バークシャー・ハザウェイ副会長であるチャーリー・マンガーは、バフェットの盟友であり、世界最高の投資家の一人である。
1924年1月1日生まれの93歳でバフェットよりも7歳年上である。
ベンジャミン・グレアムを師として仰いでいたバフェットはマンガーと出会い、バリュー投資を進化させていった。バフェットの大成功は、マンガーなしではあり得なかったであろう。
『マンガーの投資術』は、バフェット研究の第一人者デビット・クラークによってまとめられており、マンガーの珠玉の言葉がちりばめられている良書である。マンガーもバフェットもお金だけではなくその知識を複利で殖やし続けている。
資産運用に興味のある人には是非、読んでいただきたい一冊である。
2017/09/25
2017/09/19
静かなマーケット
ある程度予想していたことであるが、アメリカの金利は、なかなか上がらない。
アメリカの8月の失業率は4.4%と歴史的に低い水準であるがインフレ率は、FRBが目標としている2%に及ばず1.5%近辺で推移している。FRBイエレン議長は、年内に利上げするかどうか慎重に検討しているが、現状ではバランスシートの縮小は段階的に進めるものの政策金利であるFF金利は現状の1-1.25%に据え置く可能性が高くなってきたように思う。少なくとも今回のFOMCでは。
そこで気になるのはITバブル後に大胆な金融緩和をして景気を回復させたものの、結果的に利上げのタイミングが遅れて不動産バブルを引き起こした張本人とされた当時のグリーンスパン議長である。当時、マエストロと神様のように崇められていたが、一転して戦犯扱いされたのだ。そんな歴史もあり、今回の利上げのタイミング、政策判断ミスは許されないというプレッシャーはかなり大きいだろう。
イエレン議長は、難しい局面でバーナンキ前議長からバトンタッチして以来、かなり厳しい局面をいくつも乗り越えてきた。年内に利上げして金融政策の正常化の道筋を確かなものにしたいけれど、なかなか金利が2%に上がらないため、じっと耐えているという感じ。
目標の2%に達しないインフレ率に関しては、学者や金融関係者などの間でもさまざまな議論があるものの、低インフレはアメリカのみならず先進国共通のトレンドであり、アメリカも例外ではないため、あまり2%目標という数字に固執する必要はないというのが私個人の考えである。日銀などは2%について全く議論もされなくなったが、それはそれでいいのではないか。物価ではなくあくまでも経済優先である。
アメリカは多民族国家であり、白人の少子高齢化による人口減をヒスパニックやアジア、アフリカ系など移民の人口増で補い、トータルでは人口が増えている数少ない先進国である。その意味でアメリカ合衆国の中に先進国と新興国が混在しているような国であるため、潜在的な経済成長率が日本やドイツなどよりも高いため、日独に比べると金利もやや高いと考えるのが自然である。
インフレ率2%という数字をイエレン議長がどう判断するのか?に今後注目があつまるのであるが、アメリカ市場は、ダウとS&P500は直近で過去最高を更新しており、過去のバリエーションから見ると決して割安といえる水準ではない。短期的には多少の調整はあるかもしれない。
2008年9月15日のリーマン破たんの悪夢を経験した人たちは、今のアメリカの株価はバブルではないかと煽っているが、多くの人がバブルと指摘するほどのバリエーションでもないし、リーマンショックのように金融市場が崩壊するような危機はどこにも見当たらない。
世界の中央銀行および金融当局は、二度とあのような惨事を繰り返してはいけないということで金融機関を監視しており、冷静に見て現状は金融市場が崩壊するような状況ではないのだ。
これまでもそうであったように広義のマーケットは上がったり下がったりしながらも、長期的には上昇していく。倒産した会社はマーケットから退場し、元気な会社がマーケットに入ってくるからだ。
2000年から2001年に起きたITバブルのような局地的なバブル崩壊の可能性はあるが、世界経済を数年以上の長期にわたって混乱させマーケットを長期に低迷させるような危機はそうそう起こるものではない。
世界を大混乱させたのは1929年から始まった世界大恐慌と2008年の金融危機の2回だけで、それ以外の危機は、短期(ITバブル、ブラックマンデー、オイルショックなど)もしくは局地的な危機(日本のバブル崩壊やアジア通貨危機など)である。
リーマンショックは、投資家のみならず実体経済をも悪化させた点で確かに悪夢のような出来事であった。そんな最悪の事態でも優良企業の株価は回復し、その後も投資家に果実をもたらしている。
多くの人にお会いする中で、マーケットの原則を知らない人に限って、株が大きく下がった時に買いたいという。残念ながら、そのようなことはほぼ不可能である。リスクをとらないで何年も待っているうちにじわりじわり上昇していく物価に負けて資産が目減りするだけである。
比較的安定した静かなマーケットは、経験の浅い投資家にはかなり不気味に感じるかもしれないが、日々の株価に一喜一憂しないで長期にじっとマーケットの中に居続けることこそが、最良の投資である。
アメリカの8月の失業率は4.4%と歴史的に低い水準であるがインフレ率は、FRBが目標としている2%に及ばず1.5%近辺で推移している。FRBイエレン議長は、年内に利上げするかどうか慎重に検討しているが、現状ではバランスシートの縮小は段階的に進めるものの政策金利であるFF金利は現状の1-1.25%に据え置く可能性が高くなってきたように思う。少なくとも今回のFOMCでは。
そこで気になるのはITバブル後に大胆な金融緩和をして景気を回復させたものの、結果的に利上げのタイミングが遅れて不動産バブルを引き起こした張本人とされた当時のグリーンスパン議長である。当時、マエストロと神様のように崇められていたが、一転して戦犯扱いされたのだ。そんな歴史もあり、今回の利上げのタイミング、政策判断ミスは許されないというプレッシャーはかなり大きいだろう。
イエレン議長は、難しい局面でバーナンキ前議長からバトンタッチして以来、かなり厳しい局面をいくつも乗り越えてきた。年内に利上げして金融政策の正常化の道筋を確かなものにしたいけれど、なかなか金利が2%に上がらないため、じっと耐えているという感じ。
目標の2%に達しないインフレ率に関しては、学者や金融関係者などの間でもさまざまな議論があるものの、低インフレはアメリカのみならず先進国共通のトレンドであり、アメリカも例外ではないため、あまり2%目標という数字に固執する必要はないというのが私個人の考えである。日銀などは2%について全く議論もされなくなったが、それはそれでいいのではないか。物価ではなくあくまでも経済優先である。
アメリカは多民族国家であり、白人の少子高齢化による人口減をヒスパニックやアジア、アフリカ系など移民の人口増で補い、トータルでは人口が増えている数少ない先進国である。その意味でアメリカ合衆国の中に先進国と新興国が混在しているような国であるため、潜在的な経済成長率が日本やドイツなどよりも高いため、日独に比べると金利もやや高いと考えるのが自然である。
インフレ率2%という数字をイエレン議長がどう判断するのか?に今後注目があつまるのであるが、アメリカ市場は、ダウとS&P500は直近で過去最高を更新しており、過去のバリエーションから見ると決して割安といえる水準ではない。短期的には多少の調整はあるかもしれない。
2008年9月15日のリーマン破たんの悪夢を経験した人たちは、今のアメリカの株価はバブルではないかと煽っているが、多くの人がバブルと指摘するほどのバリエーションでもないし、リーマンショックのように金融市場が崩壊するような危機はどこにも見当たらない。
世界の中央銀行および金融当局は、二度とあのような惨事を繰り返してはいけないということで金融機関を監視しており、冷静に見て現状は金融市場が崩壊するような状況ではないのだ。
これまでもそうであったように広義のマーケットは上がったり下がったりしながらも、長期的には上昇していく。倒産した会社はマーケットから退場し、元気な会社がマーケットに入ってくるからだ。
2000年から2001年に起きたITバブルのような局地的なバブル崩壊の可能性はあるが、世界経済を数年以上の長期にわたって混乱させマーケットを長期に低迷させるような危機はそうそう起こるものではない。
世界を大混乱させたのは1929年から始まった世界大恐慌と2008年の金融危機の2回だけで、それ以外の危機は、短期(ITバブル、ブラックマンデー、オイルショックなど)もしくは局地的な危機(日本のバブル崩壊やアジア通貨危機など)である。
リーマンショックは、投資家のみならず実体経済をも悪化させた点で確かに悪夢のような出来事であった。そんな最悪の事態でも優良企業の株価は回復し、その後も投資家に果実をもたらしている。
多くの人にお会いする中で、マーケットの原則を知らない人に限って、株が大きく下がった時に買いたいという。残念ながら、そのようなことはほぼ不可能である。リスクをとらないで何年も待っているうちにじわりじわり上昇していく物価に負けて資産が目減りするだけである。
比較的安定した静かなマーケットは、経験の浅い投資家にはかなり不気味に感じるかもしれないが、日々の株価に一喜一憂しないで長期にじっとマーケットの中に居続けることこそが、最良の投資である。
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