2020/03/11

大底はどこか?

リーマンショック以来の緊張がマーケットを覆っている。私自身、リーマンブラザーズが史上最大の破綻をした2008年9月15日以降の半年間のマーケットは、お客様の大切な資産をお預かりする立場としては、まさに地獄のような日々であった。

さて、そのリーマンショック後のセリングクライマックス(大底)は、11年前の2009年3月10日であった。

2009年3月10日の日経平均終値は、7054円。

3月9日NYダウの終値は、6547ドルに急落。これを受けて日経平均株価は、大底となる7054円をつけたのだ。

その後、各国中央銀行の金融緩和、中国政府や各国政府の巨額の財政出動によってマーケットは、回復基調に戻っていったのだ。

さて、今回のコロナショックに関してはどうか?従来のマクロ政策には金融、財政ともに政策余地は乏しく、かなり限定的であることは明らかである。

今週月曜日、2020年3月9日のNYダウは、史上最大2000ドル超の下げを記録し、終値は23851ドル。

2020年3月9日の日経平均は、1年2か月ぶりに2万円を割り、終値は1万9698円。

NYダウは、3月10日大幅に反発し、日経平均も一旦、下げ止まった。

まだまだ予断を許さない状況であることは間違いないが、先週から続いているパニック売りに一旦歯止めがかかった形である。

コロナの感染やロシアやサウジの動向に左右される原油価格、米国金利の低下による為替の動きを注視することが必要で、未だセリングクライマックスといえる雰囲気ではないが、リーマンショックから半年後の2009年3月9日の大底、そして今回も2020年3月9日のNYダウが大底となることを期待したい。

当社のお客様からは昨日から多数ご連絡をいただいており、昨日は通算5時間以上お客さまと電話でお話した。今の現状について私のオピニオンを正確にお伝えしたいと考えている。

皆さん、もちろん大きな下げに驚きはあるものの、概ね冷静で余力のある方はたんたんと追加投資を継続していただくことを確認した。もちろん大底がどこになるか?は分からない。(3月9日であってほしいが。)しかし、中長期の視点でみると現在の水準は、追加投資の良いタイミングと考えている。ただ気をつけていただきたいのは、バランスの取れたポートフォリオにおいて債券を売って株を買うことによってポートフォリオバランスを変更するような追加投資はあまり良くないと思う。株式の比率を高めることでよりリスクを高めることになるからだ。

あくまでも追加投資は、計画された無理のない金額で実行していただきたい。私のポートフォリオもすべての投資家と同様に大きく下げているが、全く気にならない。将来、戻るとわかっているからだ。これまで通り、自動的に積立投資が実行されていくだけである。自分のお金は全く気にならないが、お客様のお金が一時的とはいえ減ることは心が痛い。リーマンショックの時の気持ちを思い出すし、何度経験しても慣れないものだ。

大底はどこだ?というテーマであるが、正直、分からない。大底で運良く買える人もいる。当社のお客様で2009年3月10日に追加投資を実行した人がいたが、それはあくまでも偶然である。

よって当初の運用計画に従ってたんたんと運用することが重要である。当社のお客様の多くが、まだ現役でお仕事をしている方々であるが、リスク許容度の高い方は、追加投資を実行していくべきである。遅かれ早かれコロナが終息すればマーケットは落ち着いていく。ここまで感染が拡大すると株価が急回復とはいかないと思うし、大底はまだ先かもしれない。しかし時間をかけて回復基調に戻ることは確実であり、このような危機の中での冷静な投資行動は中長期では報われることは間違いないだろう。

退職されているお客様は、追加投資はなかなか難しい。よって現在のポートフォリオがマーケットが回復した時にしっかりと反発するものかどうかの確認が必要である。マーケットが回復しても、価格が戻らない資産は売却するべきである。

コロナ後の世界は、大きく変わりそうだ。テレワークやリモートワークは、コロナ後も定着するし、クラウドコンピューティングや5G、コロナのワクチンも開発され、世界はますます進化していく。

リスクオフで世界の株は売られ、先進国の国債など安全資産に一旦、逃避した。(質への逃避)しかし、いつの時代も金利のない安全資産にいつまでもお金が置かれることはない。

このお金がコロナ後にどこに流れていくのか?

それは時代の変化に柔軟に対応できる企業であり、世の中の課題を解決できる企業である。そのような視点を持ってコロナ後に備えたい。

個人的に今回のコロナショックは人生で3度目に大きな試練と位置づけたい。

第一の試練 2006年~2007年 急性リンパ性白血病で本当に死にそうになった時

会社を辞めてリハビリしつつ独立後まもなく

第二の試練 2008年~2009年 リーマンショックで経済的に死にそうになった時

第三の試練 2020年~     コロナショック

過去を振り返ると

1997年~1998年、アジア通貨危機(マレーシア在住時)
2001年9月11日のNY同時多発テロ事件
2011年3月11日の東日本大震災
2019年5月の肉離れ(筋肉断裂)

の時期もつらかったが、それらの時期とは比較にならないくらい、今回は厳しい戦いになるかもしれない。しかし、私もショックを乗り越えるたびに強くなっている。
ニコラス・タレブの『反脆弱性』にある『反脆さ』を今こそ発揮する時である。

昨日、30代の女性のお客様に電話で現状報告をして、最後に
『ファイナンシャルアドバイザーの私にとっても人生の大きな正念場であり、当社のお客様を全力でサポートして、この試練を乗り越えていきたい。』とお話しすると、

『中浜さん、頑張ってください!応援しています!』と力強い言葉で逆に励まされ、勇気をいただいた(笑)ご本人も大変な時であるにもかかわらず、実にありがたい。

当社のお客様は、本当に素晴らしい。

全てのお客様と一緒にこの試練を乗り越えていきたい。
伊勢神宮 内宮にて

2020/03/09

真価が問われる時

コロナウイルスの世界への感染拡大とともに、世界のマーケットは、リスクオフ全開で売りが売りを呼ぶパニック状態に陥っている。確かに大変なウイルスには違いないが、未知のウイルスに対する人間の過剰な反応が事態をより悪化させている。行き過ぎた悲観が世界に蔓延し、悪いスパイラルにはまっているようだ。

皮肉なことに発生源となった中国の上海総合指数は比較的落ち着いて推移しているが、日米欧含め先進国、インドやブラジルなど新興国市場も総崩れ、NY原油先物価格は、サウジアラビアの増産姿勢を受けて一時28ドル/バレルをつけた。為替も一時、1ドル101円台まで円が急伸。NYダウ先物も一時5%の大幅安の展開でまさにリスクオフでマネーが逆流。今後のリセッションを織り込むような展開となっている。

リーマン・ショック同様にコロナ・ショックもまたブラックスワンとして歴史に刻まれることは間違いない。

当社のお客さまからも様々な問い合わせがあり、個別に対応させていただいているが、このような状況では静観すること、追加投資の余力がある人は、長期投資を前提に買っていっていい。短期で考えるのであれば、ギャンブルなのでやめたほうがいい。

皆さんから質問があるがコロナウイルスがいつ終息するのか?マーケットのパニック状態がいつまで続くのか?について正確に予測することは困難である。1カ月で落ち着くかもしれないし、長引いて半年かかるかもしれない。今後の推移を注視していくしかないだろう。

中国においては湖北省、武漢以外の地域で新たな感染者数(信用できるかどうかは別として)は減少しており、ピークアウトしている。これはいいニュースである。日本においても政府がややバタバタしている印象はあるものの、感染拡大は比較的、抑えられており、よく頑張っているといえるのではないか。韓国やイタリアの感染はより深刻でついにはイタリアでは、握手やハグも禁止されたとの報道も。こんな事態は初めてだろう。

相撲も高校野球も無観客でコンサートなど各種イベントも延期や中止、プロ野球、Jリーグの開幕も延期される見込みで実体経済への影響は日に日に拡大しており、東日本大震災後のような自粛モード全開となっている。

私自身も不要不急な外出は、控えているが、家族など少人数で外食することはできる範囲で継続している。先週も最近、通っている横浜のお寿司屋さんに行ったのだが、大将と話していると中小の飲食店は本当に大変な状況であることは間違いなく、こんな時だからこそ微力ながら応援したいと考えている。企業活動において、多くの会社が売り上げ、利益の減少は避けられない。よってバランスシートがより重要となるわけで、コロナが終息するまで、耐えられるかどうか?生き残れるかどうかがポイントである。まさに経営者としての真価が問われる状況と言えるだろう。

もちろん経営者だけではない。今回のコロナショックは、全ての人において危機である。
思考停止するのではなく、冷静に考え、適切に行動することが大切である。

私自身は、あらためてコロナショックを乗り切るために以下のようなことを心がけている。

・不要不急の外出を避ける。(感染しない、万が一感染しても他人にうつさない。)

・手洗い、うがい、消毒、マスクなど基本的なことを徹底する。

・できる限り、お客さまとテレワークにてミーティングする。
(新規のお客様対応時は、感染に十分注意して訪問する。)

・長期投資を継続していただくために、しっかりとコミュニケーションをとる。

・飲食店には基本、開店時間に行って、食べて、飲んで、お店が込み合う前にサクッと帰る。

・今こそ気力と体力が必要である。自宅の近くでジョギングを開始。自宅で筋トレも開始。

・免疫を高めるため、栄養バランス、睡眠時間に留意する。

・コロナ後を想定し、通勤時間や移動時間で浮いた時間を使って情報のインプットや良書を読むことを徹底する。(Think Smart ロルフ・ドベリ著のような良書)

マーケットは、大嵐の真っ只中で当社のビジネスにも強い逆風が吹いている。当社のお客様の大切な資産も一時的に大きく下がっており、当然ながら、みんな気分がいいはずはない。私もコロナを恨んでいるものの、この危機的な状況をお客様とともに乗り越えていけると確信している。今、やるべきこと、できることをたんたんとやりつつ、コロナ後にしっかりと備えたい。

全ての人、全ての企業や組織、全ての国家の真価が問われる時である。

個人的には、こんな時こそ元気を出して、お客様や周りの人たちを元気にしたいと考えている。
横浜上大岡 鮨処あり多

Bostonでインフレを実感

  昨年7月に続いて先週プライベートで ボストンに一週間程度滞在したのだが、あらためてアメリカのインフレと円安ドル高を実感した。昨年よりも確実に物価は高くなっていた。 まず家族4人でノースエンドのイタリアン人街にあるTrattoria I’ll Paninoに行った時のこと。 炭...