2019/10/31

日本の未来

恥ずかしながら私の高校時代は、毎日、野球の練習に明け暮れ、日々の勉強時間は、ゼロであった。高校入学から2年間以上は自宅で勉強することはなかった。野球の練習で疲れはて、帰宅するとご飯を食べてお風呂に入ってすぐに寝ていた。土日も休みなしで野球の試合と練習という日々。今、考えれば部活ってなんなんだろう。プロ野球選手になるわけでもないのに。

高校3年の最後の夏の大会が終わって、ようやく大学受験のため猛勉強をはじめたものの、これまでのつけは重くなかなか成績は上がらなかった。年明けにラストスパートで追い込み奇跡的に大学に入学したものの、大学に入ってもほとんど勉強のスイッチは入らなかった。習慣とは実に怖いものだ。

今思えば勉強に関していうと貴重な時間を無駄に過ごしたということだろう。そんな青春の日々も懐かしいが、私の学生時代(高校~大学)は1986年~1993年、まさにバブルがピークに達して崩壊する寸前であった。世の中もなんとなく浮かれていて私自身も何も考えずに生きていた。本当に愚かな学生だったことは間違いない。

高校3年間、野球に打ち込んだことは、良き思い出であり、体力や精神力を養う意味では素晴らしい経験であったが、一番吸収力が高い時期に野球以外のことをしなかったことはもったいなかった。後悔したところで今更どうにもならないし、完全に自分が悪いのだが、学校の授業が面白くなかったことも、勉強に対するモチベーションが上がらなかった大きな要因であった。もちろん少数であるがいい先生もいたし、いい授業もあった。

しかしながら学校の授業に興味を持ったり、楽しかったいう印象は、ほとんどなかった。
多くの授業がテストのための勉強で退屈だったからだろう。

今、年齢を重ねて若い人に接する機会も多いのだが、私の考える理想的な教育とは、学生時代のうちに社会に出て稼ぐ力(人的資産)を高めること、つまり労働力を養うことが最大の目的だと考えている。生きていくためには稼がなければならないのだ。

その点では日本の高校、大学、また受験制度などは全く人的資産を高めるということに貢献しているとは思えないのだ。息子は高校生の時にカナダの高校に1年間留学したが、日本の授業と違ってディスカッションやプレゼンなど実践的で役に立つから、授業がとても面白いと目を輝かせていた。日本では見たこともない目だった。分からないところは、先生に聞きに行くと丁寧に教えてくれるし、通知表を見ても先生のコメントから子どものことをとても良く見てくれていることが伝わってくる。テスト結果だけでなく生活態度や授業に参加する姿勢をとても評価してくれるのだ。授業も日本のようにクラスはなくて大学のように興味のある授業を自主的に選択する。各クラスは10名程度でそれぞれが授業にしっかり準備をして参加する。

一方で日本の高校は教科書の暗記とテストの繰り返し。社会人経験のない先生らの授業は教科書をただ解説しているだけで全体的に退屈だったようだ。

日本とカナダの高校に通った息子は迷うことなくカナダの高校のほうが良いと考え、アメリカの大学に進学した。世界各国から集まった留学生らもアメリカの学生も必死で猛勉強しているので彼らに負けたくないという気持ちが強いようだ。今年、ゴールデンウィークに大学のキャンパスを見学したのだが、休日にもかかわらず多くの学生が一生懸命勉強する姿を見て、日本が心配になった。

もちろん日本にも優秀な大学生はたくさんいるし、いい学校も先生もいると思うのだが、全体的に日本の学生は、大学受験で疲弊して、大学に入るとバイトと遊びに精を出して勉強しない。私も典型的にそうだった。学生だけでなく多くの大学教授の講義もしょぼい。
私と逆で勉強しかしていない教授が多いから、つまらないのだ。アメリカでは、勉強ができるだけでは評価されないそうだが、日本では勉強ができることを評価しすぎではないか。バランスが悪いのだ。

日本は、ただでさえ少子化で学生の数が減っているわけだが今も私の頃とさほど変わらず大学時代に本気で勉強をする学生は少ないため、当然の結果として、人的資産が高い若者は少ない。日本全体として稼ぐ力は弱く、国際競争力は低下し、国力は低下する。

『アベノミクス』とか『黒田バズーガ』とか政治家らの言葉に踊らされ、未だに期待を寄せている人もいる。そんなものは幻想で国の成長にほとんど寄与しないことにそろそろ気付くべきだろう。大衆迎合的な政治家とそれに期待する国民という構図は日本だけではないが、長期的には各国の財政を悪化させ未来の人たちは、大きなツケを払わされることになるだろう。

GDPが成長しない日本、つまり付加価値を生み出せない日本人の給料は、ざっくりいうとアメリカ人の半分程度になっているのではないだろうか。中国は、政治的にも社会的にもさまざまな問題を抱えていることは確かであるが、都市部に住む中国人は、経済的に平均的な日本人よりも豊かになったことも事実である。

残念であるが日本を代表する企業ソニーの平均年収は、910万円でフェイスブックの年収2600万円と比較すると約3分の1程度というのが現実なのだ。

ソフトバンクの孫さんが危惧しているように、このままいくと日本の未来は絶望的だろう。若い人だけでなく私たち大人がもっと危機感を持って頑張らないと、沈んでいくことは確実である。特にこれまで安泰と考えられてきた大企業も世の中の変化に対応できないと危ない。私の見る限り大企業で比較的調子が良い企業の多くは、経営者が優れている。ワンマン経営者も多いかもしれないが意思決定のスピード感が典型的なサラリーマン社長と違う。ミスもあると思うが、とるべきリスクをとっているからこそ、リターンを得られるのだ。

当たり前であるが国や会社、政治家に多くを期待したところで、何も変わらない。誰かに期待するのではなく一人一人が自立してやるべきことをやるしかない。

初の自国開催ワールドカップで初めてBEST8に進出したラグビー日本代表は、ONEチームとなって日本に感動と希望を与えた。

そして先週、日本で初開催されたPGA、ZOZOチャンピオンシップでツアー82勝となる優勝を果たしたタイガーウッズに敗れはしたものの見事に2位となった松山英樹の気迫溢れるプレイは圧巻であった。

『諦めない気持ち』と『ハードワーク』こそが未来を切り開いていくことを証明してくれた。

若い時に頑張らなかった私にはまだ余力がかなり残っているはずだ。まだまだ自分の仕事で頑張って日本を少しでも明るくしたいものだ。

ラグビーとゴルフを観戦して、ちょっとモチベーションが上がっている中浜です。

2019/10/08

健康を考える

大企業に勤務する皆さんは、健康保険組合が非常に充実しているため、毎年定期的に健康診断を実施していると思うが個人事業主や専業主婦の方、零細企業の経営者やその家族は、健康診断をしていないケースもあるようだ。車検を受けていない車のように危険である事は言うまでもない。健康診断が好きな人は、なかなかいないと思うのだが、医療技術の向上で癌なども早期発見すれば完治するケースが多く、老若男女問わず健康診断は大変重要である。

当社はファイナンシャルアドバイスの会社であるが、当然、お金よりも健康のほうが大切だと考えている。心身ともに健康であることが最優先であり、健康は、お金で買うことはできない。

当社も定期的に人間ドックを受診しているのだが、私自身の健康状態は、意外にもほとんど問題ないものの、若い頃と比べるといくつかの数値がやや悪化しており、その都度、看護師さんや栄養士さんから指導を受け、反省し、生活習慣を改善させるべく努力をしているところだ。

昨日も健康診断結果を片手に『やっぱり暴飲暴食って良くないんだね。』というと妻に『今頃気づいたの?』とあきれられたが、日本という国は美味しい食べ物やお酒がありすぎるため、健康意識をしっかり持っていなければ実に危険な国である。

うちの息子は小さいころから高校1年生までお菓子を良く食べていたが高校2年の時にカナダに留学して以来、全く間食をしなくなった。夏休みに一時帰国してもお菓子は食べなくなった。アメリカでも全く間食しないため、高校時代の体形そのままである。

中浜的には、息子が間食をやめた理由は、海外は日本ほどお菓子などが美味しくないためだと考えている。息子は、食べることにさほど生きがいを感じているわけではなく、別のことに生きがいを持っているのだろう。

最近の私は知らず知らずのうちに美味しいものや美味しいお酒を飲むことに一番の生きがいを感じ、全国の居酒屋を巡っていたのだが、それが一番の生きがいでは駄目駄目だと思う。

理想的にはラグビー日本代表にとってのワールドカップのように、もっと熱くなれる何かを一番の生きがいにしたいものだ。そのあたりをもう一度じっくり考えてみたい。そして今更ではあるが『健康』についてもっと学び、自分自身が健康管理をしっかりして、人生を楽しんでいきたい。

*親友が送ってくれた銘酒 東洋美人壱番纏(いちばんまとい) もったいなくてまだ飲んでない。


2019/10/06

世界一お金の使い方が上手い人

世界経済の減速懸念からマーケットは不安定な展開が続いている。このような局面を何度も経験しているが、私自身も一喜一憂はしないものの決して気持ちのいいものではない。投資経験が長いお客様にとっても同様だと思うし、投資経験の浅いお客様はマーケットが下落すると不安になると思う。しかし、こればかりは慣れていくしかない。マーケットは短期では上がったり下がったりを繰り返しながらも中長期では成長してきた。資本主義社会の本質である。

長期投資で成功するためには、このような局面を何度も乗り越えていかなければならない。リスクがあるからリターンが生まれる。リターンの源泉は、リスクなのだ。

もちろんお客様の性格やリスク許容度(年齢、資産、収入)によって、感じ方はさまざまであるため、アドバイザーとしてはその人に合った対応が必要である。弱気になって感情に任せて途中で運用をやめるのは最悪である。その人にとって適切なポートフォリオであればBUY&HOLDで運用を継続することが大切である。

独立系ファイナンシャルアドバイザー(IFA)として10年間以上にわたって、お客様と向き合ってきた。最近、感じていることの一つは、お金に対する適度な執着は資産形成にプラスになるものの、あまりに執着が強すぎるとお金に振り回され、幸せになれないということである。逆にお金に全く執着がない人は、残念ながらお金は貯まらないケースが多いため、『適度な執着』が良いと感じている。

当社のお客様の多くの方と議論するのだが、ある程度、資産形成に成功している人は、いい意味で『お金が好きな人』が多いと思う。それ自体はとてもいいことなのであるが、決してお金が目的となってはならない。あくまでもお金は目的のための手段である。

最近、ネットフリックスで『天才の頭の中 ビル・ゲイツを解読する』という3部構成のドキュメンタリーを見たが、世界有数の大富豪であるビル・ゲイツとメリンダ夫人が財団を通じて世界の様々な問題を解決するために奮闘しているリアルな姿が印象的であった。この番組を見る前は世界一の大富豪が引退して、老後に悠々自適に財団を運営していると思っていたのだが、全くそうではなかった。世界を最適化するためにその頭脳を駆使し、誰よりも勉強し、深く思考し、苦悶しながらハードワークしているのだ。

最近、世界一の富豪の称号はアマゾンのジェフ・ベゾスに譲ったが、世界一お金の使い方が上手な人物はビル・ゲイツであると感じた。長らく世界一の富豪として君臨し、そして今度は、その巨額の財産と天才的な頭脳を駆使して世界を最適化する。研究だけする学者と違って、実際に行動して世界を変える。人類史上ビル・ゲイツのような人物は、初めてだろう。世界一の投資家バフェットがゲイツ財団に自身の財産の多くを託すことを決めた理由は、彼に任せることが世界にとって一番いいと確信したのだろう。

ドキュメンタリーには、バフェットも出演しており、非常に貴重なプログラムであるため、興味のある方は是非見て欲しい。LINEでアメリカ留学中の息子にも勧めたら、『もう見たよ』とそっけない返信があったが、どうやらアメリカでも話題のドキュメンタリーのようだ。

我々、庶民にビル・ゲイツの真似をすることは不可能であるが、お金を稼いで資産を作るだけではなく、資産を有効に活用することで人生を豊かにするところまで意識することが大切である。資産形成は重要であるが、お金に振り回されてはいけない。マーケットに一喜一憂して資産運用をやめるのではなく、生きている限り資産運用を継続していただき、長期で成長させながら、必要な資金は、『運用しながら取り崩す』というスタンスをとってほしい。

ところで最近、ネットフリックスに一時の勢いはないが、このようなドキュメンタリーが配信されると、なかなか解約できないなと個人的には思った。


2019/10/03

マイナス金利とインデックスバブル

そもそも金利とは経済における体温計のようなものである。

世界経済とりわけ先進国における低金利状態は、ビジネスがなかなか儲からない状態、人間の体に例えると低体温症といってよいだろう。日銀の黒田総裁は就任以来、持続的な物価上昇率2%になるまで異次元緩和を続けると明言していたが、未だに持続的な物価上昇の気配は全く見られない。最初から分かっていたことであったが金融政策で物価を上げることは不可能であった。

日本は世界で前例のないくらい長く続いたデフレ(持続的に物価が下がる)状態からは、脱却したものの物価上昇2%の目標達成は、現在の潜在成長率から考えると少なくとも10年は不可能だろう。(一生無理かもしれない。)急激な円安による輸入物価の上昇、コストプッシュ型のインフレがあったとしても経済の好循環による持続的な物価上昇とはならずあくまでも一時的なものである。

個人の可処分所得(物価を考慮した実質所得)がなかなか伸びない状況でのインフレは、消費者にとって望ましくないため、経済成長率に見合った物価上昇が望ましい。よってマイナス金利もしくは低金利下の現状は、マイナス面も多く受け入れがたいものの日本経済の現状(実力)に見合った金利水準であり、ある意味仕方ないのかもしれない。銀行をはじめとする金融機関にとってはつらいが、巨額の借金を抱える国は救われているという構図である。日銀の異次元緩和は、ファイナンシャルリプレッション(金融抑圧)によって国を救っているという側面があるのだ。

新興国はまだまだ経済成長の余地はあるが先進国を含めた世界経済全体でみれば人口増加も鈍化しており高度成長期は終焉した。低成長の先進国と高成長の新興国と合わせて世界経済成長率は、3%~3.5%強がいいところだろう。中国のGDP成長率の推移と急速な少子高齢化は、高度成長の終焉の象徴で10%を超える成長率を達成した2010年代初頭をピークとして、現状6%前半にスローダウンしており、米中摩擦によってさらに減速することは避けられない。

このような世界経済の環境下において、全ての企業の株価がずっと右肩上がりで上昇していくことは不可能である。だからと言って個人が大した調査もしないで思いつきで個別銘柄を買う行為は極めて危険で、投資ではなく単なるギャンブルである。

経済が成熟すると強い企業と弱い企業の格差はより鮮明となる。高度成長期のように経済のパイが大きくなる時は、頑張った人も頑張っていない人も給料が上がったが、成熟した経済においては、みんなの給料をあげることは不可能なのだ。

個人の資産運用において、このような背景を考えると世の中でよく言われているようなインデックスファンドを買えばよいといった安易な運用方法は、実に危険である。質の悪いアクティブファンドよりは、いいかもしれないが、ベストチョイスではない。リーマンショック後の2009年のようにすべての株が下がっている局面ではインデックスファンドは有効であるが、今は違うと考えている。

私の現状認識であるが日銀やGPIFを含めた機関投資家のみならず個人投資家も思考停止したようにインデックスファンドに群がり、まさにインデックスバブルと言っていい状況である。マイナス金利でお金の置き場所がないことからインデックスファンドが受け皿になったと考えている。マイナス金利の副作用の一つであるがゾンビ企業を生み出す傾向がある。金利によって救われている生産性の低い企業の株式がインデックスファンドを通じて買われており、株価が業績と乖離して割高に放置されている株式が多いのではないか。これがインデックスバブルの正体である。例えば東証一部に上場する企業は2000社を超える。TOPIX(東証株価指数)に連動するインデックスファンドは、時価総額で加重平均されているが2000社超の株式に投資しているということである。個人的にはコストが安いとしてもTOPIXを買いたいとは思わない。インデックスを買うなら、日経225のほうが良い。

言うまでもないが世界経済は、非常に厳しい局面を迎えている。今こそ運用会社の実力差が出る局面であり、ファンドの選択と長期投資の継続が重要である。良質なアクティブファンドをコアとした最適な運用プランをお客さまに提案していきたい。

Bostonでインフレを実感

  昨年7月に続いて先週プライベートで ボストンに一週間程度滞在したのだが、あらためてアメリカのインフレと円安ドル高を実感した。昨年よりも確実に物価は高くなっていた。 まず家族4人でノースエンドのイタリアン人街にあるTrattoria I’ll Paninoに行った時のこと。 炭...