2018/11/12

二つの資産を働かせる

人は誰でも二つの資産を持っている。『人的資産』と『金融資産』である。

人的資産とは、お金を産み出す自分自身で金融資産とはお金を産み出す『預金』や『債券』そして『株式』である。伝統的なこれらの資産以外の資産をオルタナティブ資産と定義する。不動産投資信託(REIT)やコモディティなどである。

稼ぐ自分自身の現在価値としての人的資産は、年齢とともに稼ぐ時間が短くなるため逓減していく。よってそれを補うために金融資産に稼いでもらうことが大切である。どんなに働いて稼いだとしても税金や社会保険料で可処分所得(手取り)は、半分になるのに対して、資産運用で得た所得に対して税金は、一律20%である。

当社のお客さまも富裕層あるいは富裕層予備軍といえる皆さまであるが、年収が3000万円を超えている人は、少数で1億円を超えている人となると、さらに少数となる。当社のお客様の多くは年収もそれなりに高いのだが、それよりも長期投資で資産を長期で増やした結果、お金持ちになっている人が多いのだ。

雑感であるが人的資産(年収)だけでお金持ち(金融資産1億超)になるには、世帯年収で3000万円以上稼がないと難しいと感じる。(親から譲り受けた相続資産などは除く。)

年収がそれほど高くなくても人的資産で稼ぎ、税引き後のお金をしっかり長期投資で運用して増やしていくことで、人的資産と金融資産の両輪を働かせることが可能である。当社のお客さまには、『人的資産』と『金融資産』の両方を上手く働かせている方がたくさんいる。

事実、世界のお金持ちの多くは、年収が高くてお金持ちになったわけではなく、ビル・ゲイツやジェフ・べゾスや孫さん、柳井さんも、みんな自社株(株式)で資産を作ったのである。

世界のお金持ちを目指すのは無理かもしれないが、資産運用は、風邪をひいても骨折しても年老いても子どもでも実践することができるのだ。もちろんしっかりとしたアドバイザーは必要であるが。

典型的であるがスポーツ選手は、けがや病気で選手生命を大きく左右される非常にリスクの大きい職業である。だからこそ錦織やマー君や松山英樹などトップアスリートは巨額のお金を稼いでいるのであるが、彼らでさえも、いつまで今のレベルで稼げるのか分からない。どんな人でも人的資産は、年齢とともに逓減するからだ。あのイチローでさえも年齢からくる衰えは進み収入は全盛期から大きく下がっている。

一方で世界一の投資家バフェットは88歳で今もなお世界一の投資家として君臨している。彼は10歳で投資を始めて以来、死ぬまで投資を継続する決意であり、投資を始める10歳までは無駄な人生だったという名言もあるほどである。

もちろんバフェットは、例外ではあるが、生きている限り資産運用を継続することは誰にでもできるのだ。資産運用を継続しながら、お金が必要な時が来たらお金を取り崩していくという文化を少しでも定着させていきたいものだ。

2018/10/30

鈍感力

資産運用は、実に奥が深い。

資産運用を単純化することは不可能で、一生涯を費やして勉強したとしても、理解することは不可能なのかもしれない。投資は、サイエンスではなくアートだと言われる所以である。

さて日々、お客様とお会いしているが、マーケット状況の良し悪しに左右されないためには、確固たる運用戦略が必要である。運用戦略をもっていない人は、マーケットの変動に翻弄され感情に左右されてトレードして損失を膨らませてしまう。

マーケットに翻弄されないためには、確固たる運用戦略にあわせて、ある種の鈍感力のようなものが必要なのかもしれない。あまりに繊細すぎる人は、長期投資には不向きかもしれない。しかし私の経験上、繊細な人も価格変動に対して徐々に慣れてくるし、時間をかけて精神的にも強くなっていくものだ。

成功している人は、基本的に打たれ強い。打たれても打たれても諦めないで這い上がるからこそ、成功しているのだ。

短期的な株価の変動は、もちろん自分でコントロールできないことである。自分のやるべきことに集中していれば時間をかけてマーケットは落ち着き、下がった株価も上昇していくものである。下落局面において重要なことは、バタバタしないことである。

資産運用においても、常に勝利することは不可能である。いい年もあれば悪い年もあるわけで、トータルで勝利すればいい。6勝4敗のイメージでいいのだ。

長期投資においては、時にはいい意味での鈍感力が必要である。

2018/10/26

長期投資とは?

最近のマーケットの急落に関して、びっくりしている投資家もたくさんいると思う。特に投資経験の浅い方は不安になることも当然である。

長期投資を続けられない人は、このような急落局面で価格変動に簡単に屈してしまう。
ちなみに当社のお客様の多くは、気分は良くないものの、既にこのような相場は何度も経験済みで何とも思っていないという感じである。

長期投資は、このような価格変動を許容して、長期でインカム(配当、利息)を積み重ねていくことである。

長い人生において、いいことも悪いこともあることと同様にマーケットにおいてもさまざまな事件が起きるものだ。マーケットの価格変動こそがリスクであり、それ自体がリターンの源となる。

マーケットの下落局面は、経験豊富な投資家でも決して気分のいいものではないが、やがて慣れて耐性ができるのだ。マーケットは右肩上がりで上がり続けることはない。上がったり下がったり繰り返しながら長期的には成長していく。経済成長とともにマーケットは成長していくため、長期投資においては当初の運用方針を堅持することが大切である。

ただし個別銘柄に関しては、倒産という死があるため、必ずしも全ての個別銘柄が長期的に成長するとは限らない。会社には栄枯盛衰があり長期的に安全な個別銘柄というものは存在しない。インデックスファンドを使ってマーケットに投資をすること、インデックスファンドに勝てるアクティブファンドを活用することが必要である。インデックスとアクティブどちらがいいのか?という議論は不毛である。インデックスとアクティブの違いを理解し、臨機応変に活用することである。

当社はお客様のリスク許容度に応じた資産配分と優れた投資信託を選別することに重きを置いている。

書籍『ライフシフト』の影響で人生100年時代というフレーズを見聞きする機会が増えたように思う。健康寿命と同様に資産寿命をいかに伸ばしていくかは大きな課題である。

働いている期間に(収入ー支出)で余ったお金を金融市場でどのように効率的に運用するか?適切なアドバイスをすることが私たちの仕事である。

日々、多くの人にお会いするが、まだまだ長期投資の本質を理解している人は少数派である。行動ファイナンス理論にあるが、人間はとかくお金に関する意思決定において非合理的である。価格変動に翻弄されて、一喜一憂する投資家が多い。

長期投資における運用期間は、生きている限りである。マーケットの変動リスクを許容して、長期的に資産を成長させることが大切である。多くの日本の高齢者がしているように必要なお金を預金に置きっぱなしにするのではなく、しっかり運用しながら必要な金額を取り崩すということが大切である。

これまで同様に当社のお客様の長期投資をしっかりとサポートしていきたい。

2018/09/18

リーマンショックから10年

リーマンショックから約半年後の2009年3月10日にNYダウは、6500ドルまで暴落した。2018年9月17日のNYダウは、26000ドル。株価は、底値からちょうど4倍になったのだ。

2008年9月15日のことは、仕事柄、鮮明に記憶に残っている。

人生において世界が動いたと感じる瞬間は、何度かあると思うが、リーマンブラザーズの破たんはその一つだろう。

マーケットは、リーマン破たん後、まさに100年に一度の危機に陥り、瞬く間に世界経済を急速に悪化させた。

当時、私自身、独立してファイナンシャルアドバイザーとして活動して2年目であった。NYダウはリーマンショック前の高値14400ドルから翌2009年3月10日には6500ドルまで暴落した。当然、当社のビジネスにも大きな逆風が吹いた。今思えば、創業間もないベンチャーにとって最大のピンチだったかもしれないが、奇跡的に乗り越えることができた。同業で廃業した人をいっぱい知っているが、当社は生き残った。

そんなどん底の時期から、おつきあいさせていただいているお客様は特別で、今も仲良くさせていただいている。

さてリーマンショックによって震源地のアメリカではこれまで選挙に行かなかった低所得者層やマイノリティの票がオバマ大統領に流れ、黒人初の大統領を誕生させた。アメリカ国民は、オバマ大統領に熱狂したものの、リーマンショックの傷跡はあまりにも深く、これまで経験のない大規模な量的緩和策が長期間にわたって続けられた。個人的にオバマ大統領はアメリカの歴史に残る優れた大統領であると思うが、あまりにもアメリカ経済が疲弊していたこともあり、在任中の評価は決して高くなかったかもしれない。

アメリカのみならず欧州ではギリシャ危機が欧州全体に波及し、欧州債務危機に発展した。日本のデフレも深刻で日米欧先進国の経済は、リーマンショック以降、停滞することになった。

バーナンキ議長からハト派のイエレン議長にバトンが渡されても尚、ゼロ金利状態は続いたが、ようやく長く続いた危機にも出口が見えてきた。ゼロに張り付いていたFF金利も徐々に慎重にゆっくりと引き上げられ、日本や欧州に先行してアメリカは出口に向かっている。

アメリカ経済は少なくとも失業率や雇用統計、企業業績、消費の面では回復に向かい、マーケットも2009年3月を底に大きく上昇してきた。

2016年にはブレグジッドとトランプ大統領誕生に世界が驚いたが、トランプの政策とは無関係にアメリカ経済は力強く一人勝ちの様相である。金融政策も正常化に向かっており、パウエルFRB議長は、来月にも追加利上げを発表することが濃厚である。長期金利も3%程度で推移している。

世界経済とりわけアメリカ経済は堅調であるが、トランプ大統領の中間選挙前のパフォーマンスによってマーケットは上値が抑えられている形である。アメリカが強気で中国に貿易戦争を仕掛けられるということは、ある意味でアメリカ経済に余裕があるからであるが、この好景気のサイクルがいつまで続くかは誰にも分からない。神のみぞ知るということであろう。

資産運用においては初心者ほど価格変動を気にして投資タイミングばかりを考えがちである。いつ買うべきか?いつ売るべきか?ばかり気にする。オリンピック前か後か?のようにイベントを気にする。オリンピックの前か後かなど正直、資産運用には全く関係ないのだが。

当社のお客様は、基本的に長期投資家である。時間を梃にして長期でしっかりお金を増やしていくことを考えている。価格変動ではなく、長期でインカムを積み重ねることを意識している。

少しずつであるが長期投資の輪が広がっており、この10年で当社のお客様の数もそれぞれの資産規模も大きくなっている。非常に厳しい10年であったが10年前の危機的な状況下で投資していただいた株式型投信の価値は概ね3倍になっている。正しいリスクをとっていれば一時的な値下がりがあったとしても、長期ではしっかりとリターンが生まれるのだ。

これからの10年もマーケットは安泰ということはあり得ないし、リーマンショックほどでないとしてもマーケットの調整局面は何度かあるだろう。リーマンショックの教訓であるがそのような局面で一喜一憂してはならない。むしろ長期的にはチャンスと捉えるべきである。

長期の視点で見れば今後も世界経済は、成長を続ける。20年後に世界のGDPは今の約2倍になるのだ。世界経済が成長すれば広義の意味のマーケット、世界株式は上昇していく。いい投資家はその本質を理解している。だから一喜一憂しないで安心して投資できるのだ。

リーマンショックは、個人的にも企業としても本当に厳しい経験であったが、あのショックを乗り越えたことで、当社は強くなったと感じている。しかし願わくは、本当に100年に一度の出来事であってほしいものだ。

2018/07/19

投資は、アートである!

お客様に『投資を学ぶ上でお薦めの本は?』と聞かれることがよくある。

私は、以下の3冊を読むことをお薦めしている。一応、読むべき順番に並べてみた。

1.『敗者のゲーム』チャールズ・エリス著 
2.『キャピタル驚異の資産運用会社』チャールズ・エリス著
3.『投資で一番大切な20の教え』ハワード・マークス著

この3冊をじっくり読めば、個人投資家に必要な基本的なことは全て学べるだろう。

ハワード・マークス著の『投資で一番大切な20の教え』の中で投資とアートについて、以下のように触れている。(本文から抜粋)

『投資は、経済学と同じく、科学よりもアートの要素が強い。つまり理路整然とはいかないのである。』

『投資は科学であるのと少なくとも同程度にアートでもある。だから決まった型にはめられると説くつもりはさらさらない。むしろ投資アプローチは固定化したり、機械的に当てはめたりするのではなく、直感的に決め、状況に応じて適応させていくことが肝要なのだと声を大にして言いたい。』

私もハワード・マークスの考え方に100%同意するが、流行りのロボアドバイザーなどに運用先を委ねることには大変違和感を覚えている。

さて投資は科学よりもむしろアートの要素が強いという考えには、私も納得するところだ。資産運用アドバイスを日々する中で、資産運用に向いている人とそうでない人がいることに気づいた。その中の一つであるが、美術や芸術、アートの世界に携わっている人は、資産運用をやってもとても上手い。

逆に以前にもどこかでお話ししたかもしれないが、意外にも弁護士さんは全く向いていない。もちろん当社のお客様の弁護士さんのように例外もいるのだが、これまで多くの弁護士さんにお会いした印象ではリスクを取りたがらない職業柄なのかリスク回避的な傾向があり、資産運用には全く不向きだと感じる。弁護士に必要な能力は、資産運用にはあまり役に立たないのかもしれない。

生前、公私にわたって親しくさせていただいた越川修身先生は、芸術家であり、経営者であったが、彼は資産運用も抜群に上手だった。不確実な未来において、環境変化に適応する能力が非常に高い人であった。おそらく芸術活動においても作品を制作する過程で不確実なことばかりで、数学や科学のような法則のない世界で生きていたため、資産運用に対しても最初から本質を理解していた。『敗者のゲーム』を読んで、資産運用の世界は、とても面白いと言っていた。

なかなか彼のような人は、いないのだが、多くの人が、不確実な未来に不安を持ち、リスクを回避して、長期的な利益を失っている。もしくは短期的な利益を追いかけて、とるべきでないリスクをとっている。個人の性格要素も大きく影響するのだが、いずれもいい投資家ではない。

いい投資家とは、いい芸術家のように、忍耐力があり、長期的な視点を持ち、環境の変化に対応することができる人である。当社のお客様に美大出身者が多いのは、偶然ではないと思う。

2018/07/17

意思決定スピ―ドと資産の相関

猛暑の中であるが、日々お客様と資産運用の打ち合わせを行っている。

彼是10年以上にわたって多くの人にお会いし、お話しする中で、投資で成功する人とそうでない人の違いがわかるようになってきた。

当社のお客様は、基本的に素晴らしい人たちばかりであるが、特に成功している人たちほど、仕事に集中して、自分の時間を大切にしていると感じる。そして自分自身の時間だけではなく、他の人の時間、例えば我々アドバイザーの時間も大切にしてくれるのである。

一方で冴えない人は、総じて意思決定が遅い。結論を先延ばししても何のメリットもないことに無駄に時間をかけて、忙しいという理由をつけて時間を浪費する。

こういうタイプの人は、仕事でも資産運用でも成功することはないだろう。本当に忙しい人は、意思決定も行動も早いため、やるべきことを先延ばしすることはなく、すぐにやるということを徹底している。もちろん単純にスピードが早いということではなく、意思決定の質も極めて高い。資産運用においても感情に任せた投機ではなく、リスクを理解したうえで必要なリスク(とるべきリスク)をとって、時間を最大限に使って長期的にリターンを生み出そうとしている。

いい投資家ほど時間の大切さを理解し、時間を味方につけるため、成功するのである。

私自身も、ファイナンシャルアドバイザーとして経営者として投資家として、日々様々な意思決定を行っているが、意思決定の時間も仕事も極めて早い。

そもそも結論を無駄に先伸ばしするようなことをやっていては成功などできるはずがない。日本のダメな組織にありがちなスピード感の欠如は、生存競争が激しくなった今、致命的であるが、組織だけではなく個人も同様に意思決定が大変重要になってきた。

変化に対応できない個人は確実に競争から取り残されて、格差は今後ますます拡大する可能性が高い。人生において個人も、しっかりと意思決定して、決定した方向で最大限努力して、結果を出していくことが大切である。

本当に興味深いことに当社のお客様を見ていると、運用金額が大きい人ほど意思決定が早く、運用金額が小さい人ほど優柔不断で意思決定に時間をかけて、結論を先延ばしする傾向があるのだ。事実、当社でも億単位で運用しているお客様もたくさんいらっしゃるが、あきらかに1000万円運用する人よりも意思決定スピードが早い。

成功している人は、人生において、必要な意思決定をスピード感をもって適切に行ってきたからこそ、結果として資産が大きくなったということも言えるだろう。

2018/06/12

三大失幣とは?

私は、ファイナンシャルプランナーとして2008年から大手広告代理店にてお金に関するセミナーを行ったり、皆様のさまざまなお金の相談に日々対面で対応してきた。毎週のようにお客様にお会いし、アドバイスをして、早いもので今年で11年目である。おそらく私ほど多くの人にお金に関するアドバイスをしてきた人は、いないのではないかと最近、思っている。

そんな経験から、なぜ同じ会社に勤務しながらお金が貯まる人と貯まらない人がいるのか?私なりに考えてきた。そして多くの皆さんをコンサルティングしてきたリアルな経験からさまざまなことを学んだ。資産形成において、もちろん収入が高いにこしたことはないのだが、収入が高くてもお金が貯まらない人が実に多いことを私はリアルに見てきた。

これは机上の話ではなく11年間に及ぶファイナンシャルアドバイスの経験に基づいた話であり、多くの皆さんにとっても参考になると感じている。

さて健康における三大疾病とは、がんと心筋梗塞と脳梗塞であることはご存知の通りである。私はパーソナルファイナンスにおいて、お金が貯まらない人の3つの特徴を発見し、『三大失幣』と命名した。貨幣を失う3つの要因を以下に一つずつ解説してみたい。なお画像のデザインは、当社のお客様が作成してくれたものである。

その1.お酒

もちろんお酒を飲む人が決して悪いわけではない。私も大好きであるが、お酒にはいいお酒と悪いお酒があるのだ。いい金利上昇と悪い金利上昇があることと同様である。お酒の飲みすぎは、長期的に健康を害するリスクがあるし、健康を害するとその人の人的資産価値を低減させる可能性が高い。もちろん二日酔いではいいパフォーマンスを発揮することは困難である。短期的にも飲み代自体が資産形成を妨げるし、深夜のタクシー代など余計なコストがかかってしまう。一部のそれなりに成功している経営者のように例外はあるものの一般的に会社員で資産形成が上手くいっている人は、お酒を飲まない人もしくはお酒との付き合い方がとても上手な人である。

その2.生命保険

ご存知のように長らく続くゼロ金利もしくはマイナス金利の現状において個人は利息の付かない預金を何とか安全に運用できないかと考えるのはごく自然なことである。将来不安もあり長期に大きな金額を預金に置いておくことは、インフレに負けて実質的な価値が下がるためなんとかしないといけないと考えるところまでは正しい。

ただし生命保険を資産形成のツールとして使うことは、コスト的な観点そして流動性の観点からもあまりいい選択肢とは言えない。そもそも生命保険は、万一の場合の死亡保障がついているため資産運用には不向きである。保険会社に勤務している人もあまり理解していないところが、実に残念であるが、多くの人が生命保険を使って資産運用を行っているつもりなのだ。生命保険と投資信託のことを深く理解している私がはっきり言うが、生命保険による資産運用は非効率である。本当にお金を殖やしたいのであれば個人投資家は、投資信託というツールを活用すべきである。

ただし国内に6000本の投資信託があるが、いいものは実に少ない。いい投資信託を長く保有することが大切であり、生命保険料の払い過ぎには注意が必要である。
生命保険で貯蓄の代わりに高額の保険料を払っている人は、ほぼ例外なくお金が貯まっていない。お金を貯めるには、いい投資信託を活用することである。

3.マンション投資

それなりに年収が高い会社員のところ(借金がしやすいから)に節税をうたい文句にワンルームマンションを販売する業者が群がっている。一見、減価償却によって税金が安くなるものの、私から見ればハイリスク、ローリターンもしくはノーリターンの無謀な投資にしか見えない。そもそも成熟した日本社会においてワンルームマンションに輝く未来があるとは思えないし、減価償却によって節税できることを魔法のように思っている人が多いが、なぜ減価償却できるかというとマンションが経年劣化するからであり、減価償却費はリアルなコストと考えるべきである。また不要な多額の借金を抱えることによって、将来の金利上昇リスクもある。当たり前であるが、新築であっても30年後には築30年のマンションである。人口が減少する日本で果たして本当に家賃が入ってくるのだろうか。キャピタルゲイン(値上がり益)もインカムゲイン(家賃収入)もあまり期待できない。個人的には、マンション投資は、不動産業者と銀行が喜んでいるだけのような気がしてならない。最近、私のもとにはマンションを手放したいという相談がひっきりなしに来ているというのが現状である。安易な節税目的のマンション投資には、十分気をつけてほしい。

最近お会いした40代前半の女性は、社会人になってからせっせと貯金し、自力で貯めた預金は、1億円を超えた。年収は1400万円(手取り960万円程度)で年間約800万円預金しているそうだ。ご主人の給料で住宅費や生活費などを支払っているものの、お子さんもいてこれだけ自力で貯めている会社員の方に私は、初めてお会いした。私も見習いたいものである。

彼女が『中浜さん、私は三大失幣のどれにも該当していません(笑)』とおっしゃっていたのが印象的であった。彼女がこれから、その預金をしっかり運用していけば本当に凄いことになるだろう。当社のお客様の多くは、一言でいうと成功者である。
資産運用で成功する人=しっかりと貯蓄ができる人 といっても過言ではない。

貯蓄ができない人の多くは、三大失幣のうち2つもしくは3つに該当しているケースが多い。3つに該当すると残念であるが、アドバイスは厳しい。

それからもう一つ。これからの時代は、専業主婦のご家庭は、資産形成には非常に不利かもしれない。よほどご主人の年収が高いのであれば別として、夫婦で稼げるほうが圧倒的に有利であることは間違いない。もちろんお金のためだけではなく女性が子育てしながら生き生きと働ける環境作りが大切である。

世界一の投資家ウォーレンバフェットも『お酒と借金に気をつけろ』と言っている。マンション投資は、いい借金とは言えないので、バフェットは三大失幣のうち二つに気をつけろといっている。バフェット自身は、保険会社を経営(投資)をしているが、生命保険で資産運用をすることは決してないだろう。


2018/05/07

私の健康法

先月、近所の開業医の友人とゴルフをした際に聞いた話。彼は、毎週3回程度、友人やドクター仲間と夜、会食するらしい。お酒も大好きでよく食べる人であるが、体形はいたってスリムである。なんでそんな食生活をしているのに引き締まっているのか?理由を聞くと、毎朝6時に起きて5キロ程度のジョギングをしているとのこと。基本的に大雨の日は休むらしいが、二日酔いでも必ず走ると決めて数年間取り組んでいるらしい。私は、忙しい中、毎朝走る友人にとても感心した。

そして翌朝から、私も毎朝走ることに決めた。朝5時半に起きて6時から毎朝7キロ走ることにした。娘に3日坊主に終わるといわれたが、4月16日月曜日から基本的に今朝まで一日も休むことなく走り続けている。ゴールデンウィークに長崎に旅行した際も朝起きて長崎の街を走った。この数週間たまたま飲み会も多かったのであるが、二日酔いの日も走った結果、何とか体重を維持することができている。


これまで禁酒したり、食事の量を減らしたり、ジムに通ったりしたがなかなか継続できなかったのだが、友人のドクター方式のようにお酒は好きなだけ飲み、食事も好きなだけ食べる。そのかわりに毎朝走るということをルーティン化するという方法が、元々体育会系の私にはあっているように感じる。

不健康+健康=ゼロ これがなかなか心地いい。 

5時半に起きて毎朝走って、風呂に入り、お風呂から出て新聞を読んで、録画している経済番組を早送りで見て、朝食を食べて、会社に行くというのが最近のルーティンである。
自宅にいる間は、ダンベルなど健康器具を使い、ちょくちょく体を動かすことにしている。いつまで続くか分からないが、体調がいいのでできる限り継続していきたい。

2018/04/27

教育資金

私たちファイナンシャルアドバイザーの仕事は、お客さまのライフプランを理解したうえで適切な資産運用プランをご提案し、実行していただくことである。単にお金を増やせばいいわけではなく、必要な時に必要なお金があるということが重要である。お金は目的ではなく手段である。将来不安からお金が目的になっている人も多いが、ナンセンスである。当社のお客様には、お金に振り回されない豊かな人生を送っていただきたい。

さて人生において、子どもの教育費は、住宅費に次いで大きな支出となる可能性が高い。私自身も近年、二人の子どもの教育費がかかっている真っ最中である。

現在、娘は私立大学の4年生、息子は、高校3年生(カナダ留学中)である。娘の大学の教育費は全額払い終えたので、あとは息子の大学の教育費だけである。

先日、息子の日本の担任の先生から自宅に連絡があり、留学中の息子の帰国後の進路について質問があった。7月に帰国後、日本で受験をするのか?どうか聞くために久しぶりに息子に連絡した。

帰国後の進路について今の気持ちを以下から選択してほしいと息子に伝えた。

①日本の大学を受験する
②カナダの大学に留学する
③アメリカの大学に留学する
④ヨーロッパの大学に留学する

息子は、何の迷いもなく『可能であればアメリカの東海岸で経済について学びたい。』と言った。カナダで英語にどっぷり浸かっているため、最近はCNNニュースを見て殆ど内容が分かるまでになったようだ。(完全に負けたかも。)

もしかして日本の大学に行きたいという可能性もあると思っていたが、息子がカナダで精神的に自立し、もっと世界を旅したいと言ったこと、将来のことを真剣かつ具体的に考えていたことを親としては嬉しく思った。

それはそうと7月に帰国して、来年の秋から留学するための準備が必要である。といっても基本的には息子が自分で全部準備するのだが、私に出来ることはお金を準備することだけである。

アメリカの私立大学の授業料は、近年高騰しており、授業料と滞在費などで年間600万円~800万円かかるそうだ。アメリカの景気が良いためドル高基調であることも影響している。当社のビジネス的には円安は、外貨建て資産の値上がりでお客さまの資産が増えて決して悪くないのだが、子どもを留学させる親にとって円安ドル高は結構つらい。

現実的には4年間で3000万円程度の準備が必要である。州立大学は、年間300万円~400万円で通える大学もあるようだが、いろいろ調べていくと州立大学よりも私立大学のほうが選択肢が多く、現時点では東海岸の私立大学を念頭に検討している。

もちろん西海岸にもいい大学はたくさんあるし、日本人にとっては環境や気候面からも住みやすいということも聞いているが、将来、経済とか金融の道に進むのであれば東海岸のほうがいいかもしれない。息子もそういう風に感じて、東海岸を希望している。

いずれにしても私は、息子の未来に3000万円投資することに決めた。彼の挑戦をバックアップするために、私は、これから4年間、これまでより少し質素な生活を送るかもしれない。

アメリカ東海岸の大学と並行して、私自身のために安くて美味しい居酒屋も開拓しなければならない。

2018/04/20

お客さまを選ぶ

一昨日の夜、キャピタルグループのご協力のもと、当社のお客様20名限定で特別セミナーを開催した。

キャピタルグループは、知る人ぞ知る世界屈指の運用会社であり、参加者の皆様も普段なかなか聞けない話(通常、機関投資家しか聞けない話)を聞く機会となり大変有意義な時間であったように思う。

昨日、複数のお客様からセミナーに参加してとても良かったという感想をメールや電話でいただいた。また3名の方から運用金額を増額したいとおっしゃっていただいた。実に素晴らしい実行力だと感心した。勉強して、学んだことを長期に実践する人が成功するということだろう。

さて当社も13期目に入り、お客様の数も預かり資産も加速度的に増えてきた。新規のお客様の殆どが既存のお客様からのご紹介で、年々ご紹介いただく頻度が高まっている。こちらからお願いしているわけではなく、自然な形でご紹介が増えていることは実にありがたいことである。

また10年前から大手企業で資産運用セミナーをさせていただいているが、セミナーからお客様になるケースも多い。将来の年金不安や長生きリスクに対応するため、資産運用は、すべての人に重要なものになってきた。

当社サービスは原則、3000万円以上の金融資産を保有する個人と1億円以上の法人を対象としているが、当社のお客様からのご紹介やセミナー参加者については上記条件に該当しない場合も対応させていただいている。

ただご紹介やセミナー等で実際にお会いする場合、当社のお客様になってほしいと感じる方は3人に1人くらいで、むしろこちらからお断りさせていただくケースのほうが多いかもしれない。サービスの提供をお断りする理由は、さまざまであるが、年齢や性別を問わず、自分勝手な人や約束を守らない人からは、できるだけ上手く逃げるようにしている。どんなにお金を持っていたとしても変な人をお客にするとあとあと面倒だし、その人の資産を大切に思えない場合は、お客にしないほうがお互いのためである。

昔は嫌な人に会うと結構、腹が立ったりもしていたが、最近はいちいちおこっても仕方ないし、そんなにいいお客様ばかりではないことも分かってきたため、最近はなんとも思わなくなった。

だからこそ、いいお客様にお会いできた時は本当にうれしくなる。将来性がある人や人間的に尊敬できる人に対してはこちらの利益を度外視して、アドバイスをすることもある。

長期投資の運用期間は、『生きている限り』である。お客さまが投資をやめない限り、また私が引退しない限り、お客さまとは長いお付き合いになる。特に私は会社員ではないので転職も定年もないため、お客様の資産を一生守る責任があるのだ。

私たちアドバイザーとお客様はあくまでも対等な立場であり、資産運用を成功に導くためには信頼関係が不可欠である。よって理想的には性別や年齢、職業などを問わず私自身が尊敬できる人をサポートしたい。

そもそもお客様の大切なお金を預かることは大変な仕事である。しかし大切な人のためであれば大変な仕事でも頑張れるというものである。

個人、法人問わずお客様を選ぶこと、これは私にとって大変重要な仕事である。

2018/04/02

お客さまの結婚式

昨日、2018年4月1日のことである。2014年春以来、とても仲良くさせていただいている30代のお客さまHさんとMさんの結婚式、披露宴にお招きいただき、参列させていただいた。

新郎Hさんも新婦Mさんも本当に素敵な方で、人間的にも尊敬できる大好きなお客さまである。お会いして以来、資産運用を全力でサポートしたいと心から思えるお客さまであった。

数年前にそんなお二人がフリーであることを知り、私がお誘いし3人で食事をしたことがきっかけの一つになり、その後、おつき合いが始まったようである。もちろん、私自身まさかこういう展開になるとは思っていなかったし、ただ仲の良いお客さまを誘って食事しただけであるが、今考えてみればこのお二人の相性は抜群で結婚は運命だったように思う。

それは質の高い異なる資産を組み合わせると、いい化学反応を起こし、より強固なポートフォリオができるようなものである。

私自身人生初の経験であるが、披露宴のオープニングで新郎Hさんに『中浜さんは、二人のキューピッドであり、二人が資産を預けるアドバイザーです。』とご紹介いただき、僭越ながら乾杯のスピーチをさせていただいたのだ。

長い人生の中でもこのような貴重な経験は、きっと最初で最後だろう。

私の仕事柄、お二人のこれまでの歩み、現在の状況、将来への考え方などもお聞きしているため、本当に感動で胸が一杯になった一日であった。

お二人には感謝の気持ちで一杯である。

Hさん、Mさん、どうか末永くお幸せに!

2018/03/26

投資を継続すること

世界のマーケットの動揺は未だ収まらず、投資家にとっては決して気分が良い状況ではない。

私自身は、このようなマーケットの下落局面に慣れており、自分の金融資産が一時的に目減りしても正直なんとも思わないのだが、お客様の金融資産の変動に関しては当然、気になるものだ。特にリスク許容度が低いお客様や投資経験が浅いお客様は、内心穏やかではないかもしれないが、このような局面を耐えていくことで人間は強くなるものだ。長期投資において一番大切なことはIQや金融知識ではなく、マーケットの変動に対して感情を一定に保つこと、そして忍耐力である。頭のいい人が投資が上手いわけではなく、長く続けた人が上手いのである。もちろん正しい方法で。

よって私たちの仕事は、お客様に長期投資を正しい方法で継続していただくことに尽きる。お客様が途中で投資をやめることをできる限り、防がなければならない。日本人の投資信託の平均保有年数が未だに3年程度であるところに大きな問題がある。BUY&HOLDの徹底が必要であり、個人は生きている限り、法人も存続する限り運用しつつ、必要な時に必要な金額を取り崩すことが重要である。

人生の時間軸を考えれば一時的な目減りは全く問題ないし、むしろ追加投資の好機であり、リスクは将来リターンの源泉である。

長期投資を成功させるためには、さまざまな壁を乗り越える必要がある。最近、時々思うことであるが、投資は、人生と良く似ている。人生にもさまざまな壁がある。日本における受験制度や就活制度などはあまり感心しないが、現状では乗り越えるべき壁の一つかもしれない。最近、娘が就活が大変だとグダグダ言っているが、みんなそこを乗り越えて社会人になっているのだ。時代は違えど学生から社会人になるということは、誰にとっても大変なことである。

人生いろいろであることは言うまでもないが、誰のどんな人生であれ、いいことばかりではないけれど、悪いことばかりでもないはずである。良い人生であったかどうか判断するのは、人生の終盤においてしか不可能である。

当社のお客さまには殆どいないが、投資を始めて数年で上手くいかないと嘆くのは、かっこ悪いのでやめたほうがいい。逆に数年で上手くいった場合に喜ぶことも同様である。
数年の運用成績など殆ど運以外のなにものでもないからだ。

5年、10年、20年、30年しっかり投資を継続して、投資が上手くいったかどうかを冷静に評価するべきである。

2018/02/14

緊迫感なきマーケット

アメリカの株価急落から世界の株式市場に動揺が広がり、未だ落ち着かない状況であるが、マーケットには緊迫感が感じられず、危機的な状況からは程遠い。私自身、急落直後は何で下がっているのか?誰が売っているのか?理解できず、気持ち悪さもあったが、1週間情報収集し、
以下のような結論に至りつつある。

つまり今回の株価急落は、リーマン・ショックのような金融危機ではなく、急ピッチで上がった株が急落し、ただ落ち着きどころを探りながら乱高下しているということ。

週明けのアメリカ市場もやや落ち着きを取り戻し、日本市場もその流れを受けている。

世界経済は引き続き力強く、今回の世界的な株価下落は、さほど深刻なものではなく短期的な調整に終わる可能性が高くなったと感じている。大きく上昇していくような相場ではないが、落ち着きを取り戻し、実体経済の好調が再確認できれば、しっかりとした相場になっていく可能性は高い。

何度も言うが、世界経済は今後も成長していくわけで、世界株は、中長期的に上昇を続けていくのだ。

よって中長期な視点で見れば長期投資家にとって今回の株価急落は、良い調整であったという結果になりそうだ。

確かに昨年末から2018年1月にかけて世界株式の上昇は急ピッチであった。昨年10月頃から今年にかけて資産運用を開始した方は、今回の下落にびっくりしたと思うが、この程度の株価下落は、長期投資につきものである。また買ってからすぐに下がったことを全く心配する必要もないし、中長期で見れば少しの誤差であり、全く問題ないため安心してほしい。

マーケットが大きく動くと慌てて個別銘柄を買ったり、売ったりする人がいる。そのような衝動的な意志決定は、ほとんど成功する見込みはない。戦略がないため、長く続かない。自己責任の世界であるため、敢えて放置しているが、ほとんど成功の見込みはないことは明らかなのだ。いい投資家は、そのことを知っているが、ダメな投資家は自分の判断に自信を持っている。行動経済学でノーベル経済学賞を受賞したセイラ―教授がいう通り、人間は非合理的なのだ。

長期投資は、短距離走ではなく、マラソンである。冷静に42キロをどう走るのか考えなければならない。投資を始めて1年間の運用成績は、1キロ地点の順位に過ぎず全く気にすることはない。

当社は毎年お客様が増えているため、運用経験は、初心者の方から、30年のベテランの方までさまざまである。私自身も1995年から投資を開始し、アドバイザーとしてお客様にアドバイスを始めて11年である。早いもので高2の息子も投資を開始して6年である。

多くのお客様を見ていて思うが、5年間の運用経験ができれば景気サイクルを一通り経験できるため、投資家として一定程度成長すると考えている。もちろん自己流ではなく、正しいやり方で5年間の投資経験が必要である。自己流で投資をしている人は、残念ながらいつまでも上手くならない。下手を固めるだけである。例外もいるかもしれないが、私自身そのような人にお会いしたことはない。

今回の株価調整が短期で終わるならば将来のバブルの芽を摘む意味においても、また金融政策の正常化の過程においても、長期投資家にとって歓迎するべきものである。

ベストタイミングであるかどうかは別として追加投資の余力がある投資家は、しっかり戦略を立てて買っていく局面だと考えている。

2018/02/06

理由なき暴落

5日月曜日ニューヨークダウは、1175ドル安(4.6%安)史上最大の下げ幅を記録した。非常に嫌な気分であるが、債券が急反発したことにやや安心感を覚えた。

暴落の理由は、リーマンショックやITバブルのように特定することは難しく理由なき暴落であった。理由はないのだが敢えて解説するとこれまで量的緩和で世界的な金余りの中で株や債券が買われて割高になっていた反動で売られたということだろう。まだ詳細は分からないが理由なき上昇が解消されたということかもしれない。

数年前からのアメリカの経済状況を思い出すと、アメリカの景気(実体経済)が今一つ弱い中で、FRBは金融引き締めを急ぐことなく時間をかけて出口に向かうというシナリオが好感されてマーケットは上昇を続けてきた。悪い景気指標がむしろ好感されて、株が買われるというねじれた展開であった。

今回はその逆で、アメリカの雇用統計などが好感され、出口戦略に向かう過程で長期金利が上昇した。年初から急ピッチで米長期金利は上昇したものの、金利上昇の中身自体は決して悪いものではなく、むしろいい金利上昇ととらえている。しかしながらアメリカの好調な景気指標を受け金融引締めのピッチが加速されるというシナリオが嫌気されて、株が売られ、最近のロボアドバイザーなどのコンピューターも大きなボラティリティに作動し、売りが売りを呼ぶ展開になったと考えている。(あくまでも個人的な見解である。)

今後の展開を正確に読むことは難しいが、しばらく調整局面が続くことになると考えるのが自然である。短期で終わるのか、時間がかかるのか分からないが、しばらく反発するという感じではない。ただ中長期で見れば景気拡大局面の中の調整である可能性が高いと感じている。マーケットの下げとは対照的に実体経済は、概ね好調である。ときに経済とマーケットは、相関関係を崩すことがあるのだ。

経験の浅い投資家は、このような展開に一喜一憂するかもしれないが、長期投資においてこのような調整局面は避けられない。パソコンで投資信託の残高をちらちら見ても下がるときは下がるのだ。嫌な気分になる人は、見ないという選択肢もありだろう。マーケットに雨が降ってもじっと耐えることが必要である。このようなリスクを許容することで将来のリターンが生まれるためである。

今朝、長年お世話になるお客様から追加投資のタイミングについてメールで問い合わせがあった。正直なところベストタイミングがいつなのかは、分からない。またお客様の投資経験やリスク許容度によってその判断は異なるだろう。ただ大切なことは、マーケットが大きく変動しているときに慌てて意思決定する必要はない。大震災の時に慌てて間違った判断をすると大きな事故につながることと同様である。私自身、ファイナンシャルアドバイザーとしてリーマンショックを経験しているが、このような時こそマーケットを冷静に分析して、お客様と対話して、その人に会った最適な判断をしていきたい。

今回の件でご質問やご相談のあるお客様は、遠慮なく電話やメールなどでご連絡をお願いします。しっかりと個別に対応させていただきます。

2018/01/26

投資の王道

当社のお客様は、分散投資の意義を理解し、長期投資をたんたんと継続している。自分がやるべきことに集中して、資産運用に関しては、時間を味方につけて適切なリスクをとっている。適切なリスクがリターンの源泉であることを理解している。各々のリスク許容度に応じた資産配分で投資信託を活用する。BUY&HOLDが基本である。投資信託を使うことで、税金を繰り延べ、複利効果を最大限に享受する。運用期間は生きている限りである。日本全体でみるとこのような投資家は、ごく少数である。グレアム・ドット村の住人のように当社のお客様は、資産運用で目覚ましい成果をあげていくだろう。正しい考え方で正しい運用を実践しているからだ。

最近は、景気がいいせいもあり、世の中もやや緩んでいる気もする。うんざりするがビットコインなど仮想通貨に投資すべきかどうかといったたぐいの質問をよく受ける。オランダのチューリップバブルと同じ構図である。そして、あいかわらず節税目的のワンルームマンション投資の相談も。ワンルームマンションで明るい未来があると思う感性は、私には理解不能である。ワンルームマンション投資をしている人の多くは、金融資産を多く持っていないし、長期金利の意味も分かっていない。流動性が著しく欠如しているのだ。無知であることは実に危険である。

ビットコインもマンション投資もいちいちまじめに解説する価値もないと感じているが、そのような質問をする人たちの多くが残念ながら金融や経済の本質を全く分かっていない素人である。

仮想通貨に関しては、仮想通貨そのものではなく、背景にあるブロックチェーン技術に価値があるわけである。個人的には金融のノウハウを持っている銀行がブロックチェーン技術を活用して、送金手数料を下げてくれればいいだけの話である。ビットコインの正味価値を考えることもなく、まだ上がるかもしれない、儲かるかもしれないという理由で買っている単細胞が実に多い。日本人が世界で一番ビットコインを買っていると報道があったが正直なところ恥ずかしささえ覚えてしまう。1000兆円近い利息ゼロの預金とビットコインに群がる個人が、日本人の金融リテラシーの低さを象徴している。

人生100年時代において投資の王道とは何だろう?

やはり私たちが提案する長期分散投資である。株式と債券そしてオルタナティブ資産への分散投資が基本であるが、若い人は株式中心のポートフォリオ、中高年は株式と債券に分散、富裕層は、株式と債券とオルタナティブに分散という感じである。

個別銘柄のほうが分散投資するよりもリターンが高いと考えている個人は多いが、適切に分散された株式ファンドのリターンは個別銘柄を打ち負かす。リスクは小さくリターンも高いのである。バフェットのような例外は別として、個人投資家は個別銘柄への投資よりもファンドを使った分散投資のほうがいい。もちろん投資信託の銘柄選択は重要である。

当社のお客様でとても優秀かつストイックな30歳の女性がいる。2年前に投資を始めて初期投資した600万円は、800万円になり、その間追加投資した資金を含め運用資産は1000万円を超えた。また同じく優秀な29歳の商社マンの初期投資1300万円は、1800万円を超えた。お二人とも引き続き長期分散投資を継続していく方針である。しっかり仕事をして、必要な預金を確保した上で、残ったお金は適切なリスクをとって運用し、毎年、追加投資を実行している。二人の未来は経済的には不安はなく明るい。

どんな世界においても最後に成功するのは王道である。金融やマーケット、経済、過去の歴史を勉強すればするほど長期分散投資こそが、王道であることわかるのだ。

2018/01/05

2018年の抱負

新年あけまして、おめでとうございます。
本年も何卒よろしくお願い申し上げます。

さて2017年は、当社にとって大きく飛躍した1年であった。

具体的には、新規のお客様の数も預かり残高も急増し、当初目標の数字を挙げることができた。その結果、独立系ファイナンシャルアドバイザー(IFA)として当社の存在も業界に知られるようになり、各種メディアなどからも取材依頼を受けるようになってきた。

しかし、当社の基本戦略は、あまり目立たないこと。できるだけひっそりと、隠れながら圧倒的な結果を残していきたい。

ファイナンシャルアドバイザーとしても自分と誰かと比較するものではないが、昨年は、質量ともに最も仕事に集中し、充実した1年となった。いいお客様にたくさん出会えたことが何よりうれしかった。

だからこそ今年は、より気を引き締めて取り組む必要がある。最低でも昨年の1.5倍、できれば昨年の倍以上の結果を残す必要があると考えている。そのために何をするべきか?何をやめるべきか?年末年始に熟考することができた。何よりも健康が第一だし、アドバイザーとしてのレベルアップのための継続的な勉強も必要である。

超一流のプロ野球選手のように毎年、好結果を残すことが、ファイナンシャルアドバイザーとしての目標である。今年は年男でもあるが、体力、メンタル面でも一番力を発揮できる年齢だと感じている。いい緊張感をもって2018年も素晴らしい1年になるよう頑張っていきたい。

新規および既存のお客様の長期投資をしっかりサポートすること、まずはこれに専念していきたい。そして昨年は、今一つ情報発信という面でお客様とのコミュニケーションがやや不足していたため、ブログ更新頻度を高めて、コミュニケーションの強化をはかりたい。

2018年が当社のお客様にとって素晴らしい1年となるように頭をフル回転させて行動していきたい。

Bostonでインフレを実感

  昨年7月に続いて先週プライベートで ボストンに一週間程度滞在したのだが、あらためてアメリカのインフレと円安ドル高を実感した。昨年よりも確実に物価は高くなっていた。 まず家族4人でノースエンドのイタリアン人街にあるTrattoria I’ll Paninoに行った時のこと。 炭...