2020/10/13

無形資産

 ウィズコロナの生活が徐々に定着しつつある今、お客さまから様々な相談が寄せられるのだが、最近多い相談の一つが住宅購入に関する相談である。

コロナで仕事がリモート中心になり、ボーナスや残業代が減って、収入減少している中で賃貸で毎月の家賃を払っていることが、もったいないと感じ、マンションの購入を検討しているといった類の話が実に多い。

賃貸はもったいなくて、持ち家のほうが得であることは決してないのだが、心理的に賃貸は損している(もったいない)気がするようだ。

これは貯蓄性のある保険のほうが得で掛け捨ての定期保険は損だと感じているようなものだ。私は20年前に横浜市内に戸建てを購入したが、もはや住宅部分の価値は、ほとんどゼロではないか。近年、さまざまな修繕費用がかかっており、持ち家も結構お金がかかるのである。とりあえず土地の値段は下がってないかもしれないが、そもそも売るつもりもない(現金化できない)ため、資産価値としては、全く計算していない。当時、一生住んでもいいという判断で買ったわけで住み替えや売却を前提として買ったわけではないのだ。

・NISAがあるから投資をする。

・住宅ローン減税があるから家を買う。金利が低いから家を買う。

・節税効果があるからマンションに投資する。

・初任給が高いから、この会社に入る。

・Go to Travelがあるから旅行に行く。

何かがおかしい。

個人的に旅行は好きであるが旅行に行きたいから、旅行に行くわけであり、Go to Travelがあるから旅行に行こうとは思わない。NISAなんかなくても投資するし、節税効果があってもマンションには投資したくない。住宅ローン減税がなくなったら、家が売れずに値段は下がるし、金利が上がっても同様であろう。家を買うかどうかの判断に住宅ローン減税も金利もあまり関係ない。

家という一番大きな買い物は、経済的な損得でタイミングを計って意思決定するのではなく、家族構成やライフプランがはっきりして、ここにずっと住み続けてもいいという物件を自分たちにとって良いタイミングで購入するべきと思う。

賃貸はもったいないという理由でマンションを購入する判断には、違和感を覚えるし、将来、そのような意思決定は、大きなリスクを抱える可能性が高いと思う。

結婚やお子さんの誕生でライフステージが変わって、家を買い替える人は多いが、買い替えコストがかかること、実際に住み替える時に望む金額で売却できるのか?は、その時の経済状況次第で不確実である。

日本は、少子高齢化の加速、人口減少、大相続時代に突入しており、都心部でも空き家が増えている。私の住む横浜の住宅地でも空き家が少しずつ増えている。都心部でも一部の例外を除けば戸建て、マンションに関わらず住宅の資産価値がどんどん上がることはなさそう、いや絶対ないだろう。資産運用の観点でいえば、投資対象でなく全く興味のない資産である。

アマゾン株は、90年代後半に株式を分割後に一株1.5ドルで低迷していたが、20年後の今、3000ドルを超えており、底値から2000倍超となっている。もしも100万円買っていたら、20億円である。低迷していた時代に底値でアマゾン株を買うことは難しいし、20年以上保有することはもっと難しいのであるが、優良企業への投資は、莫大なリターンを生むことがある。これからも優良企業の株式が資産運用の主役であることは、間違いない。

一方、未だに不動産会社の下手なトークに乗せられて安易にマンション投資をやっている人が多いのも事実である。マンションを買った当の本人からは、節税と退職後の賃料が得られるメリットなどいい話ばかりを聞くが、金利がいくらか?聞いても答えられないケースがほとんど。つまり不動産のプロというわけでもなく、完全にアマチュアレベルなのだ。マンション投資には購入時に気づいていないリスクが潜在化しており、将来、徐々に顕在化してくるのだ。非常に危険であることは言うまでもなく、借金して不動産投資することはやめたほうが良いだろう。

ゼロ金利時代に住宅ローン金利よりかなり高い金利で借金をしてマンションに投資をして、10年後、20年後に輝く未来が想像できるだろうか?

時代のキーワードは、まさに『有形資産』から『無形資産』へと変わった。世の中の企業の時価総額(企業価値)を見てみれば、それは一目瞭然である。

個人においても同じである。個人の価値は、その人が持ち家か賃貸か?では決まらないし、資産を多く持っているかどうかだけで、はかれるものではない。お金は、もちろん大切であるが、あくまでも人生における目標を達成するための手段であり、大切なことはその人がどのように生きるのか?ということが本質である。

個人の知識や経験、能力、洞察力、信用、人間性など無形資産がキャッシュフローを生み出す時代になった。資産運用においてもバランスシートにあらわれない無形資産を目利きする洞察力が求められる。

自らの人的資産を高めて、仕事で価値を提供し、身の丈に合った生活をすればお金は貯まる。貯まったお金を将来性のある資産に投資することで、人的資産と金融資産の両輪をしっかりと回転させていくことが重要である。

無形資産

 ウィズコロナの生活が徐々に定着しつつある今、お客さまから様々な相談が寄せられるのだが、最近多い相談の一つが住宅購入に関する相談である。 コロナで仕事がリモート中心になり、ボーナスや残業代が減って、収入減少している中で賃貸で毎月の家賃を払っていることが、もったいないと感じ、マンシ...