2018/07/19

投資は、アートである!

お客様に『投資を学ぶ上でお薦めの本は?』と聞かれることがよくある。

私は、以下の3冊を読むことをお薦めしている。一応、読むべき順番に並べてみた。

1.『敗者のゲーム』チャールズ・エリス著 
2.『キャピタル驚異の資産運用会社』チャールズ・エリス著
3.『投資で一番大切な20の教え』ハワード・マークス著

この3冊をじっくり読めば、個人投資家に必要な基本的なことは全て学べるだろう。

ハワード・マークス著の『投資で一番大切な20の教え』の中で投資とアートについて、以下のように触れている。(本文から抜粋)

『投資は、経済学と同じく、科学よりもアートの要素が強い。つまり理路整然とはいかないのである。』

『投資は科学であるのと少なくとも同程度にアートでもある。だから決まった型にはめられると説くつもりはさらさらない。むしろ投資アプローチは固定化したり、機械的に当てはめたりするのではなく、直感的に決め、状況に応じて適応させていくことが肝要なのだと声を大にして言いたい。』

私もハワード・マークスの考え方に100%同意するが、流行りのロボアドバイザーなどに運用先を委ねることには大変違和感を覚えている。

さて投資は科学よりもむしろアートの要素が強いという考えには、私も納得するところだ。資産運用アドバイスを日々する中で、資産運用に向いている人とそうでない人がいることに気づいた。その中の一つであるが、美術や芸術、アートの世界に携わっている人は、資産運用をやってもとても上手い。

逆に以前にもどこかでお話ししたかもしれないが、意外にも弁護士さんは全く向いていない。もちろん当社のお客様の弁護士さんのように例外もいるのだが、これまで多くの弁護士さんにお会いした印象ではリスクを取りたがらない職業柄なのかリスク回避的な傾向があり、資産運用には全く不向きだと感じる。弁護士に必要な能力は、資産運用にはあまり役に立たないのかもしれない。

生前、公私にわたって親しくさせていただいた越川修身先生は、芸術家であり、経営者であったが、彼は資産運用も抜群に上手だった。不確実な未来において、環境変化に適応する能力が非常に高い人であった。おそらく芸術活動においても作品を制作する過程で不確実なことばかりで、数学や科学のような法則のない世界で生きていたため、資産運用に対しても最初から本質を理解していた。『敗者のゲーム』を読んで、資産運用の世界は、とても面白いと言っていた。

なかなか彼のような人は、いないのだが、多くの人が、不確実な未来に不安を持ち、リスクを回避して、長期的な利益を失っている。もしくは短期的な利益を追いかけて、とるべきでないリスクをとっている。個人の性格要素も大きく影響するのだが、いずれもいい投資家ではない。

いい投資家とは、いい芸術家のように、忍耐力があり、長期的な視点を持ち、環境の変化に対応することができる人である。当社のお客様に美大出身者が多いのは、偶然ではないと思う。

2018/07/17

意思決定スピ―ドと資産の相関

猛暑の中であるが、日々お客様と資産運用の打ち合わせを行っている。

彼是10年以上にわたって多くの人にお会いし、お話しする中で、投資で成功する人とそうでない人の違いがわかるようになってきた。

当社のお客様は、基本的に素晴らしい人たちばかりであるが、特に成功している人たちほど、仕事に集中して、自分の時間を大切にしていると感じる。そして自分自身の時間だけではなく、他の人の時間、例えば我々アドバイザーの時間も大切にしてくれるのである。

一方で冴えない人は、総じて意思決定が遅い。結論を先延ばししても何のメリットもないことに無駄に時間をかけて、忙しいという理由をつけて時間を浪費する。

こういうタイプの人は、仕事でも資産運用でも成功することはないだろう。本当に忙しい人は、意思決定も行動も早いため、やるべきことを先延ばしすることはなく、すぐにやるということを徹底している。もちろん単純にスピードが早いということではなく、意思決定の質も極めて高い。資産運用においても感情に任せた投機ではなく、リスクを理解したうえで必要なリスク(とるべきリスク)をとって、時間を最大限に使って長期的にリターンを生み出そうとしている。

いい投資家ほど時間の大切さを理解し、時間を味方につけるため、成功するのである。

私自身も、ファイナンシャルアドバイザーとして経営者として投資家として、日々様々な意思決定を行っているが、意思決定の時間も仕事も極めて早い。

そもそも結論を無駄に先伸ばしするようなことをやっていては成功などできるはずがない。日本のダメな組織にありがちなスピード感の欠如は、生存競争が激しくなった今、致命的であるが、組織だけではなく個人も同様に意思決定が大変重要になってきた。

変化に対応できない個人は確実に競争から取り残されて、格差は今後ますます拡大する可能性が高い。人生において個人も、しっかりと意思決定して、決定した方向で最大限努力して、結果を出していくことが大切である。

本当に興味深いことに当社のお客様を見ていると、運用金額が大きい人ほど意思決定が早く、運用金額が小さい人ほど優柔不断で意思決定に時間をかけて、結論を先延ばしする傾向があるのだ。事実、当社でも億単位で運用しているお客様もたくさんいらっしゃるが、あきらかに1000万円運用する人よりも意思決定スピードが早い。

成功している人は、人生において、必要な意思決定をスピード感をもって適切に行ってきたからこそ、結果として資産が大きくなったということも言えるだろう。

Bostonでインフレを実感

  昨年7月に続いて先週プライベートで ボストンに一週間程度滞在したのだが、あらためてアメリカのインフレと円安ドル高を実感した。昨年よりも確実に物価は高くなっていた。 まず家族4人でノースエンドのイタリアン人街にあるTrattoria I’ll Paninoに行った時のこと。 炭...