2020/10/23

お金が貯まる人

 当社は、2006年に創業して今年15年目を迎えた。最初のお客様は、15年間サポートさせていただいており、一番新しいお客様は、昨日、運用をスタートしたお客さまである。

現在、お客さまからお預かりしている資産は120億円(ファイナンシャルアドバイザー2名)を超え、日々、責任の重さを感じつつ活動している。当社は、原則3000万円超の金融資産を保有する個人と1億円超の法人のお客様を中心にサポートさせていただいている。

当社のお客様は、各業界で活躍している素晴らしい皆さまである。20代で3000万円超の金融資産を自力で貯めたお客様もいるが、多くは30代~50代の働き盛りのビジネスパーソンが中心である。

60代超のお客さまも多数いらっしゃるが、当社のお客様は、大手証券会社の顧客と比べて若く、現役で仕事をバリバリやっている方が多いのが特徴でほとんどのお客様が継続的に追加投資を実行していただいている。当社のお客様は、まさに日本を代表する賢明な投資家といえるだろう。

職業は、会社員、公務員、経営者、税理士、弁護士、司法書士、開業医、勤務医、プロスポーツ選手、芸能人など実にさまざまであるが、男女比率は、近年、女性のお客様が増えていることもあり、ほぼ50:50といった感じ。

当社のお客様を見る限りでは、女性のほうがお金を貯める能力は高く、資産運用においても長期的な視点を持って我慢強く、継続投資できる方が多いと思う。所得においては男性のほうが稼いでいる人は多く、1億を超える資産を保有する人は男性のほうが多いが、40代~50代で5000万円~1億円の金額を自力で貯めている女性のお客様も多く、新しい時代の成功者だと感じている。

当社のお客様の中でもで資産形成が順調に進んでいるトップレベルの方は、30歳で2000万円、40歳で5000万円、50歳で1億円に到達している。この半分の数字、30歳で1000万円、40歳で2500万円、50歳で5000万円貯めれば十分に凄いレベルであるが、当社のお客様は、それ以上のトップレベルの方が多い。

では30歳で2000万、40歳で5000万、50歳で1億円という金融資産を保有している人は、どのような人なのか?

あらためてであるが、

資産形成とは (収入―支出)+(資産×運用利回り)である。

収入が高く、賢い支出をして、余剰資金を長期で運用して、ふやしていくことが大切である。

●まず自力で金融資産を貯めている人は、間違いなくストイックで仕事ができる人が多い。自分の専門領域における能力が高いため、必然的に平均よりも収入が高くなる。

●支出であるが、極めて質素(シンプル)で無駄がなく、賢い支出をしている。当社のお客さまでトップレベルの人に浪費家の人は一人もいない。しかし、自分自身の人的資産価値を高める支出には惜しみなく使い、消費にメリハリがあるといった印象である。ストイックに自分のやるべき仕事に集中して、身の丈にあった生活をした結果、自然な形でお金が貯まったという方々である。

●資産運用に関しては、基本的に当社と相談の上、リスク許容度に応じた運用方針を決めて、それに沿ってたんたんと実行している。仕事中にスマホでちらちら株価をチェックしているような人は、一人もいない。自分のやるべきことに集中しており、資産運用は、長期的な視野を持ち、基本的に当社に任せていただいている。実に合理的な方々である。

このようなお客様は、日本でも世界でも、まだまだ少数派であることは間違いない。世の中は、あいかわらず日々の株価に一喜一憂して、ネットで調べた表面的な情報をもとに売り買いしている素人のギャンブラーで溢れている。このような人たちが成功する確率は、宝くじで当たる確率と大差ない。自分がやっていることのリスクを理解していないケースがほとんどである。

当社のお客様を見て、あらためて思うのは学校の勉強ができる頭のいい人というよりは、当たり前のことを当たり前にたんたんとこなす実務能力の高い方が、資産形成においても成功しているという印象である。

コロナでまだまだ大変な世の中であるが、人的資産と金融資産の二つの資産管理、パーソナルファイナンスの巧拙によって、今後もますます個人間の格差が拡大していくだろう。

当たり前の話かもしれないが、自分の市場価値を高めてしっかりと稼ぎ、無駄のない賢い支出をすれば、自然とお金は貯まるのだ。お金が貯まらない人は、収入以上の支出をしているケースが多く、生活における支出を見直す必要がある。

最近、お会いする20代の若いビジネスパーソンに『まず自分の仕事に集中して、自力で1000万円貯めることを目標としてほしい。』と伝えている。1000万円貯めることは、なかなか大変であるし、ある程度ストイックでないと1000万円は貯まらない。しかし、1000万円貯めることができた人は、年齢とともに給料も増えていくし、資産運用で増やすこともできるため意外と早く3000万円貯まっている。

これまでの経験から資産形成に最も必要なことは、金融や経済の知識を高めることでもなく、早く資産運用を開始することでもなく、まず自分のやるべき仕事に集中して1000万円を貯めることだと確信している。金融知識や経済知識はあるに越したことはないが、ネットや書籍などにあふれる信頼性の低い情報を基に中途半端な知識で投資判断をすることほど、危険なことはないと思う。

2020/10/13

無形資産

 ウィズコロナの生活が徐々に定着しつつある今、お客さまから様々な相談が寄せられるのだが、最近多い相談の一つが住宅購入に関する相談である。

コロナで仕事がリモート中心になり、ボーナスや残業代が減って、収入減少している中で賃貸で毎月の家賃を払っていることが、もったいないと感じ、マンションの購入を検討しているといった類の話が実に多い。

賃貸はもったいなくて、持ち家のほうが得であることは決してないのだが、心理的に賃貸は損している(もったいない)気がするようだ。

これは貯蓄性のある保険のほうが得で掛け捨ての定期保険は損だと感じているようなものだ。私は20年前に横浜市内に戸建てを購入したが、もはや住宅部分の価値は、ほとんどゼロではないか。近年、さまざまな修繕費用がかかっており、持ち家も結構お金がかかるのである。とりあえず土地の値段は下がってないかもしれないが、そもそも売るつもりもない(現金化できない)ため、資産価値としては、全く計算していない。当時、一生住んでもいいという判断で買ったわけで住み替えや売却を前提として買ったわけではないのだ。

・NISAがあるから投資をする。

・住宅ローン減税があるから家を買う。金利が低いから家を買う。

・節税効果があるからマンションに投資する。

・初任給が高いから、この会社に入る。

・Go to Travelがあるから旅行に行く。

何かがおかしい。

個人的に旅行は好きであるが旅行に行きたいから、旅行に行くわけであり、Go to Travelがあるから旅行に行こうとは思わない。NISAなんかなくても投資するし、節税効果があってもマンションには投資したくない。住宅ローン減税がなくなったら、家が売れずに値段は下がるし、金利が上がっても同様であろう。家を買うかどうかの判断に住宅ローン減税も金利もあまり関係ない。

家という一番大きな買い物は、経済的な損得でタイミングを計って意思決定するのではなく、家族構成やライフプランがはっきりして、ここにずっと住み続けてもいいという物件を自分たちにとって良いタイミングで購入するべきと思う。

賃貸はもったいないという理由でマンションを購入する判断には、違和感を覚えるし、将来、そのような意思決定は、大きなリスクを抱える可能性が高いと思う。

結婚やお子さんの誕生でライフステージが変わって、家を買い替える人は多いが、買い替えコストがかかること、実際に住み替える時に望む金額で売却できるのか?は、その時の経済状況次第で不確実である。

日本は、少子高齢化の加速、人口減少、大相続時代に突入しており、都心部でも空き家が増えている。私の住む横浜の住宅地でも空き家が少しずつ増えている。都心部でも一部の例外を除けば戸建て、マンションに関わらず住宅の資産価値がどんどん上がることはなさそう、いや絶対ないだろう。資産運用の観点でいえば、投資対象でなく全く興味のない資産である。

アマゾン株は、90年代後半に株式を分割後に一株1.5ドルで低迷していたが、20年後の今、3000ドルを超えており、底値から2000倍超となっている。もしも100万円買っていたら、20億円である。低迷していた時代に底値でアマゾン株を買うことは難しいし、20年以上保有することはもっと難しいのであるが、優良企業への投資は、莫大なリターンを生むことがある。これからも優良企業の株式が資産運用の主役であることは、間違いない。

一方、未だに不動産会社の下手なトークに乗せられて安易にマンション投資をやっている人が多いのも事実である。マンションを買った当の本人からは、節税と退職後の賃料が得られるメリットなどいい話ばかりを聞くが、金利がいくらか?聞いても答えられないケースがほとんど。つまり不動産のプロというわけでもなく、完全にアマチュアレベルなのだ。マンション投資には購入時に気づいていないリスクが潜在化しており、将来、徐々に顕在化してくるのだ。非常に危険であることは言うまでもなく、借金して不動産投資することはやめたほうが良いだろう。

ゼロ金利時代に住宅ローン金利よりかなり高い金利で借金をしてマンションに投資をして、10年後、20年後に輝く未来が想像できるだろうか?

時代のキーワードは、まさに『有形資産』から『無形資産』へと変わった。世の中の企業の時価総額(企業価値)を見てみれば、それは一目瞭然である。

個人においても同じである。個人の価値は、その人が持ち家か賃貸か?では決まらないし、資産を多く持っているかどうかだけで、はかれるものではない。お金は、もちろん大切であるが、あくまでも人生における目標を達成するための手段であり、大切なことはその人がどのように生きるのか?ということが本質である。

個人の知識や経験、能力、洞察力、信用、人間性など無形資産がキャッシュフローを生み出す時代になった。資産運用においてもバランスシートにあらわれない無形資産を目利きする洞察力が求められる。

自らの人的資産を高めて、仕事で価値を提供し、身の丈に合った生活をすればお金は貯まる。貯まったお金を将来性のある資産に投資することで、人的資産と金融資産の両輪をしっかりと回転させていくことが重要である。

Bostonでインフレを実感

  昨年7月に続いて先週プライベートで ボストンに一週間程度滞在したのだが、あらためてアメリカのインフレと円安ドル高を実感した。昨年よりも確実に物価は高くなっていた。 まず家族4人でノースエンドのイタリアン人街にあるTrattoria I’ll Paninoに行った時のこと。 炭...