リーマンショックから約半年後の2009年3月10日にNYダウは、6500ドルまで暴落した。2018年9月17日のNYダウは、26000ドル。株価は、底値からちょうど4倍になったのだ。
2008年9月15日のことは、仕事柄、鮮明に記憶に残っている。
人生において世界が動いたと感じる瞬間は、何度かあると思うが、リーマンブラザーズの破たんはその一つだろう。
マーケットは、リーマン破たん後、まさに100年に一度の危機に陥り、瞬く間に世界経済を急速に悪化させた。
当時、私自身、独立してファイナンシャルアドバイザーとして活動して2年目であった。NYダウはリーマンショック前の高値14400ドルから翌2009年3月10日には6500ドルまで暴落した。当然、当社のビジネスにも大きな逆風が吹いた。今思えば、創業間もないベンチャーにとって最大のピンチだったかもしれないが、奇跡的に乗り越えることができた。同業で廃業した人をいっぱい知っているが、当社は生き残った。
そんなどん底の時期から、おつきあいさせていただいているお客様は特別で、今も仲良くさせていただいている。
さてリーマンショックによって震源地のアメリカではこれまで選挙に行かなかった低所得者層やマイノリティの票がオバマ大統領に流れ、黒人初の大統領を誕生させた。アメリカ国民は、オバマ大統領に熱狂したものの、リーマンショックの傷跡はあまりにも深く、これまで経験のない大規模な量的緩和策が長期間にわたって続けられた。個人的にオバマ大統領はアメリカの歴史に残る優れた大統領であると思うが、あまりにもアメリカ経済が疲弊していたこともあり、在任中の評価は決して高くなかったかもしれない。
アメリカのみならず欧州ではギリシャ危機が欧州全体に波及し、欧州債務危機に発展した。日本のデフレも深刻で日米欧先進国の経済は、リーマンショック以降、停滞することになった。
バーナンキ議長からハト派のイエレン議長にバトンが渡されても尚、ゼロ金利状態は続いたが、ようやく長く続いた危機にも出口が見えてきた。ゼロに張り付いていたFF金利も徐々に慎重にゆっくりと引き上げられ、日本や欧州に先行してアメリカは出口に向かっている。
アメリカ経済は少なくとも失業率や雇用統計、企業業績、消費の面では回復に向かい、マーケットも2009年3月を底に大きく上昇してきた。
2016年にはブレグジッドとトランプ大統領誕生に世界が驚いたが、トランプの政策とは無関係にアメリカ経済は力強く一人勝ちの様相である。金融政策も正常化に向かっており、パウエルFRB議長は、来月にも追加利上げを発表することが濃厚である。長期金利も3%程度で推移している。
世界経済とりわけアメリカ経済は堅調であるが、トランプ大統領の中間選挙前のパフォーマンスによってマーケットは上値が抑えられている形である。アメリカが強気で中国に貿易戦争を仕掛けられるということは、ある意味でアメリカ経済に余裕があるからであるが、この好景気のサイクルがいつまで続くかは誰にも分からない。神のみぞ知るということであろう。
資産運用においては初心者ほど価格変動を気にして投資タイミングばかりを考えがちである。いつ買うべきか?いつ売るべきか?ばかり気にする。オリンピック前か後か?のようにイベントを気にする。オリンピックの前か後かなど正直、資産運用には全く関係ないのだが。
当社のお客様は、基本的に長期投資家である。時間を梃にして長期でしっかりお金を増やしていくことを考えている。価格変動ではなく、長期でインカムを積み重ねることを意識している。
少しずつであるが長期投資の輪が広がっており、この10年で当社のお客様の数もそれぞれの資産規模も大きくなっている。非常に厳しい10年であったが10年前の危機的な状況下で投資していただいた株式型投信の価値は概ね3倍になっている。正しいリスクをとっていれば一時的な値下がりがあったとしても、長期ではしっかりとリターンが生まれるのだ。
これからの10年もマーケットは安泰ということはあり得ないし、リーマンショックほどでないとしてもマーケットの調整局面は何度かあるだろう。リーマンショックの教訓であるがそのような局面で一喜一憂してはならない。むしろ長期的にはチャンスと捉えるべきである。
長期の視点で見れば今後も世界経済は、成長を続ける。20年後に世界のGDPは今の約2倍になるのだ。世界経済が成長すれば広義の意味のマーケット、世界株式は上昇していく。いい投資家はその本質を理解している。だから一喜一憂しないで安心して投資できるのだ。
リーマンショックは、個人的にも企業としても本当に厳しい経験であったが、あのショックを乗り越えたことで、当社は強くなったと感じている。しかし願わくは、本当に100年に一度の出来事であってほしいものだ。
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