良く分からないまま、ご縁と思い、オファーを引き受けてしまった(笑)

セミナーなどで人前で話す機会は多いほうであるが、ラジオの生放送は、初めてでなかなか面白い体験であった。芸人友近の母、友近ママの質問に私が答えるという形であるが、あっという間に15分が経過した。ファイナンシャルアドバイザーはどういう仕事なのか?どのような経緯でファイナンシャルアドバイザーになったのか?これまでの歩み、そして今後の夢について率直な気持ちをお話しし、とりあえず無難に終えることができた。

ラジオでお話ししたが、私の社会人生活30年は、苦難の道であった。私自身、どのように様々な厳しい局面を乗り越えてきたのか?正確には思い出せないが、逆境において結果的には諦めなかったこと、転職、独立してファイナンシャルアドバイザーという天職につくことが出来たことが一番大きかったと考えている。

投資の神様ウォーレン・バフェットは、『人生は雪玉(スノーボール)作りに似ている。大切なのは雪玉を作るに適した長い坂を見つけることさ』と言っている。

長い坂というのは、自分の仕事かもしれないし、趣味やライフワークなのかもしれない。人生において興味のある仕事や趣味、ライフワークを持っている人は、雪玉(スノーボール)が年々大きくなっていく。これはお金のことだけではなく、人間関係や信用などにも言えることである。


バフェットの長年のビジネスパートナーであるチャーリー・マンガーは、世界を代表する投資の賢人である。97歳にして現役の投資家であるが、彼の言葉を私はいつも心に刻んでいる。

『投資は簡単ではない。簡単だと思うのは愚か者である。』

若い時から現在まで70年以上、世界の第一線で投資に真剣に向き合っているチャーリー・マンガーの言葉は非常に重いものである。

一方、多くの人が投資をゲームや金儲け、ギャンブルのように考えており、安易に株を売ったり買ったりしている。またネット上の情報をもとに流行りの投資信託を買っている。そんなやり方で成功するほど投資は簡単ではない。

だからこそ私たちファイナンシャルアドバイザーの存在価値があると考えている。本当に価値ある情報はネット上に出てこないのだが、多くの人が安易にネットに溢れる情報を信用してしまうのだ。特にマーケット環境が良い時は、問題は顕在化しないこともあるが、長期的には自己流の投資は勝つ見込みのないゲームと考えるべきである。

長期投資は、簡単ではない。投資家もアドバイザーもチャーリー・マンガーの言葉を真摯に受け止め、謙虚であるべきである。

2021/10/25

お金と豊かな人生

先週木曜日から千葉に宿泊し、ZOZOチャンピオンシップを4日間観戦した。自称プロギャラリーの私は、4日間で11万歩歩いた努力が報われたのか、松山英樹選手のPGA7勝目をまじかで見ることができた。松山は、大谷と並んで今、世界で最も輝いている日本人だろう。世界の第一線で活躍する若き日本人が出てきたことは、本当に素晴らしい。真のプロフェッショナル松山英樹の発するオーラを感じ、自分もまだまだ本業で頑張らねばと決意を新たにした4日間であった。


さて、資産運用アドバイスを始めて、約15年。素晴らしいお客様に恵まれ、また長期投資による複利効果で当社の預かり残高は、大きく成長した。当社はファイナンシャルアドバイザー2名体制であるが、私の知りうる限りではファイナンシャルアドバイザー(IFA)1人当たりのお客様の預かり残高(投資信託)は、日本一になったと考えている。もちろん、まだまだ成長途上であり、これに満足することなく、今後もより気を引き締めて、世界一のサービスを目指してお客様の資産運用管理に貢献したい。日本一ではなく、目指すは世界一である。

当社の戦略は、むやみにお客様を増やして規模を追求するのではなく、資産や年収、職業、立場にかかわらず、本当に尊敬できるお客様を全力でサポートすることである。当然であるがお客様の大切な資産の規模は大きくなり責任やプレッシャーも、年々大きくなってきた。しかし特にマーケットは、コントロール不能であり未来は、不確実である。私のやるべきこと、できることは、長期投資を成功させるために必要なことを淡々と実行するのみである。

ところで、ある時期から当社は営業活動や宣伝広告を全く行っていない。ありがたいことに既存のお客様からのご紹介によって自然な形で毎月、お客様が増えている。むしろ最近は、少し心苦しいのだが、ご紹介いただいたお客様とお話をして、こちらからアドバイスの提供をお断りさせていただくケースのほうが多くなってきた。お断りをした方にお叱りをいただくこともあるし、呆気にとられる方もいる。

しかし、お客様にファイナンシャルアドバイザーを選ぶ権利があるように、当社にもお客様を選ぶ権利があると考えている。当社は、お客さまを選ぶにあたって、当社の長期投資の考え方を理解してくださる方、時間や約束、基本的なマナーを守ってくださるかどうかを重視している。なぜならば、それらがない人は長期投資はうまくいかないからである。

もちろん創業当初からそうしていたわけではなく、15年間お客さまをサポートさせていただいた経験から、さまざまな失敗もした上で今に至っているのだ。いいお客様に長期的にしっかりとしたサポートをすることが当社の生命線である。そう確信してから、お客様を選ぶようになった。

日本では、昔からお金を預けるお客様が偉くて証券会社の営業マンは、自分の数字を稼ぐため、お金を預けるお客に過剰に気を使っていたように思う。嫌なお客でもお金を預けてくれるから我慢しているのだ。きっと今もそうだろう。当社のスタンスは、お客様とアドバイザーはあくまでも対等な関係である。よって上から目線の方や、長期投資の考え方を理解できない方、時間や約束を守らない方は、ご紹介いただいたとしてもお断りさせていただいている。

そのような方をお客様にすると、その方々に時間や労力を取られ、結果的にいいお客様にサービスする時間を奪われ、ご迷惑をかけてしまうことになる。だから1億円を預けたいという上から目線の方は何度もお断りしてきた。それは当社のお客様のためであり、当社の未来のためである。当社は資産運用アドバイスをしているが、お金ではなく、その人を見ている。お金は大切であるが、お金があれば豊かな人生を送れるというわけでもないこと、お金持ちが偉いわけではないことを私は多くの人を見て学んだ。いくらお金を持っていたとしても、尊敬できない人はたくさんいる。逆もしかりである。

ZOZOチャンピオンシップにおいても、いいギャラリーと悪いギャラリーがいたが、私自身もサービスを受ける場合において、いいお客様になりたいと考えている。

今後もマーケットは、いつもいい時ばかりではないと思うが、それらを乗り越えて、お客様とWin-Winの関係になることが、私たちの目標である。

2021/09/13

9.11から20年、今思うこと


 2001年9月11日、世界同時多発テロ事件から20年が経過した。早いもので2001年1月生まれの息子は、現在ボストンに留学中の20歳である。私自身は、あの日2001年9月11日の夜、ワールドトレードセンターに旅客機が衝突した瞬間、横浜鶴見の屋台で一人で飲んでいた。隣の酔っ払いのおやじが、『お前こんなとこで飲んでる場合じゃないぞ。アメリカが大変だ!』とからんできた。この酔っ払いのおやじ、何言ってるのかと思いながら帰宅すると、妻が『アメリカが大変なことに!』と。ニューヨークの悪夢の光景に酔いがさめ、深夜までテレビにくぎ付けになったことを思い出す。

9.11あの日以来、世界は変わった。米ソ冷戦は終わったが、世界はテロの脅威にさらされることになったのだ。

この9.11のテロ事件に加え、2000年初頭のITバブル崩壊、2003年のイラク戦争とつながる流れは、21世紀の幕開けに暗い影を落としたのであった。冷戦以降、唯一の超大国であったアメリカは、2008年9月のリーマンショック以降、しだいに衰えていく。アメリカだけではなく、金融危機の影響は世界に拡大し、欧州債務危機によって欧州経済も体力を失っていった。これまで世界の中心であった米欧先進国の力は衰え、世界経済の成長のエンジンは中国を筆頭とする新興国に軸足を移している。中国を筆頭にグローバルリズムは拡大の一途をたどるようにも見えたが、先進国における経済停滞は長期化し、格差はしだいに拡大し、中産階級からこぼれた人々の批判の矛先はグローバリズムそのものに向けられた。

アメリカでは格差拡大の批判票(中高年の白人低所得者層など)を受け皿にトランプ政権が誕生し、欧州でもイギリスのEU離脱、ブレグジットという歴史的大事件につながった。

米中摩擦は激化し、米中による新たな冷戦が勃発。まさにグローバリズムが終焉を迎えようとしている最中の2020年、武漢を震源地としたパンデミックが世界を襲った。

先進国においては歴史に類を見ないスピードでワクチン接種が進んでいるものの未だ、新興国や途上国においては厳しい状況が続いており、世界はコロナに打ち勝ったといえる状況とは程遠い。このコロナショックによる影響は、まだはっきりしないが、世界は大きく変わっていくことは間違いない。

アメリカのアフガニスタン撤退は、アメリカは自国のことに精いっぱいでもはや世界の紛争に関与する余裕はないことの象徴である。2000年初頭からこの20年で急速に力をつけてきた中国と対峙することに資源を集中するために、アフガニスタンから撤退せざるを得なかったのだろう。

さてデルタ株の感染拡大により、まだまだ世界経済は大変であるが、2020年3月20日を底にマーケットは堅調に推移している。良くも悪くも、世界は今回のパンデミックが2008年のような金融危機につながってはいけないという信念のもと、各国中央銀行による金融緩和(量的緩和)と各国政府による巨額の財政出動を進めてきた。結果的に金融市場はリーマンショック時と対照的に落ち着いており、一部には量的緩和マネーによるバブル懸念も指摘されているものの、多くの企業が業績を伴う株価上昇であり、バブルといえる状況ではない。

未熟な投資家は、コロナでビックリして資産を売却したが賢明な長期投資家はしっかりとリターンを獲得している。

最近は、企業業績よりもアメリカの中央銀行FRBによる量的緩和縮小(テーパリング)の時期に注目が集まり、マーケットは金融引き締めによる金利上昇リスクを注視している。パウエル議長は、マーケットと経済と対話しながら、職人芸のような難しいかじ取りが必要とされるだろう。出口戦略は難しくなることは間違いない。アメリカだけではなく、全く出口すら議論されない黒田日銀の金融政策も大きな頭痛の種である。総裁選に出馬する政治家らの発言を聞いていると彼ら彼女らは全く経済、マーケットのことをわかっていないようだ。これまでもそうであるが、分かっていない人たちが意思決定することも大きなリスクとなるだろう。

未来は不確実で誰にもわからない。しかし、一つだけ言えることは、世界を良い方向に変える価値ある企業の株価は今後も上がっていくということである。世界経済が悪化しようと低成長であろうと価値ある企業は成長する。もちろんその価値ある企業を支えるのは価値ある人である。2030年に向けて、ますます世界は激変する。その変化に柔軟に対応し、世界に価値をもたらす企業を見極めていくことが、今後の長期投資における大きな課題だと考えている。

2021/07/11

個の時代

 東京オリンピックが無観客となったが、この決定には、率直に驚いた。意思決定のプロセスも含めセンスのない判断に日本の未来は明るくないことを確信した。

コロナ禍における政府や東京都含め地方の首長らの場当たり的な対応には呆れを通り越して哀れみさえ感じている。ただただ情けないとしか言いようがない。私自身、国民の義務は果たしたいが、この国の政治家や役人とは、できる限りかかわりをもちたくないと感じる。

オリンピック大会関係者や日本選手含め世界から参加する選手は、どのような気持ちなのだろう?ワクチン接種の遅れも、オリンピックを無観客にしたことも愚かな政治家らの責任である。みんなのいう事を聞いて、その場の感情に流されて中途半端な判断をするような政治は最悪であり、極めて危険である。

コロナとオリンピックで日本の愚かな政治が露呈したわけであるが、世界における日本の地位は、想像以上に低下しているのだろう。急速な高齢化社会、社会が極めて不安定な中で、特に若い人たちは、どのように人生設計をしていくべきなのだろう。自分自身の人生を実りあるものにするために、国に依存することは不可能であり、自ら人生を切り開いていく『強さ』が一人一人に求められている。

さて今、日本で一番輝いている人物は、大谷翔平だろう。沈滞ムードが漂う日本社会を一人の若き日本人メジャーリーガーが明るくしている。日本だけではなく、アメリカ、世界を熱狂させている大谷を見ていると、国や企業ではなく、いよいよ個の時代が到来したことを感じずにはいられない。

ひと昔前、1980年代のアメリカでは日本と言えば、SONYやTOYOTA、HONDAといった企業をイメージした人が多かっただろう。世の中は大きく変わり、アメリカでは日本と言えば、大谷翔平が連想されるだろう。

もちろん大谷だけではない。マスターズで優勝した松山や女子ゴルフLPGAで活躍する畑岡、NBAで活躍する八村瑠偉、ボクシングの井上、テニスの大坂なおみは、それぞれのフィールドで世界のトップレベルで活躍している。彼らはアスリートとして生まれ持った才能に恵まれていることは間違いないが、自分の選んだ道で想像を絶する努力を積み重ねているからこその結果である。

努力を怠れば世界トップの座からあっという間に落ちてしまう極めて厳しい世界で彼らは、リスクをとって結果を出している。大谷といえども一寸先は闇であり、怪我をしてしまうと選手生命は絶たれてしまう。そのような中での二刀流の活躍にイチローや松井らレジェンドでさえも驚愕しているのだ。リスクもとらない、結果も出さない、責任もとらない日本の政治家らと実に対照的である。あまりここで政治家批判しても仕方ないが・・・。

良くも悪くもこれからは、個の時代であることは間違いない。日本政府や役人がダメでも、大谷や将棋の藤井君は素晴らしい。有名人でなくても各分野に個として輝いている人はたくさんいるだろう。最近、仕事に未来を感じないという理由で若い官僚が辞めているらしいが、国に見切りをつけて個として輝くことを目指している動きだろう。石の上にも3年というが最近は、時代の変化が激しく優秀な人材ほど未来のない仕事には早く見切りをつけるのかもしれない。私自身、芸能界には全く興味がなく、YouTubeも見ないが、芸能事務所を辞めてユーチューバーになることも、企業や組織よりも個人が重視されはじめた証なのではないか。

高度成長期には大きな船に乗っていれば安全であった。しかし成熟した時代においては、大きな船は、安全とは言えない。大きな船ほど沈み始めると大惨事になりかねない。もちろん小さな船も安全ではないが、個人の工夫や努力次第では変化に柔軟に対応することが出来て大きな成果を上げることが可能である。大きな組織に属さない私にとっては、楽しい時代になってきたとポジティブに考えている。



2021/06/22

過度の自粛は、経済を壊す

 東京オリンピックまで一カ月。先進国最下位の日本のワクチン接種スピードがようやく加速してきているが、過度の自粛は継続しており経済回復は遅れている。今回のコロナショックが将来の日本の財政や経済、人々の生活にどのような影響を与えるのか?まだわからないが、このような予期せぬ危機対応に日本が非常に弱いという事は明らかになった。日本という国は、想像以上に脆弱なのかもしれない。

ワクチンなしでまじめな国民性でコロナ感染を抑えていることは素晴らしいが、一方で過度な自粛によって経済回復は遅れ、経済自体はかなり疲弊している。

ある調査によると主要国(日本、アメリカ、イギリス、ドイツ、フランス、イタリア、インド、中国)において新型コロナへの感染を恐れている人の割合が突出して高いのが日本で、約80%。アメリカ、イギリス、フランスは40%未満で変異株が猛威を振るっているインドも60%程度。高齢者の比率が高いこともあるが、世界一心配性なのが日本人なのかもしれない。

私は愛媛出身で大学時代は山口で仕事柄も地方に友人、知り合いが多いのだが、都市部と地方のコロナに対する意識のギャップには非常に驚かされる。地方の人は東京や大阪に行くことを極度に恐れている。マスコミ報道のせいかもしれないが、過剰反応である。結果、感染者が殆どいない地方の田舎街でも過度の自粛が行われている。もちろん田舎だけではない。横浜でも一人で車を運転している時にもマスクをしている人をたくさん見かけるが、客観的に見れば異常な光景である。

今の日本では自粛してないと誰かに批判されるような雰囲気があり、それが怖いのか?それとも本当に自粛が大好きなのか?理由は分からないが、とりあえず面倒だから、何も考えずに言われたとおりに自粛する。政治家や官僚、専門家の言う通りにみんなが行動する。ある種、この思考停止状態によって経済全体として大きなダメージを受けているのが、今の日本ではないだろうか。

話は変わるが、日本の個人金融資産は2000兆円に達したようである。1000兆円超が全く金利のつかない預金に置かれている。投資は怖いから預金に置いている人が多いことは間違いない。コロナに感染したくないから自粛。投資は怖いから預金。まさに思考停止状態、自分だけでなくお金にも自粛させているのが、多くの日本人である。

経済とはモノやサービス、お金の流れである。過度の自粛は、経済を壊してしまう。日本全国の中小零細企業、個人事業主がコロナではなく、過度の自粛によって苦境に立たされている。

さて私自身はオリンピックと全く関係ないのだが、世界中のアスリートやその家族、関係者、オリンピックに関わる人々は、東京オリンピックに人生をかけている人も多いだろう。個人的には無観客や中止、延期を声高に求めている専門家には大きな違和感を覚える。

オリンピックをやめれば感染が収まるわけではないし、そもそも開催中止という選択肢は良い選択ではないだろう。訪日外国人客がいない今、外国人はアスリートと大会関係者、メディア、日本在住の外国人であり、オリンピック開催に批判的な国は、世界中どこにもないだろう。唯一、選手を感染リスクから守るという建前で北朝鮮が不参加を表明したくらいである。普通の国では、選手の参加に反対する国はないのは当たり前である。

単純な結論であるがオリンピックは、他のスポーツイベント同様に感染対策をしっかり講じて、開催すればよい。感染拡大を招いたGo toトラベルやGo toイートより全然、安全であることは間違いない。医療関係者からしてみれば過去に愚策を繰り返してきた政府に対する不信感がオリンピック開催に対して批判的な声になっているのかもしれない。その気持ちも分からないでもないが、世界標準から考えれば、観客を入れて安全に開催すればよいということになるだろう。開催に反対している人もオリンピックが始まれば、意外と盛り上がっているだろう。くだらないテレビ番組を見ているよりは、オリンピックのほうが間違いなく面白いはずである。いずれにしても、世界経済やマーケットとは、ほぼ無関係のオリンピックに対する報道にはうんざりである。早く終わってほしいものだ。



米国金融政策とオミクロン株

 年末年始は久しぶりに家族で横浜で過ごすことができた。 そして1月5日から妻と一時帰国中の息子と3人で早朝便で鹿児島に。個人的に歴史とおいしい料理と酒がある鹿児島は大好きな街である。鹿児島空港到着後、朝からレンタカーで鹿児島市内と桜島と温泉、翌日は知覧特攻会館と武家屋敷を観光し、...