2021/09/13

9.11から20年、今思うこと


 2001年9月11日、世界同時多発テロ事件から20年が経過した。早いもので2001年1月生まれの息子は、現在ボストンに留学中の20歳である。私自身は、あの日2001年9月11日の夜、ワールドトレードセンターに旅客機が衝突した瞬間、横浜鶴見の屋台で一人で飲んでいた。隣の酔っ払いのおやじが、『お前こんなとこで飲んでる場合じゃないぞ。アメリカが大変だ!』とからんできた。この酔っ払いのおやじ、何言ってるのかと思いながら帰宅すると、妻が『アメリカが大変なことに!』と。ニューヨークの悪夢の光景に酔いがさめ、深夜までテレビにくぎ付けになったことを思い出す。

9.11あの日以来、世界は変わった。米ソ冷戦は終わったが、世界はテロの脅威にさらされることになったのだ。

この9.11のテロ事件に加え、2000年初頭のITバブル崩壊、2003年のイラク戦争とつながる流れは、21世紀の幕開けに暗い影を落としたのであった。冷戦以降、唯一の超大国であったアメリカは、2008年9月のリーマンショック以降、しだいに衰えていく。アメリカだけではなく、金融危機の影響は世界に拡大し、欧州債務危機によって欧州経済も体力を失っていった。これまで世界の中心であった米欧先進国の力は衰え、世界経済の成長のエンジンは中国を筆頭とする新興国に軸足を移している。中国を筆頭にグローバルリズムは拡大の一途をたどるようにも見えたが、先進国における経済停滞は長期化し、格差はしだいに拡大し、中産階級からこぼれた人々の批判の矛先はグローバリズムそのものに向けられた。

アメリカでは格差拡大の批判票(中高年の白人低所得者層など)を受け皿にトランプ政権が誕生し、欧州でもイギリスのEU離脱、ブレグジットという歴史的大事件につながった。

米中摩擦は激化し、米中による新たな冷戦が勃発。まさにグローバリズムが終焉を迎えようとしている最中の2020年、武漢を震源地としたパンデミックが世界を襲った。

先進国においては歴史に類を見ないスピードでワクチン接種が進んでいるものの未だ、新興国や途上国においては厳しい状況が続いており、世界はコロナに打ち勝ったといえる状況とは程遠い。このコロナショックによる影響は、まだはっきりしないが、世界は大きく変わっていくことは間違いない。

アメリカのアフガニスタン撤退は、アメリカは自国のことに精いっぱいでもはや世界の紛争に関与する余裕はないことの象徴である。2000年初頭からこの20年で急速に力をつけてきた中国と対峙することに資源を集中するために、アフガニスタンから撤退せざるを得なかったのだろう。

さてデルタ株の感染拡大により、まだまだ世界経済は大変であるが、2020年3月20日を底にマーケットは堅調に推移している。良くも悪くも、世界は今回のパンデミックが2008年のような金融危機につながってはいけないという信念のもと、各国中央銀行による金融緩和(量的緩和)と各国政府による巨額の財政出動を進めてきた。結果的に金融市場はリーマンショック時の時と対照的に落ち着いており、一部には量的緩和マネーによるバブル懸念も指摘されているものの、多くの企業が業績を伴う株価上昇であり、バブルといえる状況ではない。

未熟な投資家は、コロナでビックリして資産を売却したが賢明な長期投資家はしっかりとリターンを獲得している。

最近は、企業業績よりもアメリカの中央銀行FRBによる量的緩和縮小(テーパリング)の時期に注目が集まり、マーケットは金融引き締めによる金利上昇リスクを注視している。パウエル議長は、マーケットと経済と対話しながら、職人芸のような難しいかじ取りが必要とされるだろう。出口戦略は難しくなることは間違いない。アメリカだけではなく、全く出口すら議論されない黒田日銀の金融政策も大きな頭痛の種である。総裁選に出馬する政治家らの発言を聞いていると彼ら彼女らは全く経済、マーケットのことをわかっていないようだ。これまでもそうであるが、分かっていない人たちが意思決定することも大きなリスクとなるだろう。

未来は不確実で誰にもわからない。しかし、一つだけ言えることは、世界を良い方向に変える価値ある企業の株価は今後も上がっていくということである。世界経済が悪化しようと低成長であろうと価値ある企業は成長する。もちろんその価値ある企業を支えるのは価値ある人である。2030年に向けて、ますます世界は激変する。その変化に柔軟に対応し、世界に価値をもたらす企業を見極めていくことが、今後の長期投資における大きな課題だと考えている。

2021/07/11

個の時代

 東京オリンピックが無観客となったが、この決定には、率直に驚いた。意思決定のプロセスも含めセンスのない判断に日本の未来は明るくないことを確信した。

コロナ禍における政府や東京都含め地方の首長らの場当たり的な対応には呆れを通り越して哀れみさえ感じている。ただただ情けないとしか言いようがない。私自身、国民の義務は果たしたいが、この国の政治家や役人とは、できる限りかかわりをもちたくないと感じる。

オリンピック大会関係者や日本選手含め世界から参加する選手は、どのような気持ちなのだろう?ワクチン接種の遅れも、オリンピックを無観客にしたことも愚かな政治家らの責任である。みんなのいう事を聞いて、その場の感情に流されて中途半端な判断をするような政治は最悪であり、極めて危険である。

コロナとオリンピックで日本の愚かな政治が露呈したわけであるが、世界における日本の地位は、想像以上に低下しているのだろう。急速な高齢化社会、社会が極めて不安定な中で、特に若い人たちは、どのように人生設計をしていくべきなのだろう。自分自身の人生を実りあるものにするために、国に依存することは不可能であり、自ら人生を切り開いていく『強さ』が一人一人に求められている。

さて今、日本で一番輝いている人物は、大谷翔平だろう。沈滞ムードが漂う日本社会を一人の若き日本人メジャーリーガーが明るくしている。日本だけではなく、アメリカ、世界を熱狂させている大谷を見ていると、国や企業ではなく、いよいよ個の時代が到来したことを感じずにはいられない。

ひと昔前、1980年代のアメリカでは日本と言えば、SONYやTOYOTA、HONDAといった企業をイメージした人が多かっただろう。世の中は大きく変わり、アメリカでは日本と言えば、大谷翔平が連想されるだろう。

もちろん大谷だけではない。マスターズで優勝した松山や女子ゴルフLPGAで活躍する畑岡、NBAで活躍する八村瑠偉、ボクシングの井上、テニスの大坂なおみは、それぞれのフィールドで世界のトップレベルで活躍している。彼らはアスリートとして生まれ持った才能に恵まれていることは間違いないが、自分の選んだ道で想像を絶する努力を積み重ねているからこその結果である。

努力を怠れば世界トップの座からあっという間に落ちてしまう極めて厳しい世界で彼らは、リスクをとって結果を出している。大谷といえども一寸先は闇であり、怪我をしてしまうと選手生命は絶たれてしまう。そのような中での二刀流の活躍にイチローや松井らレジェンドでさえも驚愕しているのだ。リスクもとらない、結果も出さない、責任もとらない日本の政治家らと実に対照的である。あまりここで政治家批判しても仕方ないが・・・。

良くも悪くもこれからは、個の時代であることは間違いない。日本政府や役人がダメでも、大谷や将棋の藤井君は素晴らしい。有名人でなくても各分野に個として輝いている人はたくさんいるだろう。最近、仕事に未来を感じないという理由で若い官僚が辞めているらしいが、国に見切りをつけて個として輝くことを目指している動きだろう。石の上にも3年というが最近は、時代の変化が激しく優秀な人材ほど未来のない仕事には早く見切りをつけるのかもしれない。私自身、芸能界には全く興味がなく、YouTubeも見ないが、芸能事務所を辞めてユーチューバーになることも、企業や組織よりも個人が重視されはじめた証なのではないか。

高度成長期には大きな船に乗っていれば安全であった。しかし成熟した時代においては、大きな船は、安全とは言えない。大きな船ほど沈み始めると大惨事になりかねない。もちろん小さな船も安全ではないが、個人の工夫や努力次第では変化に柔軟に対応することが出来て大きな成果を上げることが可能である。大きな組織に属さない私にとっては、楽しい時代になってきたとポジティブに考えている。



2021/06/22

過度の自粛は、経済を壊す

 東京オリンピックまで一カ月。先進国最下位の日本のワクチン接種スピードがようやく加速してきているが、過度の自粛は継続しており経済回復は遅れている。今回のコロナショックが将来の日本の財政や経済、人々の生活にどのような影響を与えるのか?まだわからないが、このような予期せぬ危機対応に日本が非常に弱いという事は明らかになった。日本という国は、想像以上に脆弱なのかもしれない。

ワクチンなしでまじめな国民性でコロナ感染を抑えていることは素晴らしいが、一方で過度な自粛によって経済回復は遅れ、経済自体はかなり疲弊している。

ある調査によると主要国(日本、アメリカ、イギリス、ドイツ、フランス、イタリア、インド、中国)において新型コロナへの感染を恐れている人の割合が突出して高いのが日本で、約80%。アメリカ、イギリス、フランスは40%未満で変異株が猛威を振るっているインドも60%程度。高齢者の比率が高いこともあるが、世界一心配性なのが日本人なのかもしれない。

私は愛媛出身で大学時代は山口で仕事柄も地方に友人、知り合いが多いのだが、都市部と地方のコロナに対する意識のギャップには非常に驚かされる。地方の人は東京や大阪に行くことを極度に恐れている。マスコミ報道のせいかもしれないが、過剰反応である。結果、感染者が殆どいない地方の田舎街でも過度の自粛が行われている。もちろん田舎だけではない。横浜でも一人で車を運転している時にもマスクをしている人をたくさん見かけるが、客観的に見れば異常な光景である。

今の日本では自粛してないと誰かに批判されるような雰囲気があり、それが怖いのか?それとも本当に自粛が大好きなのか?理由は分からないが、とりあえず面倒だから、何も考えずに言われたとおりに自粛する。政治家や官僚、専門家の言う通りにみんなが行動する。ある種、この思考停止状態によって経済全体として大きなダメージを受けているのが、今の日本ではないだろうか。

話は変わるが、日本の個人金融資産は2000兆円に達したようである。1000兆円超が全く金利のつかない預金に置かれている。投資は怖いから預金に置いている人が多いことは間違いない。コロナに感染したくないから自粛。投資は怖いから預金。まさに思考停止状態、自分だけでなくお金にも自粛させているのが、多くの日本人である。

経済とはモノやサービス、お金の流れである。過度の自粛は、経済を壊してしまう。日本全国の中小零細企業、個人事業主がコロナではなく、過度の自粛によって苦境に立たされている。

さて私自身はオリンピックと全く関係ないのだが、世界中のアスリートやその家族、関係者、オリンピックに関わる人々は、東京オリンピックに人生をかけている人も多いだろう。個人的には無観客や中止、延期を声高に求めている専門家には大きな違和感を覚える。

オリンピックをやめれば感染が収まるわけではないし、そもそも開催中止という選択肢は良い選択ではないだろう。訪日外国人客がいない今、外国人はアスリートと大会関係者、メディア、日本在住の外国人であり、オリンピック開催に批判的な国は、世界中どこにもないだろう。唯一、選手を感染リスクから守るという建前で北朝鮮が不参加を表明したくらいである。普通の国では、選手の参加に反対する国はないのは当たり前である。

単純な結論であるがオリンピックは、他のスポーツイベント同様に感染対策をしっかり講じて、開催すればよい。感染拡大を招いたGo toトラベルやGo toイートより全然、安全であることは間違いない。医療関係者からしてみれば過去に愚策を繰り返してきた政府に対する不信感がオリンピック開催に対して批判的な声になっているのかもしれない。その気持ちも分からないでもないが、世界標準から考えれば、観客を入れて安全に開催すればよいということになるだろう。開催に反対している人もオリンピックが始まれば、意外と盛り上がっているだろう。くだらないテレビ番組を見ているよりは、オリンピックのほうが間違いなく面白いはずである。いずれにしても、世界経済やマーケットとは、ほぼ無関係のオリンピックに対する報道にはうんざりである。早く終わってほしいものだ。



2021/05/20

コロナ禍における日本

 2020年世界を襲ったパンデミックに対して、国民の自粛(忍耐)に依存してきた日本は、ワクチン接種で世界から完全に取り残されてしまった。行き過ぎた自粛による日本経済の落ち込みは想像以上に大きく、日本経済の停滞を余儀なくされている。先日、地元愛媛に出張したが、他県に比べて感染者数が少ない愛媛においても蔓延防止等重点措置が取られており松山市内の歓楽街は、ロックダウンしているかのようで見たこともない光景であった。これほどまじめな都道府県はあるのだろうか。愛媛県人は、みんな真面目で横浜からきた私に会うことを会社で禁じられている人も多いようだ。

もちろん個人個人が真面目であることは素晴らしいことであるが、全員が真面目であれば経済は破綻する。私は、まじめすぎる愛媛県民と愛媛経済のことを大変まじめに心配している。みんなが投資しないで預金だけすれば経済が回らないことと同様であり、まさに『合成の誤謬(ごびゅう)』とはこのことである。

あまり報道されないが医療現場ではかなりのワクチンが廃棄されているという。ワクチンがないわけではなく、予約システムを含めオペレーションが非常にまずい。緊急を要する危機対応(ワクチン配布)において、あまりにも丁寧かつまじめにやりすぎる日本は、そもそも適していない。細かいことを気にしすぎて、大きなものを失っていることに全く気づいていないのだ。

高齢者がテレビのインタビューで『自分が友人より先にワクチンを接種して申し訳ない。』ようなことを語っていたが、そんなメンタリティは何の役にも立たない。とにかくワクチン接種を最優先するアメリカを見習うべきである。ワクチンを接種したらヤンキース戦のチケットをプレゼントするアメリカは、さすが合理的である。

バイデン大統領就任と時を同じくするようにアメリカのコロナ対応は一変。ワクチン接種は加速し、徐々に日常生活が戻りつつあり、経済活動も活発化しており、アメリカ国内の航空需要もコロナ前の9割程度に戻っているとのこと。

今週からサウスカロライナ州にて全米プロゴルフ選手権が始まるが、ギャラリーの様子を見ればアメリカ経済の回復ぶりが見れるだろう。

アメリカに留学中の息子によると5月1日に大学の近くの薬局で2回目のワクチン接種を済ませ、空港など公共の場以外ではマスクを着用しなくてもよい状況。今週から大学は夏休みになり、今まさに帰国のため羽田にフライト中である。さて水際対策において日本に入国するためには、出国時間の72時間前に現地にてPCR検査を受けなければならない。書類の不備があって出発国に戻されたという信じられない話もチラホラあるし、実際に息子の友人(日本人)も陰性証明書のフォームが日本のフォームに準じていないという理由で経由地のシカゴのホテルに2日間滞在させられたようだ。(数日前の話)

息子が住むウィスコンシン州は田舎町であるが、もちろんPCR検査を受けることは出来るが、採取した検査結果の取得に時間がかかり、フライト前日に結果が出てこなかった。しかも結果はメールで送られてくるため、日本入国で求められている陰性証明書のフォームに手書きで記入してくれるドクターを探さなければならない。このような状況であるため、現地の陰性証明書ではダメなのか?厚労省に問い合わせてみたが、かたくなに決められたフォームにドクターのサインをもらわないと原則入国できないとの一点張り。挙句の果てには現地の大使館に相談してくれとたらい回しされる始末。私は、怒りよりも日本の役人の仕事ぶりに呆れ、哀れさえ感じた。

息子は急遽、昨日、タクシーで片道2時間かけてミルウォーキーのクリニックにてPCR検査を受け、日本に入国するための日本政府が定めたフォームに現地のドクターのサインがついた陰性証明書を取得した。クリニックを往復してくれた運転手さんに日本のワクチン接種は、年末くらいになりそうと話すと『日本は、そんなに遅いのか?』と驚いていたらしい。

帰国前にもう、心身ともにヘトヘトである。

本日午後に羽田に到着するが、羽田空港でも世界でも悪名高い入国審査が待っているようだ。ある方の情報によるとさながら『帰国者への罰ゲーム』のような全く意味のない手続きに膨大な時間を要し、長いフライトを経てようやく日本についた後の手続きで2時間以上を要するらしい。しかも、ソーシャルディスタンスが確保されておらず、むしろ羽田空港での感染リスクのほうが懸念されるくらいである。入国前に事前にウェブ上で申告した内容について何度も繰り返し書類に手書きで記入させられる。なんでこんな無意味なことをやるのか?

想像するにオリンピック開催前の水際対策に関して政府からの命令に対して、役人が自分たちはちゃんと忠実に守って仕事をしていることをアピールするため、あるいは空港で何か起こった時に自分たちは、ちゃんとやってますと政府に見せるための書類なのだろう。愚かな人間が考えた愚かなルールが改められない現状、本当に帰国する皆様には気の毒である。

息子によるとアメリカから欧州やカナダへの入国は、ほとんどスマホによる申告で入国できるらしい。こんなに膨大な紙に記入させられる国は、おそらく世界で日本だけだろう。

デジタル分野でもワクチン接種でも世界から完全に遅れてしまった日本。政府の命令に従うだけの役人や上司のいう事しかやらない社員、一体どこを向いて仕事をしているのだろう。デジタル庁をつくるのはいいが、もっと自分で考えて当たり前のことができる人材を育てていかないとこの国の未来は非常に暗いものになるだろう。

コロナ渦において日本は、頑張って自粛するのはいいが、内実は何もしないで思考停止しているかのようである。夕方、羽田に息子を迎えに行くが、2週間の隔離を義務づけられアプリで毎日、健康状態を問われ管理下に置かれるらしい。息子は9月からボストン大学3年生に編入するためボストンで生活することになるが、日本滞在中に息子と日本の未来について考えてみたい。



2021/04/20

祝 松山英樹 マスターズ制覇

 私が松山英樹のファンになったのは、約10年前のことである。彼の出身が愛媛の松山であること、そして彼の発するオーラから世界に通用するゴルファーである予感がしたためである。

以来、松山のラウンドは殆どテレビ観戦してきたし、LIVEで見れないときはビデオ録画して一打一打チェックしていた。2011年、東日本大震災の1か月後にマスターズにアマチュアとして出場し、ローアマを獲得。そして2年後の2013年プロに転向後、1年目で賞金王となり、2014年には主戦場をゴルフの本場、米PGAにうつし、メモリアル・トーナメントでケビン・ナとのプレイオフを制し、PGA初優勝!

その後の快進撃は、まさにジャパニーズドリームでPGAで日本人最多の5勝を挙げ、一時的に世界ランキングは2位まで上昇し、世界一が目前に見えていた。しかしながら、日本人初のメジャー制覇を目前に全米プロで天敵ジャスティン・トーマスに敗れてから、松山は優勝から遠ざかっていくことになる。

私自身、松山英樹が日本に帰国した際には、できる限り応援にかけつけ、日本オープンやダンロップフェニックスオープン、太平洋VISAマスターズ、ZOZOチャンピオンシップなどをプロギャラリーとして転戦した。

彼が一番調子の良かった2016年、フェニックスオープンでリッキー・ファウラーとのプレーオフによる激闘を制しPGA2勝目を挙げた翌週、狭山ゴルフ・クラブにて開催された日本オープンを観戦した。予選ラウンドで松山は、アダムスコットと石川遼とのペアリングであったが、その鍛えられた肉体は、マスターズチャンピオンのアダムスコットをもしのぐ迫力であった。石川遼に関しては、世界レベルの二人に挟まれ、明らかに線が細く見えた。日本のスターは、世界では全く通用しないのが現状かもしれない。

松山英樹やPGAのトップ選手のスイング、そしてそのインパクトの打球音に実際に触れると残念ながら日本のプロ選手のスイングを見ても驚きはないし、物足りなく感じてしまう。

野球でいえばメジャーリーガーと高校球児くらいの違いがあるように思うのだ。それくらいに世界トップランカーらのゴルフは、凄いし、実際に見ると、その違いは圧倒的に大きいのだ。

その世界レベルの実力にまでのし上がった松山でさえも、幾度もメジャーの壁に阻まれていた。メジャーを制するには、実力だけではどうしようもない運のようなものも必要なのだろう。2021年も松山の調子はあがらず、世界ランキングは25位前後で推移していた。昨年末から、目澤コーチと契約し、スイングやパッティングの修正をしながら試合をこなしていたが、今年はトップ10に一度も入ることなく結果が出ないままマスターズを迎えた。いつもであればマスターズ前週は調整に充てる松山が、今回は前週もプレイしてオーガスタに乗り込んだ。

初日、2日目を終えて、好位置で決勝ラウンドを迎えた。本人の言う通り、波風を立てずにいい位置についた。この時点で私はもしかして優勝するかもしれないと感じていた。なぜならば明らかに彼の表情、課題のパッティング、ショットの調子が良かったからだ。世界一位のダスティン・ジョンソンが予選落ちし、デシャンボーも予選は通過したものの、難コースに苦戦していた。前週、久しぶりに優勝したジョーダン・スピースと天敵ジャスティン・トーマスが怖いと思っていたが、松山優勝の雰囲気が感じられた。

松山英樹の3日目は圧巻であった。マスターズ自己最高の65のラウンド。この日、ボギーフリーは、フィールドで松山一人であった。15番のセカンドと18番のアプローチは、まさに神であった。この日のラウンドは、10年間にわたって私が見てきた松山のラウンドで、おそらく(内容的に)最高のラウンドであった。まさにゾーンに入った完璧なゴルフであった。

最終日は、非常に苦しいラウンドであった。その緊張の中でよく耐えたものである。3日目の貯金で4打差があったこと、リズムが良いショットメーカーのザンダー・シャフレとペアリングが同じであったこと、天敵ジャスティン・トーマスが前日に大崩れしたことなど、松山には好条件がそろっていた。3日目の65のラウンドが日本人初のマスターズ優勝に大きく貢献したことは間違いない。バックナインの圧巻のゴルフは一生忘れないだろう。

さすがに優勝シーンは、涙なしで観ることは難しかった。解説の中島や宮里の気持ちもよく分かる。彼の世界一の練習量、これまで数々の苦難を乗り越えてきた努力をゴルフを愛する人たちは、知っているのだ。

正直、いつかメジャーに勝つ日が来るとは思っていたが、このタイミングで来るとは想像していなかった。夢のように思っていたことが、現実になった。愛媛県松山市出身の29歳の若者が、日本人、いやアジア人の誰一人として成し遂げたことがないマスターズ優勝という偉業を成し遂げたのだ。ちなみに我が家には二人のマスターズチャンピオン、アダムスコットと松山英樹の直筆のサイン入キャップがあるが、これは家宝としよう。

さて松山英樹は帰国し、インタビューで『初めて、クラブを持ちたくないと感じている。』と打ち明けている。想像を絶する死闘を制したことで、精魂尽き果てているのだろう。アダム・スコットやガルシアなど歴代マスターズチャンピオンもマスターズ制覇のあと、やや燃え尽きている感じはあり、松山も多少そういう面はあるだろう。しかし、松山英樹はまだ若い。これから10年間が全盛期となると信じているし、マスターズ制覇という高いハードルを乗り越えた今、グランドスラム、世界ランキング1位ももはや夢ではなく現実的になってきた。

コロナでなんとなく暗い世の中であるが、一人の若きゴルファーの偉業がここまで世の中を明るくするとは驚きであると同時に人間の力は、すごいと改めて感じた。

松山英樹のようにはいかないが、私もファイナンシャルアドバイザーとしてお客様に貢献し、少しでも世の中を明るくしたいものである。

あらためて松山英樹選手、おめでとう!そして感動をありがとう!



2021/03/23

住宅ローンについて

最近、住宅ローンの相談を受けることが多い。当社のお客様は、首都圏とりわけ東京23区に在住している方が多いため、億を超える物件を検討している人が多い。個人的には家に1億かけるくらいなら、旅とゴルフと居酒屋でお金を使いたいと考えているが、いろいろな価値観があるのだろう。いずれにしても東京で快適な暮らしを送るには、それなりの金額を覚悟しなければならないのだろう。

一部の富裕層の方は別として、一般のビジネスパーソンが住宅ローンを借りる際にどのようなことに気をつけるべきなのか?身の丈以上に借金をして、家計を圧迫しないためにも、まずは適切な借入金額を検討しなければならない。

家に対する妄想が膨らみ、ついつい身の丈以上の物件を購入して返済に苦しんでいる人に多くお会いしてきた。どう見ても身の丈以上の物件を買って、流動性が枯渇している。いい家に住んでも生活が厳しければ意味がない。住宅ローンの支払いで家計が圧迫されて、資産形成ができないという典型的なパターンである。

このパターンの人の特徴であるが、賃貸で毎月大家にお金を払っていることがもったいなくて、思い切って家を買ったという人が実に多い。住宅ローンは35年で賃貸の時よりも毎月のローンの支払い額は高くなっている。賃貸の時代にもさほど預金が出来ていなかったので、賃料より高くなった住宅ローンの支払いでお金が貯まらない。アドバイスに一番困るパターンで当社のお客さまにはなりようがない。

もう一つよくあるパターンであるが、これはまじめな人が陥りがちである。賃貸の時にしっかりと預金をして住宅購入に向けて頭金をしっかりと貯めてきたのだが、いざ購入するときに、とにかく借金が嫌いなため頭金を突っ込みすぎるパターン。コツコツと貯めた3500万円の預金のうち3000万円を頭金として支払い、手元のお金が500万円しか無くなってしまった。気持ちは分からないでもないが、このパターンの人も資産形成は難しいといえる。

結論であるが、低金利下の今は、銀行に3000万円借りて、頭金で支払った3000万円をしっかりと運用したほうが良いだろう。

3000万円を金利1%で借りると金利負担は年間30万円である。借入残高の減少とともに金利負担は、年々減っていく。一方で3000万円を年率5%で運用すれば、年間150万円の収益が期待できる。収益は複利で年々増えていく。この取引によって金融収益は、概算で150万-30万円=120万円である。

もちろん確実に毎年5%を獲得することは不可能であるが、長期投資で年率5%の収益を獲得することは、さほど難しくないのである。3000万円の頭金を支払ってしまうと、収益機会(チャンス)を失ってしまう。期待収益は、銀行に支払う金利、-30万円で確定してしまうのだ。

全体的にマンションも戸建ても10年、20年前からかなり価格が上昇したが、一方で住宅ローン金利が低下していることはプラス要因である。

現状、ゼロ金利の日本においては、変動金利で借りれば0.5%という信じられない水準の商品もあるようだ。固定金利でも1%程度の商品もあり、お金を借りる人にとっては追い風であることは確かである。

これまでも当社のお客様に対しては頭金を突っ込みすぎないことを推奨してきた。

7年前に5000万円の頭金を支払おうとしたご夫婦を説得して頭金を1000万円にしてもらい、4000万円を当社で運用していただいた。その4000万円は現在、約6800万円に増えている。ちなみに4000万円借りて、7年間で銀行に支払った金利は、220万円程度である。資産運用で2500万円以上稼いだということである。もし運用していなかったら、得られなかった収益である。

低金利で身の丈に合った金額を借りて、手元に持っている資金はしっかりと運用して増やしていく。将来、仮に金利が上昇して住宅ローン金利が上昇したら、増えている金融資産を取り崩して返済に充てることも可能である。当然であるが、負債=悪というわけではなく、いい負債(資金調達)と悪い負債があるのだ。

企業経営においても家計においても資産と負債のバランスをしっかりと管理することが大切である。金利が高い時代の常識とゼロ金利時代の常識は異なるため、頭金をたくさん払ったほうが良いという親たちのアドバイスも役に立たない。銀行や不動産屋の言いなりになるのではなく、銀行に支払う金利と資産運用から得られる収益のバランスをしっかりと考えて、住宅ローンを検討するべきである。



2021/03/22

リモートワークで思ったこと

 緊急事態宣言解除と同時に東京は、桜が満開となった。

2021年3月。東日本大震災から10年、コロナ感染拡大から1年が経過した。未だコロナ収束の出口は見えないものの、少しずつコロナの影響は軽減され、人々のコロナ対応も上手くなり、日常生活が徐々に戻りつつあるように思う。

私自身も最近は、仕事の99%がリモートワークとなっているが、対面でお客さまとお会いする価値はやはり高いことも体現しているため、今後はケースバイケースでうまく使い分けていくことが大切だと考えている。

個人的には、仕事とプライベート、オンとオフといった区別のない人生を送りたいと考えているため、リモートワークはプラス面がとても大きいと考えている。

先月、横浜から愛媛の実家まで自動運転を駆使しながらドライブし、小豆島、尾道、倉敷、岡山、大津、京都と周遊した。8泊9日で旅をしながら、実家やホテルでお客さまとZoomで資産運用ミーティングをすることが出来た。ネット環境さえあれば、どこにいても仕事(資産運用アドバイス)ができることがわかった。

旅好きな私にとってはとても楽しい経験であった。まだコロナで海外を旅することは難しいが、数年後にはヨーロッパを周遊しながら、リモートで仕事をすることも可能だろう。時差への対応は必要であるが、計画的にスケジュールを立てることが出来れば全く問題ないだろう。

これまでの常識では日本では忙しいビジネスパーソンは、まとまった休日が取れなかった。よって退職後いわゆる老後に旅行する人が多かった。会社に通勤する必要がなくなり、どこでも仕事ができる今、元気で体力があるうちに世界を旅することが可能である。世界中を旅しながら、お客様をサポートする時代がコロナによって想像以上に早く到来したのである。

このようなことは、ほんの一例である。デジタル社会の進展により、世の中は日々進化しており、ますます利便性は高まっている。もちろん、個人情報の問題やサイバー犯罪など含め、利便性の裏側にさまざまな弊害もあるかもしれないが、それらのデメリットよりもメリットのほうがより大きいことは間違いない。

不確実な変化の時代においては、これまでの常識は非常識、非常識であったことが常識となるかもしれない。個人も企業も、世の中の変化に対応することが大切である。

私は、運よくファイナンシャルアドバイザーという天職につくことが出来た。自分たちの会社なので給料もボーナスも退職するかしないかも、自分たちで判断する。健康で能力に問題がない限りは、お客様の資産運用をサポートする責任があるし、やりがいに感じている。

生涯現役でお客様にいいサービスを提供できるのであれば一生稼ぎ続けることが可能である。

しかし生涯稼ぐという事は、これまで個人と会社で支払った年金保険料、これから20年近く70歳まで支払う厚生年金の保険料に関して、受給することはできないだろう。稼ぐ老人は年金を受給できないため、年金保険料は、税金のようなものである。

個人としても法人としても税金も社会保険料もたくさん払っているし、今後も当社が成長する限り、ビックリするくらいの税金を払うことになるだろう。それは少子高齢化社会に対する当社として、個人としての義務というよりは貢献の一つかもしれない。

もちろん社会貢献とは別に自分の人生を楽しむことも大切である。可能であれば65歳になるまでこれから15年間、比較的体力があるうちにまだ訪れたことのないヨーロッパ、南米、アフリカの国を旅してみたい。その計画の実現に向けて、これから数年間で準備を進めていきたい。やるべきことに集中すること。余計なことはやらないこと。そして時代の変化に柔軟に対応することが大切である。

日常的にお客さまと議論になることであるが、日本ではお金を持っているのに使えない高齢者が実に多いと感じる。それは退職後の人生が長くなったからである。将来不安から多くの人がお金を節約して使えないのだ。あるいは退職後にも仕事を続けざるを得ないと考えている。自分が好きな仕事であれば、いつまでも仕事を続けられると思うが、お金のために一生働くことは大変なことである。もちろん多種多様な考え、価値観があり、一概には言えないが。

資産運用は、お金を増やすことが大切であるが、お金は人生を豊かにするための手段であり、目的ではないのだ。より良い人生を送るために、自分自身をどうマネジメントしていくか?国や会社に依存することなく個人がしっかりパーソナルファイナンスについて考えていく時代になったことは間違いない。

9.11から20年、今思うこと

 2001年9月11日、世界同時多発テロ事件から20年が経過した。早いもので2001年1月生まれの息子は、現在ボストンに留学中の20歳である。私自身は、あの日2001年9月11日の夜、ワールドトレードセンターに旅客機が衝突した瞬間、横浜鶴見の屋台で一人で飲んでいた。隣の酔っ払いの...