2021/12/28

アメリカ一人勝ちの要因

今年もあと僅かとなった。 

岸田首相のオミクロンの極端な水際対策や受験生への対応を見てると、想像力が欠如していて正直なところ危ない感じがする。いつまで日本は鎖国を続けるつもりなのだろう? 外国人の入国禁止で支持率が上がったようだが、ワクチンや治療薬、資源を含めて、海外に依存しているのに留学生を含めた外国人は全く受け入れないという姿勢は、いかがなものか。長期的に日本の国益を失っていると考えないのだろうか?アメリカは、無症状の国民を狭いホテルに隔離(人権侵害と思う。)などしないし、外国人である私の息子もアメリカ国民と同じルールで受け入れてくれる。

オミクロン感染が拡大するとアメリカ人であろうと外国人であろうと誰に対しても無料でワクチンを接種する機会を与えてくれる。 日本人は、政府や役人から命令されたことを忠実に守る人が多いが、彼らの指示は的外れで間違っていることが多い。公衆衛生の専門家といわれる人も正しいとは限らないし、盲目的に信用することはできない。

 日本の長期にわたる低迷は、大して能力もない政府や役人、仕事のできない上司から指示されたことに従順に従って、自分の頭で考えて行動する習慣がないことが要因ではないか。

 12月26日の日経電子版記事によると、『世界の株式市場で米国の一人勝ちが鮮明だ。12月24日時点の時価総額上位1000社を集計したところ、2008年の金融危機後で初めて5割を超え、社数でも最多となった。一方、日本企業は5%を割り込み、存在感の低下に歯止めがかからない。』とあった。

 アメリカの一人勝ち、日本企業の低迷の要因は、いろいろあると思うが個人的には、大学教育の違いが大きな要因と考えている。

 先週、アメリカの大学に留学する息子が一時帰国した。3日間狭いホテルでの強制隔離から自宅に戻った息子にアメリカの現状、大学や授業内容、教授、友人などボストンでの留学生活について詳しく聞いた。

 息子もそうであるが、アメリカの大学生はとても良く勉強する。勉強しないと単位が取れず、成績が悪い学生は容赦なく教授から他の大学への編入を強いられる。高い授業料を払ってもクビになるのである。実際に息子の友人らも授業についていけず編入する人も少なくないようだ。日本と違ってアメリカでは成績の悪い学生は、留年ではなく、リストラされる。だから死に物狂いで勉強する。 特に試験前は朝から晩まで食事をする時間も惜しんで勉強するため、息子も夏から5キロ体重が減っていた。

息子は試験中、さすがに深夜12時には寝るようであるが、ルームメートのアメリカ人は朝3時過ぎまで勉強しているらしい。それでもなかなか良い点が取れるわけではないらしい。 アメリカの大学生は、大学4年間で徹底的に鍛えられ、企業に入る時点で即戦力となる。アメリカの優良企業は、即戦力の学生しか雇わない。企業は、日本のような横並びの新入社員教育はやらない。入社してから育てるような非効率なことはしない。アメリカの企業は、学校の成績だけでなくその人の人物像、インターンの実績など多面的に評価して、会社に価値をもたらす可能性の高い人材のみ雇用する。

日本のような就活はなく、学生は企業に自分を売り込み興味のある企業にインターンのオファーをする。アメリカの学生は、勉強と並行して長期の夏休みを利用して積極的に企業にインターンする。勉強とインターンの両立が必要となるため、日本の大学のように簡単に卒業は出来ない。 講義は実践的で教授の質も高く、民間企業で実務経験のあるプロが指導する。

例えば息子の受講するファイナンスの授業は、ステートストリートやシティバンク、ヘッジファンドでプロとして運用経験のある教授が学生を指導するため、机上の勉強ではなく、実践的で面白いらしい。教授がアメリカの優良企業5社を提示し、学生は、少人数のグループに別れ、各チームは、5社から2社を選ぶ。息子のチームは、テスラとフォードを選び、それぞれの企業のビジネスを徹底的に調査比較して、どちらに投資するべきか議論し、意見を戦わせる。

 学生は、大学が保有するデータをクラウドからダウンロードすることが出来る。財務諸表や決算書、アナリストレポート、サプライチェーン、ESGスコアなど徹底的に企業を比較分析する。少人数のチームのメンバーで役割分担し、テスラとフォードのビジネスの違いを明らかにしていく。息子は、テスラとフォードのサプライチェーンを調べたようだが、各チームメンバーが調べた内容を議論し、最終的にどちらに投資するべきか決定し、皆の前でプレゼンをする。しかもプレゼンは本格的で学生は、ビジネススーツに着替えネクタイをして運用会社のアナリストのように教授や学生の前でプレゼンするようだ。 教授は、各チームのプレゼン内容を多面的に採点し、問題点を指摘する。

私は、息子のチームの分析とプレゼン内容を実際に見せてもらったが、正直なところ、そのレベルの高さに驚いた。そして、こんなレベルの高いことを大学生がやっているアメリカが強いことは当然なのかもしれないと感じた。 全体的に日本の大学生は、アメリカの学生と比べると勉強量が足りないと思う。息子と話していると私も当時の自分が恥ずかしくなる。 日本は、大学受験で疲弊して、大学に入ると勉強しない。多くの学生がアルバイトとサークルで必死になって勉強していない。当然親も同様だったから、子どもたちに勉強しろとは言えない。私も娘に勉強しろとは言えなかった(笑)

 学生のレベルも低ければ、当然であるが大学教授の質もアメリカと比べると低い。もちろん日本にも素晴らしい教授もいると思うが、少数だろう。日本の大学教授の多くが民間企業での実務経験もなければ成功体験もないから、大学における学びが社会で役立つ知識とリンクしていない。別物なのだ。講義は実践的でないし、今の変化の激しい世の中についていけてないから、大学が社会で真に役に立つ人材を育てることは困難である。そして必然的に企業に教育を任せることになる。日本でも社会人が専門領域について深く学ぶためビジネススクールに通っているが、アメリカの大学は、4年間でビジネススクール並みのことはやっている印象である。

 日本企業は、新入社員研修と称して入社してから横並びの人材を育てる。これでは、平均的なありきたりの人材しか育たない。当然であるが企業にとって即戦力ではなく、生産性は低い。アメリカ企業の強さは、アメリカの大学で鍛えられた個人の強さによるところが大きい。もちろんアメリカも格差があるし、日本にはないさまざまな問題を抱えているし、日本のほうがアメリカより素晴らしい面もある。しかし、これまで会ってきた多くの留学生やアメリカ人は、「アメリカで一番素晴らしい場所は、大学である。」ことを認める。アメリカの大学とアメリカ企業の強さは強く結びついていることは間違いないと思う。

2021/11/26

ラジオ出演しました!

先週、愛媛に出張後、土曜の朝からお客様と北条カントリークラブでゴルフをした。その後、南海放送のラジオ番組【友近ママの魔法の引き出し】の一コーナーにファイナンシャルアドバイザー中浜伸二としてゲスト出演させていただいた。番組の内容も良く分からないまま、ご縁と思い、オファーを引き受けてしまった(笑)

セミナーなどで人前で話す機会は多いほうであるが、ラジオの生放送は、初めてでなかなか面白い体験であった。芸人友近の母、友近ママの質問に私が答えるという形であるが、あっという間に15分が経過した。ファイナンシャルアドバイザーはどういう仕事なのか?どのような経緯でファイナンシャルアドバイザーになったのか?これまでの歩み、そして今後の夢について率直な気持ちをお話しし、とりあえず無難に終えることができた。

ラジオでお話ししたが、私の社会人生活30年は、苦難の道であった。私自身、どのように様々な厳しい局面を乗り越えてきたのか?正確には思い出せないが、逆境において結果的には諦めなかったこと、転職、独立してファイナンシャルアドバイザーという天職につくことが出来たことが一番大きかったと考えている。

投資の神様ウォーレン・バフェットは、『人生は雪玉(スノーボール)作りに似ている。大切なのは雪玉を作るに適した長い坂を見つけることさ』と言っている。

長い坂というのは、自分の仕事かもしれないし、趣味やライフワークなのかもしれない。人生において興味のある仕事や趣味、ライフワークを持っている人は、雪玉(スノーボール)が年々大きくなっていく。これはお金のことだけではなく、人間関係や信用などにも言えることである。


バフェットの長年のビジネスパートナーであるチャーリー・マンガーは、世界を代表する投資の賢人である。97歳にして現役の投資家であるが、彼の言葉を私はいつも心に刻んでいる。

『投資は簡単ではない。簡単だと思うのは愚か者である。』

若い時から現在まで70年以上、世界の第一線で投資に真剣に向き合っているチャーリー・マンガーの言葉は非常に重いものである。

一方、多くの人が投資をゲームや金儲け、ギャンブルのように考えており、安易に株を売ったり買ったりしている。またネット上の情報をもとに流行りの投資信託を買っている。そんなやり方で成功するほど投資は簡単ではない。

だからこそ私たちファイナンシャルアドバイザーの存在価値があると考えている。本当に価値ある情報はネット上に出てこないのだが、多くの人が安易にネットに溢れる情報を信用してしまうのだ。特にマーケット環境が良い時は、問題は顕在化しないこともあるが、長期的には自己流の投資は勝つ見込みのないゲームと考えるべきである。

長期投資は、簡単ではない。投資家もアドバイザーもチャーリー・マンガーの言葉を真摯に受け止め、謙虚であるべきである。

2021/10/25

お金と豊かな人生

先週木曜日から千葉に宿泊し、ZOZOチャンピオンシップを4日間観戦した。自称プロギャラリーの私は、4日間で11万歩歩いた努力が報われたのか、松山英樹選手のPGA7勝目をまじかで見ることができた。松山は、大谷と並んで今、世界で最も輝いている日本人だろう。世界の第一線で活躍する若き日本人が出てきたことは、本当に素晴らしい。真のプロフェッショナル松山英樹の発するオーラを感じ、自分もまだまだ本業で頑張らねばと決意を新たにした4日間であった。


さて、資産運用アドバイスを始めて、約15年。素晴らしいお客様に恵まれ、また長期投資による複利効果で当社の預かり残高は、大きく成長した。当社はファイナンシャルアドバイザー2名体制であるが、私の知りうる限りではファイナンシャルアドバイザー(IFA)1人当たりのお客様の預かり残高(投資信託)は、日本一になったと考えている。もちろん、まだまだ成長途上であり、これに満足することなく、今後もより気を引き締めて、世界一のサービスを目指してお客様の資産運用管理に貢献したい。日本一ではなく、目指すは世界一である。

当社の戦略は、むやみにお客様を増やして規模を追求するのではなく、資産や年収、職業、立場にかかわらず、本当に尊敬できるお客様を全力でサポートすることである。当然であるがお客様の大切な資産の規模は大きくなり責任やプレッシャーも、年々大きくなってきた。しかし特にマーケットは、コントロール不能であり未来は、不確実である。私のやるべきこと、できることは、長期投資を成功させるために必要なことを淡々と実行するのみである。

ところで、ある時期から当社は営業活動や宣伝広告を全く行っていない。ありがたいことに既存のお客様からのご紹介によって自然な形で毎月、お客様が増えている。むしろ最近は、少し心苦しいのだが、ご紹介いただいたお客様とお話をして、こちらからアドバイスの提供をお断りさせていただくケースのほうが多くなってきた。お断りをした方にお叱りをいただくこともあるし、呆気にとられる方もいる。

しかし、お客様にファイナンシャルアドバイザーを選ぶ権利があるように、当社にもお客様を選ぶ権利があると考えている。当社は、お客さまを選ぶにあたって、当社の長期投資の考え方を理解してくださる方、時間や約束、基本的なマナーを守ってくださるかどうかを重視している。なぜならば、それらがない人は長期投資はうまくいかないからである。

もちろん創業当初からそうしていたわけではなく、15年間お客さまをサポートさせていただいた経験から、さまざまな失敗もした上で今に至っているのだ。いいお客様に長期的にしっかりとしたサポートをすることが当社の生命線である。そう確信してから、お客様を選ぶようになった。

日本では、昔からお金を預けるお客様が偉くて証券会社の営業マンは、自分の数字を稼ぐため、お金を預けるお客に過剰に気を使っていたように思う。嫌なお客でもお金を預けてくれるから我慢しているのだ。きっと今もそうだろう。当社のスタンスは、お客様とアドバイザーはあくまでも対等な関係である。よって上から目線の方や、長期投資の考え方を理解できない方、時間や約束を守らない方は、ご紹介いただいたとしてもお断りさせていただいている。

そのような方をお客様にすると、その方々に時間や労力を取られ、結果的にいいお客様にサービスする時間を奪われ、ご迷惑をかけてしまうことになる。だから1億円を預けたいという上から目線の方は何度もお断りしてきた。それは当社のお客様のためであり、当社の未来のためである。当社は資産運用アドバイスをしているが、お金ではなく、その人を見ている。お金は大切であるが、お金があれば豊かな人生を送れるというわけでもないこと、お金持ちが偉いわけではないことを私は多くの人を見て学んだ。いくらお金を持っていたとしても、尊敬できない人はたくさんいる。逆もしかりである。

ZOZOチャンピオンシップにおいても、いいギャラリーと悪いギャラリーがいたが、私自身もサービスを受ける場合において、いいお客様になりたいと考えている。

今後もマーケットは、いつもいい時ばかりではないと思うが、それらを乗り越えて、お客様とWin-Winの関係になることが、私たちの目標である。

2021/09/13

9.11から20年、今思うこと


 2001年9月11日、世界同時多発テロ事件から20年が経過した。早いもので2001年1月生まれの息子は、現在ボストンに留学中の20歳である。私自身は、あの日2001年9月11日の夜、ワールドトレードセンターに旅客機が衝突した瞬間、横浜鶴見の屋台で一人で飲んでいた。隣の酔っ払いのおやじが、『お前こんなとこで飲んでる場合じゃないぞ。アメリカが大変だ!』とからんできた。この酔っ払いのおやじ、何言ってるのかと思いながら帰宅すると、妻が『アメリカが大変なことに!』と。ニューヨークの悪夢の光景に酔いがさめ、深夜までテレビにくぎ付けになったことを思い出す。

9.11あの日以来、世界は変わった。米ソ冷戦は終わったが、世界はテロの脅威にさらされることになったのだ。

この9.11のテロ事件に加え、2000年初頭のITバブル崩壊、2003年のイラク戦争とつながる流れは、21世紀の幕開けに暗い影を落としたのであった。冷戦以降、唯一の超大国であったアメリカは、2008年9月のリーマンショック以降、しだいに衰えていく。アメリカだけではなく、金融危機の影響は世界に拡大し、欧州債務危機によって欧州経済も体力を失っていった。これまで世界の中心であった米欧先進国の力は衰え、世界経済の成長のエンジンは中国を筆頭とする新興国に軸足を移している。中国を筆頭にグローバルリズムは拡大の一途をたどるようにも見えたが、先進国における経済停滞は長期化し、格差はしだいに拡大し、中産階級からこぼれた人々の批判の矛先はグローバリズムそのものに向けられた。

アメリカでは格差拡大の批判票(中高年の白人低所得者層など)を受け皿にトランプ政権が誕生し、欧州でもイギリスのEU離脱、ブレグジットという歴史的大事件につながった。

米中摩擦は激化し、米中による新たな冷戦が勃発。まさにグローバリズムが終焉を迎えようとしている最中の2020年、武漢を震源地としたパンデミックが世界を襲った。

先進国においては歴史に類を見ないスピードでワクチン接種が進んでいるものの未だ、新興国や途上国においては厳しい状況が続いており、世界はコロナに打ち勝ったといえる状況とは程遠い。このコロナショックによる影響は、まだはっきりしないが、世界は大きく変わっていくことは間違いない。

アメリカのアフガニスタン撤退は、アメリカは自国のことに精いっぱいでもはや世界の紛争に関与する余裕はないことの象徴である。2000年初頭からこの20年で急速に力をつけてきた中国と対峙することに資源を集中するために、アフガニスタンから撤退せざるを得なかったのだろう。

さてデルタ株の感染拡大により、まだまだ世界経済は大変であるが、2020年3月20日を底にマーケットは堅調に推移している。良くも悪くも、世界は今回のパンデミックが2008年のような金融危機につながってはいけないという信念のもと、各国中央銀行による金融緩和(量的緩和)と各国政府による巨額の財政出動を進めてきた。結果的に金融市場はリーマンショック時と対照的に落ち着いており、一部には量的緩和マネーによるバブル懸念も指摘されているものの、多くの企業が業績を伴う株価上昇であり、バブルといえる状況ではない。

未熟な投資家は、コロナでビックリして資産を売却したが賢明な長期投資家はしっかりとリターンを獲得している。

最近は、企業業績よりもアメリカの中央銀行FRBによる量的緩和縮小(テーパリング)の時期に注目が集まり、マーケットは金融引き締めによる金利上昇リスクを注視している。パウエル議長は、マーケットと経済と対話しながら、職人芸のような難しいかじ取りが必要とされるだろう。出口戦略は難しくなることは間違いない。アメリカだけではなく、全く出口すら議論されない黒田日銀の金融政策も大きな頭痛の種である。総裁選に出馬する政治家らの発言を聞いていると彼ら彼女らは全く経済、マーケットのことをわかっていないようだ。これまでもそうであるが、分かっていない人たちが意思決定することも大きなリスクとなるだろう。

未来は不確実で誰にもわからない。しかし、一つだけ言えることは、世界を良い方向に変える価値ある企業の株価は今後も上がっていくということである。世界経済が悪化しようと低成長であろうと価値ある企業は成長する。もちろんその価値ある企業を支えるのは価値ある人である。2030年に向けて、ますます世界は激変する。その変化に柔軟に対応し、世界に価値をもたらす企業を見極めていくことが、今後の長期投資における大きな課題だと考えている。

2021/07/11

個の時代

 東京オリンピックが無観客となったが、この決定には、率直に驚いた。意思決定のプロセスも含めセンスのない判断に日本の未来は明るくないことを確信した。

コロナ禍における政府や東京都含め地方の首長らの場当たり的な対応には呆れを通り越して哀れみさえ感じている。ただただ情けないとしか言いようがない。私自身、国民の義務は果たしたいが、この国の政治家や役人とは、できる限りかかわりをもちたくないと感じる。

オリンピック大会関係者や日本選手含め世界から参加する選手は、どのような気持ちなのだろう?ワクチン接種の遅れも、オリンピックを無観客にしたことも愚かな政治家らの責任である。みんなのいう事を聞いて、その場の感情に流されて中途半端な判断をするような政治は最悪であり、極めて危険である。

コロナとオリンピックで日本の愚かな政治が露呈したわけであるが、世界における日本の地位は、想像以上に低下しているのだろう。急速な高齢化社会、社会が極めて不安定な中で、特に若い人たちは、どのように人生設計をしていくべきなのだろう。自分自身の人生を実りあるものにするために、国に依存することは不可能であり、自ら人生を切り開いていく『強さ』が一人一人に求められている。

さて今、日本で一番輝いている人物は、大谷翔平だろう。沈滞ムードが漂う日本社会を一人の若き日本人メジャーリーガーが明るくしている。日本だけではなく、アメリカ、世界を熱狂させている大谷を見ていると、国や企業ではなく、いよいよ個の時代が到来したことを感じずにはいられない。

ひと昔前、1980年代のアメリカでは日本と言えば、SONYやTOYOTA、HONDAといった企業をイメージした人が多かっただろう。世の中は大きく変わり、アメリカでは日本と言えば、大谷翔平が連想されるだろう。

もちろん大谷だけではない。マスターズで優勝した松山や女子ゴルフLPGAで活躍する畑岡、NBAで活躍する八村瑠偉、ボクシングの井上、テニスの大坂なおみは、それぞれのフィールドで世界のトップレベルで活躍している。彼らはアスリートとして生まれ持った才能に恵まれていることは間違いないが、自分の選んだ道で想像を絶する努力を積み重ねているからこその結果である。

努力を怠れば世界トップの座からあっという間に落ちてしまう極めて厳しい世界で彼らは、リスクをとって結果を出している。大谷といえども一寸先は闇であり、怪我をしてしまうと選手生命は絶たれてしまう。そのような中での二刀流の活躍にイチローや松井らレジェンドでさえも驚愕しているのだ。リスクもとらない、結果も出さない、責任もとらない日本の政治家らと実に対照的である。あまりここで政治家批判しても仕方ないが・・・。

良くも悪くもこれからは、個の時代であることは間違いない。日本政府や役人がダメでも、大谷や将棋の藤井君は素晴らしい。有名人でなくても各分野に個として輝いている人はたくさんいるだろう。最近、仕事に未来を感じないという理由で若い官僚が辞めているらしいが、国に見切りをつけて個として輝くことを目指している動きだろう。石の上にも3年というが最近は、時代の変化が激しく優秀な人材ほど未来のない仕事には早く見切りをつけるのかもしれない。私自身、芸能界には全く興味がなく、YouTubeも見ないが、芸能事務所を辞めてユーチューバーになることも、企業や組織よりも個人が重視されはじめた証なのではないか。

高度成長期には大きな船に乗っていれば安全であった。しかし成熟した時代においては、大きな船は、安全とは言えない。大きな船ほど沈み始めると大惨事になりかねない。もちろん小さな船も安全ではないが、個人の工夫や努力次第では変化に柔軟に対応することが出来て大きな成果を上げることが可能である。大きな組織に属さない私にとっては、楽しい時代になってきたとポジティブに考えている。



2021/06/22

過度の自粛は、経済を壊す

 東京オリンピックまで一カ月。先進国最下位の日本のワクチン接種スピードがようやく加速してきているが、過度の自粛は継続しており経済回復は遅れている。今回のコロナショックが将来の日本の財政や経済、人々の生活にどのような影響を与えるのか?まだわからないが、このような予期せぬ危機対応に日本が非常に弱いという事は明らかになった。日本という国は、想像以上に脆弱なのかもしれない。

ワクチンなしでまじめな国民性でコロナ感染を抑えていることは素晴らしいが、一方で過度な自粛によって経済回復は遅れ、経済自体はかなり疲弊している。

ある調査によると主要国(日本、アメリカ、イギリス、ドイツ、フランス、イタリア、インド、中国)において新型コロナへの感染を恐れている人の割合が突出して高いのが日本で、約80%。アメリカ、イギリス、フランスは40%未満で変異株が猛威を振るっているインドも60%程度。高齢者の比率が高いこともあるが、世界一心配性なのが日本人なのかもしれない。

私は愛媛出身で大学時代は山口で仕事柄も地方に友人、知り合いが多いのだが、都市部と地方のコロナに対する意識のギャップには非常に驚かされる。地方の人は東京や大阪に行くことを極度に恐れている。マスコミ報道のせいかもしれないが、過剰反応である。結果、感染者が殆どいない地方の田舎街でも過度の自粛が行われている。もちろん田舎だけではない。横浜でも一人で車を運転している時にもマスクをしている人をたくさん見かけるが、客観的に見れば異常な光景である。

今の日本では自粛してないと誰かに批判されるような雰囲気があり、それが怖いのか?それとも本当に自粛が大好きなのか?理由は分からないが、とりあえず面倒だから、何も考えずに言われたとおりに自粛する。政治家や官僚、専門家の言う通りにみんなが行動する。ある種、この思考停止状態によって経済全体として大きなダメージを受けているのが、今の日本ではないだろうか。

話は変わるが、日本の個人金融資産は2000兆円に達したようである。1000兆円超が全く金利のつかない預金に置かれている。投資は怖いから預金に置いている人が多いことは間違いない。コロナに感染したくないから自粛。投資は怖いから預金。まさに思考停止状態、自分だけでなくお金にも自粛させているのが、多くの日本人である。

経済とはモノやサービス、お金の流れである。過度の自粛は、経済を壊してしまう。日本全国の中小零細企業、個人事業主がコロナではなく、過度の自粛によって苦境に立たされている。

さて私自身はオリンピックと全く関係ないのだが、世界中のアスリートやその家族、関係者、オリンピックに関わる人々は、東京オリンピックに人生をかけている人も多いだろう。個人的には無観客や中止、延期を声高に求めている専門家には大きな違和感を覚える。

オリンピックをやめれば感染が収まるわけではないし、そもそも開催中止という選択肢は良い選択ではないだろう。訪日外国人客がいない今、外国人はアスリートと大会関係者、メディア、日本在住の外国人であり、オリンピック開催に批判的な国は、世界中どこにもないだろう。唯一、選手を感染リスクから守るという建前で北朝鮮が不参加を表明したくらいである。普通の国では、選手の参加に反対する国はないのは当たり前である。

単純な結論であるがオリンピックは、他のスポーツイベント同様に感染対策をしっかり講じて、開催すればよい。感染拡大を招いたGo toトラベルやGo toイートより全然、安全であることは間違いない。医療関係者からしてみれば過去に愚策を繰り返してきた政府に対する不信感がオリンピック開催に対して批判的な声になっているのかもしれない。その気持ちも分からないでもないが、世界標準から考えれば、観客を入れて安全に開催すればよいということになるだろう。開催に反対している人もオリンピックが始まれば、意外と盛り上がっているだろう。くだらないテレビ番組を見ているよりは、オリンピックのほうが間違いなく面白いはずである。いずれにしても、世界経済やマーケットとは、ほぼ無関係のオリンピックに対する報道にはうんざりである。早く終わってほしいものだ。



2021/05/20

コロナ禍における日本

 2020年世界を襲ったパンデミックに対して、国民の自粛(忍耐)に依存してきた日本は、ワクチン接種で世界から完全に取り残されてしまった。行き過ぎた自粛による日本経済の落ち込みは想像以上に大きく、日本経済の停滞を余儀なくされている。先日、地元愛媛に出張したが、他県に比べて感染者数が少ない愛媛においても蔓延防止等重点措置が取られており松山市内の歓楽街は、ロックダウンしているかのようで見たこともない光景であった。これほどまじめな都道府県はあるのだろうか。愛媛県人は、みんな真面目で横浜からきた私に会うことを会社で禁じられている人も多いようだ。

もちろん個人個人が真面目であることは素晴らしいことであるが、全員が真面目であれば経済は破綻する。私は、まじめすぎる愛媛県民と愛媛経済のことを大変まじめに心配している。みんなが投資しないで預金だけすれば経済が回らないことと同様であり、まさに『合成の誤謬(ごびゅう)』とはこのことである。

あまり報道されないが医療現場ではかなりのワクチンが廃棄されているという。ワクチンがないわけではなく、予約システムを含めオペレーションが非常にまずい。緊急を要する危機対応(ワクチン配布)において、あまりにも丁寧かつまじめにやりすぎる日本は、そもそも適していない。細かいことを気にしすぎて、大きなものを失っていることに全く気づいていないのだ。

高齢者がテレビのインタビューで『自分が友人より先にワクチンを接種して申し訳ない。』ようなことを語っていたが、そんなメンタリティは何の役にも立たない。とにかくワクチン接種を最優先するアメリカを見習うべきである。ワクチンを接種したらヤンキース戦のチケットをプレゼントするアメリカは、さすが合理的である。

バイデン大統領就任と時を同じくするようにアメリカのコロナ対応は一変。ワクチン接種は加速し、徐々に日常生活が戻りつつあり、経済活動も活発化しており、アメリカ国内の航空需要もコロナ前の9割程度に戻っているとのこと。

今週からサウスカロライナ州にて全米プロゴルフ選手権が始まるが、ギャラリーの様子を見ればアメリカ経済の回復ぶりが見れるだろう。

アメリカに留学中の息子によると5月1日に大学の近くの薬局で2回目のワクチン接種を済ませ、空港など公共の場以外ではマスクを着用しなくてもよい状況。今週から大学は夏休みになり、今まさに帰国のため羽田にフライト中である。さて水際対策において日本に入国するためには、出国時間の72時間前に現地にてPCR検査を受けなければならない。書類の不備があって出発国に戻されたという信じられない話もチラホラあるし、実際に息子の友人(日本人)も陰性証明書のフォームが日本のフォームに準じていないという理由で経由地のシカゴのホテルに2日間滞在させられたようだ。(数日前の話)

息子が住むウィスコンシン州は田舎町であるが、もちろんPCR検査を受けることは出来るが、採取した検査結果の取得に時間がかかり、フライト前日に結果が出てこなかった。しかも結果はメールで送られてくるため、日本入国で求められている陰性証明書のフォームに手書きで記入してくれるドクターを探さなければならない。このような状況であるため、現地の陰性証明書ではダメなのか?厚労省に問い合わせてみたが、かたくなに決められたフォームにドクターのサインをもらわないと原則入国できないとの一点張り。挙句の果てには現地の大使館に相談してくれとたらい回しされる始末。私は、怒りよりも日本の役人の仕事ぶりに呆れ、哀れさえ感じた。

息子は急遽、昨日、タクシーで片道2時間かけてミルウォーキーのクリニックにてPCR検査を受け、日本に入国するための日本政府が定めたフォームに現地のドクターのサインがついた陰性証明書を取得した。クリニックを往復してくれた運転手さんに日本のワクチン接種は、年末くらいになりそうと話すと『日本は、そんなに遅いのか?』と驚いていたらしい。

帰国前にもう、心身ともにヘトヘトである。

本日午後に羽田に到着するが、羽田空港でも世界でも悪名高い入国審査が待っているようだ。ある方の情報によるとさながら『帰国者への罰ゲーム』のような全く意味のない手続きに膨大な時間を要し、長いフライトを経てようやく日本についた後の手続きで2時間以上を要するらしい。しかも、ソーシャルディスタンスが確保されておらず、むしろ羽田空港での感染リスクのほうが懸念されるくらいである。入国前に事前にウェブ上で申告した内容について何度も繰り返し書類に手書きで記入させられる。なんでこんな無意味なことをやるのか?

想像するにオリンピック開催前の水際対策に関して政府からの命令に対して、役人が自分たちはちゃんと忠実に守って仕事をしていることをアピールするため、あるいは空港で何か起こった時に自分たちは、ちゃんとやってますと政府に見せるための書類なのだろう。愚かな人間が考えた愚かなルールが改められない現状、本当に帰国する皆様には気の毒である。

息子によるとアメリカから欧州やカナダへの入国は、ほとんどスマホによる申告で入国できるらしい。こんなに膨大な紙に記入させられる国は、おそらく世界で日本だけだろう。

デジタル分野でもワクチン接種でも世界から完全に遅れてしまった日本。政府の命令に従うだけの役人や上司のいう事しかやらない社員、一体どこを向いて仕事をしているのだろう。デジタル庁をつくるのはいいが、もっと自分で考えて当たり前のことができる人材を育てていかないとこの国の未来は非常に暗いものになるだろう。

コロナ渦において日本は、頑張って自粛するのはいいが、内実は何もしないで思考停止しているかのようである。夕方、羽田に息子を迎えに行くが、2週間の隔離を義務づけられアプリで毎日、健康状態を問われ管理下に置かれるらしい。息子は9月からボストン大学3年生に編入するためボストンで生活することになるが、日本滞在中に息子と日本の未来について考えてみたい。



2021/04/20

祝 松山英樹 マスターズ制覇

 私が松山英樹のファンになったのは、約10年前のことである。彼の出身が愛媛の松山であること、そして彼の発するオーラから世界に通用するゴルファーである予感がしたためである。

以来、松山のラウンドは殆どテレビ観戦してきたし、LIVEで見れないときはビデオ録画して一打一打チェックしていた。2011年、東日本大震災の1か月後にマスターズにアマチュアとして出場し、ローアマを獲得。そして2年後の2013年プロに転向後、1年目で賞金王となり、2014年には主戦場をゴルフの本場、米PGAにうつし、メモリアル・トーナメントでケビン・ナとのプレイオフを制し、PGA初優勝!

その後の快進撃は、まさにジャパニーズドリームでPGAで日本人最多の5勝を挙げ、一時的に世界ランキングは2位まで上昇し、世界一が目前に見えていた。しかしながら、日本人初のメジャー制覇を目前に全米プロで天敵ジャスティン・トーマスに敗れてから、松山は優勝から遠ざかっていくことになる。

私自身、松山英樹が日本に帰国した際には、できる限り応援にかけつけ、日本オープンやダンロップフェニックスオープン、太平洋VISAマスターズ、ZOZOチャンピオンシップなどをプロギャラリーとして転戦した。

彼が一番調子の良かった2016年、フェニックスオープンでリッキー・ファウラーとのプレーオフによる激闘を制しPGA2勝目を挙げた翌週、狭山ゴルフ・クラブにて開催された日本オープンを観戦した。予選ラウンドで松山は、アダムスコットと石川遼とのペアリングであったが、その鍛えられた肉体は、マスターズチャンピオンのアダムスコットをもしのぐ迫力であった。石川遼に関しては、世界レベルの二人に挟まれ、明らかに線が細く見えた。日本のスターは、世界では全く通用しないのが現状かもしれない。

松山英樹やPGAのトップ選手のスイング、そしてそのインパクトの打球音に実際に触れると残念ながら日本のプロ選手のスイングを見ても驚きはないし、物足りなく感じてしまう。

野球でいえばメジャーリーガーと高校球児くらいの違いがあるように思うのだ。それくらいに世界トップランカーらのゴルフは、凄いし、実際に見ると、その違いは圧倒的に大きいのだ。

その世界レベルの実力にまでのし上がった松山でさえも、幾度もメジャーの壁に阻まれていた。メジャーを制するには、実力だけではどうしようもない運のようなものも必要なのだろう。2021年も松山の調子はあがらず、世界ランキングは25位前後で推移していた。昨年末から、目澤コーチと契約し、スイングやパッティングの修正をしながら試合をこなしていたが、今年はトップ10に一度も入ることなく結果が出ないままマスターズを迎えた。いつもであればマスターズ前週は調整に充てる松山が、今回は前週もプレイしてオーガスタに乗り込んだ。

初日、2日目を終えて、好位置で決勝ラウンドを迎えた。本人の言う通り、波風を立てずにいい位置についた。この時点で私はもしかして優勝するかもしれないと感じていた。なぜならば明らかに彼の表情、課題のパッティング、ショットの調子が良かったからだ。世界一位のダスティン・ジョンソンが予選落ちし、デシャンボーも予選は通過したものの、難コースに苦戦していた。前週、久しぶりに優勝したジョーダン・スピースと天敵ジャスティン・トーマスが怖いと思っていたが、松山優勝の雰囲気が感じられた。

松山英樹の3日目は圧巻であった。マスターズ自己最高の65のラウンド。この日、ボギーフリーは、フィールドで松山一人であった。15番のセカンドと18番のアプローチは、まさに神であった。この日のラウンドは、10年間にわたって私が見てきた松山のラウンドで、おそらく(内容的に)最高のラウンドであった。まさにゾーンに入った完璧なゴルフであった。

最終日は、非常に苦しいラウンドであった。その緊張の中でよく耐えたものである。3日目の貯金で4打差があったこと、リズムが良いショットメーカーのザンダー・シャフレとペアリングが同じであったこと、天敵ジャスティン・トーマスが前日に大崩れしたことなど、松山には好条件がそろっていた。3日目の65のラウンドが日本人初のマスターズ優勝に大きく貢献したことは間違いない。バックナインの圧巻のゴルフは一生忘れないだろう。

さすがに優勝シーンは、涙なしで観ることは難しかった。解説の中島や宮里の気持ちもよく分かる。彼の世界一の練習量、これまで数々の苦難を乗り越えてきた努力をゴルフを愛する人たちは、知っているのだ。

正直、いつかメジャーに勝つ日が来るとは思っていたが、このタイミングで来るとは想像していなかった。夢のように思っていたことが、現実になった。愛媛県松山市出身の29歳の若者が、日本人、いやアジア人の誰一人として成し遂げたことがないマスターズ優勝という偉業を成し遂げたのだ。ちなみに我が家には二人のマスターズチャンピオン、アダムスコットと松山英樹の直筆のサイン入キャップがあるが、これは家宝としよう。

さて松山英樹は帰国し、インタビューで『初めて、クラブを持ちたくないと感じている。』と打ち明けている。想像を絶する死闘を制したことで、精魂尽き果てているのだろう。アダム・スコットやガルシアなど歴代マスターズチャンピオンもマスターズ制覇のあと、やや燃え尽きている感じはあり、松山も多少そういう面はあるだろう。しかし、松山英樹はまだ若い。これから10年間が全盛期となると信じているし、マスターズ制覇という高いハードルを乗り越えた今、グランドスラム、世界ランキング1位ももはや夢ではなく現実的になってきた。

コロナでなんとなく暗い世の中であるが、一人の若きゴルファーの偉業がここまで世の中を明るくするとは驚きであると同時に人間の力は、すごいと改めて感じた。

松山英樹のようにはいかないが、私もファイナンシャルアドバイザーとしてお客様に貢献し、少しでも世の中を明るくしたいものである。

あらためて松山英樹選手、おめでとう!そして感動をありがとう!



2021/03/23

住宅ローンについて

最近、住宅ローンの相談を受けることが多い。当社のお客様は、首都圏とりわけ東京23区に在住している方が多いため、億を超える物件を検討している人が多い。個人的には家に1億かけるくらいなら、旅とゴルフと居酒屋でお金を使いたいと考えているが、いろいろな価値観があるのだろう。いずれにしても東京で快適な暮らしを送るには、それなりの金額を覚悟しなければならないのだろう。

一部の富裕層の方は別として、一般のビジネスパーソンが住宅ローンを借りる際にどのようなことに気をつけるべきなのか?身の丈以上に借金をして、家計を圧迫しないためにも、まずは適切な借入金額を検討しなければならない。

家に対する妄想が膨らみ、ついつい身の丈以上の物件を購入して返済に苦しんでいる人に多くお会いしてきた。どう見ても身の丈以上の物件を買って、流動性が枯渇している。いい家に住んでも生活が厳しければ意味がない。住宅ローンの支払いで家計が圧迫されて、資産形成ができないという典型的なパターンである。

このパターンの人の特徴であるが、賃貸で毎月大家にお金を払っていることがもったいなくて、思い切って家を買ったという人が実に多い。住宅ローンは35年で賃貸の時よりも毎月のローンの支払い額は高くなっている。賃貸の時代にもさほど預金が出来ていなかったので、賃料より高くなった住宅ローンの支払いでお金が貯まらない。アドバイスに一番困るパターンで当社のお客さまにはなりようがない。

もう一つよくあるパターンであるが、これはまじめな人が陥りがちである。賃貸の時にしっかりと預金をして住宅購入に向けて頭金をしっかりと貯めてきたのだが、いざ購入するときに、とにかく借金が嫌いなため頭金を突っ込みすぎるパターン。コツコツと貯めた3500万円の預金のうち3000万円を頭金として支払い、手元のお金が500万円しか無くなってしまった。気持ちは分からないでもないが、このパターンの人も資産形成は難しいといえる。

結論であるが、低金利下の今は、銀行に3000万円借りて、頭金で支払った3000万円をしっかりと運用したほうが良いだろう。

3000万円を金利1%で借りると金利負担は年間30万円である。借入残高の減少とともに金利負担は、年々減っていく。一方で3000万円を年率5%で運用すれば、年間150万円の収益が期待できる。収益は複利で年々増えていく。この取引によって金融収益は、概算で150万-30万円=120万円である。

もちろん確実に毎年5%を獲得することは不可能であるが、長期投資で年率5%の収益を獲得することは、さほど難しくないのである。3000万円の頭金を支払ってしまうと、収益機会(チャンス)を失ってしまう。期待収益は、銀行に支払う金利、-30万円で確定してしまうのだ。

全体的にマンションも戸建ても10年、20年前からかなり価格が上昇したが、一方で住宅ローン金利が低下していることはプラス要因である。

現状、ゼロ金利の日本においては、変動金利で借りれば0.5%という信じられない水準の商品もあるようだ。固定金利でも1%程度の商品もあり、お金を借りる人にとっては追い風であることは確かである。

これまでも当社のお客様に対しては頭金を突っ込みすぎないことを推奨してきた。

7年前に5000万円の頭金を支払おうとしたご夫婦を説得して頭金を1000万円にしてもらい、4000万円を当社で運用していただいた。その4000万円は現在、約6800万円に増えている。ちなみに4000万円借りて、7年間で銀行に支払った金利は、220万円程度である。資産運用で2500万円以上稼いだということである。もし運用していなかったら、得られなかった収益である。

低金利で身の丈に合った金額を借りて、手元に持っている資金はしっかりと運用して増やしていく。将来、仮に金利が上昇して住宅ローン金利が上昇したら、増えている金融資産を取り崩して返済に充てることも可能である。当然であるが、負債=悪というわけではなく、いい負債(資金調達)と悪い負債があるのだ。

企業経営においても家計においても資産と負債のバランスをしっかりと管理することが大切である。金利が高い時代の常識とゼロ金利時代の常識は異なるため、頭金をたくさん払ったほうが良いという親たちのアドバイスも役に立たない。銀行や不動産屋の言いなりになるのではなく、銀行に支払う金利と資産運用から得られる収益のバランスをしっかりと考えて、住宅ローンを検討するべきである。



2021/03/22

リモートワークで思ったこと

 緊急事態宣言解除と同時に東京は、桜が満開となった。

2021年3月。東日本大震災から10年、コロナ感染拡大から1年が経過した。未だコロナ収束の出口は見えないものの、少しずつコロナの影響は軽減され、人々のコロナ対応も上手くなり、日常生活が徐々に戻りつつあるように思う。

私自身も最近は、仕事の99%がリモートワークとなっているが、対面でお客さまとお会いする価値はやはり高いことも体現しているため、今後はケースバイケースでうまく使い分けていくことが大切だと考えている。

個人的には、仕事とプライベート、オンとオフといった区別のない人生を送りたいと考えているため、リモートワークはプラス面がとても大きいと考えている。

先月、横浜から愛媛の実家まで自動運転を駆使しながらドライブし、小豆島、尾道、倉敷、岡山、大津、京都と周遊した。8泊9日で旅をしながら、実家やホテルでお客さまとZoomで資産運用ミーティングをすることが出来た。ネット環境さえあれば、どこにいても仕事(資産運用アドバイス)ができることがわかった。

旅好きな私にとってはとても楽しい経験であった。まだコロナで海外を旅することは難しいが、数年後にはヨーロッパを周遊しながら、リモートで仕事をすることも可能だろう。時差への対応は必要であるが、計画的にスケジュールを立てることが出来れば全く問題ないだろう。

これまでの常識では日本では忙しいビジネスパーソンは、まとまった休日が取れなかった。よって退職後いわゆる老後に旅行する人が多かった。会社に通勤する必要がなくなり、どこでも仕事ができる今、元気で体力があるうちに世界を旅することが可能である。世界中を旅しながら、お客様をサポートする時代がコロナによって想像以上に早く到来したのである。

このようなことは、ほんの一例である。デジタル社会の進展により、世の中は日々進化しており、ますます利便性は高まっている。もちろん、個人情報の問題やサイバー犯罪など含め、利便性の裏側にさまざまな弊害もあるかもしれないが、それらのデメリットよりもメリットのほうがより大きいことは間違いない。

不確実な変化の時代においては、これまでの常識は非常識、非常識であったことが常識となるかもしれない。個人も企業も、世の中の変化に対応することが大切である。

私は、運よくファイナンシャルアドバイザーという天職につくことが出来た。自分たちの会社なので給料もボーナスも退職するかしないかも、自分たちで判断する。健康で能力に問題がない限りは、お客様の資産運用をサポートする責任があるし、やりがいに感じている。

生涯現役でお客様にいいサービスを提供できるのであれば一生稼ぎ続けることが可能である。

しかし生涯稼ぐという事は、これまで個人と会社で支払った年金保険料、これから20年近く70歳まで支払う厚生年金の保険料に関して、受給することはできないだろう。稼ぐ老人は年金を受給できないため、年金保険料は、税金のようなものである。

個人としても法人としても税金も社会保険料もたくさん払っているし、今後も当社が成長する限り、ビックリするくらいの税金を払うことになるだろう。それは少子高齢化社会に対する当社として、個人としての義務というよりは貢献の一つかもしれない。

もちろん社会貢献とは別に自分の人生を楽しむことも大切である。可能であれば65歳になるまでこれから15年間、比較的体力があるうちにまだ訪れたことのないヨーロッパ、南米、アフリカの国を旅してみたい。その計画の実現に向けて、これから数年間で準備を進めていきたい。やるべきことに集中すること。余計なことはやらないこと。そして時代の変化に柔軟に対応することが大切である。

日常的にお客さまと議論になることであるが、日本ではお金を持っているのに使えない高齢者が実に多いと感じる。それは退職後の人生が長くなったからである。将来不安から多くの人がお金を節約して使えないのだ。あるいは退職後にも仕事を続けざるを得ないと考えている。自分が好きな仕事であれば、いつまでも仕事を続けられると思うが、お金のために一生働くことは大変なことである。もちろん多種多様な考え、価値観があり、一概には言えないが。

資産運用は、お金を増やすことが大切であるが、お金は人生を豊かにするための手段であり、目的ではないのだ。より良い人生を送るために、自分自身をどうマネジメントしていくか?国や会社に依存することなく個人がしっかりパーソナルファイナンスについて考えていく時代になったことは間違いない。

2021/02/18

資産運用のパワー

 マーケットが堅調である。

各国中央銀行の金融政策、各国政府の財政出動に加えて、やはりワクチン効果は大きい。

コロナ感染者数で世界ワーストのアメリカであるが、ワクチン接種がすすんでおり、7月後半にはアメリカ国民が2度、摂取できるワクチンを確保できるとバイデン大統領は表明した。

16歳以上のアメリカ国民のワクチン摂取が進み、年内にも集団免疫を獲得する見込みである。

各種景気指標からも明らかであるがアメリカ経済の回復基調は鮮明となっており、10年国債の利回りも1.3%と上昇した。もちろん、インフレ、金利の急上昇、コロナの感染再拡大には警戒が必要であるが、FRBパウエル議長は、しっかりと先手を打ち、2023年末まで利上げをしない意向を明らかにしている。さらにバイデン政権の財政出動は、世界最大の経済大国アメリカのGDPの約9%と巨額である。

また世界第2位の中国経済も好調。コロナの影響から世界で最も早く抜け出し、巨額のインフラ投資を加速させている。鉄鉱石や原油価格も上昇基調で、コモディティの価格もじわじわと上がっている。ドル高を受け金価格は下落基調で実体経済の回復とともに銅やニッケルも上昇気配。もちろん米中摩擦には引き続き警戒が必要であるが、米中2つの大国の経済が好調に継続する流れは確実であり、株式市場には今後も追い風が吹きそうである。

資産運用で成功体験の少ない日本では、株があがってもマーケットに悲観的な見方も多いが、世界をみれば大きな変革の時代であり、新しいスター企業が次々と誕生しており、数々の投資機会(チャンス)があると考えている。マーケットの予測は難しいが、個人的に今年は、いい流れが継続すると考えている。

さて当社は、日々、マーケットとお客様の資産の動きを観察しているわけであるが、あるお客様の運用状況を確認して資産運用のパワーにあらためて驚いた。

5年前の2016年1月25日にお客様にある投資信託1本に1億円ご投資いただいた。以来、殆ど何もしないでBUY&HOLD。そして5年が経過した本日の残高は、初めて2億円を超えたのだ。そのお客さまが、数年前におっしゃった言葉が今も印象に残っている。

『M銀行の定期預金の金利は0.01%で1億円預けても年間の利息は1万円。利息にかかる税金を控除すると8000円。中浜さんの薦める投資信託のほうが成績が良いね(笑)』*現在は、0.002%なので利息2000円、税控除後、1600円。

当時、お客様は、購入時の手数料や信託報酬という投資信託の運用コスト、そして価格変動リスク、為替リスクなどをご理解いただいた上で、ご提案した商品に投資する価値があると判断してくださった。

結果的にわずか5年で1億円が2億円になった。ギャンブルではなく、リスクを抑えながら運用力でリターンを積み上げたのである。個別銘柄や仮想通貨で2倍になったわけではなく高度なリスク分散によるものである。72の法則によると、5年で元本が倍になったということは、72÷5年=14.4%。つまり年率換算で14.4%で運用されたという事である。

年率14%という数字は同期間の世界株インデックスを大きく上回っていることはもちろんである。世界の優良企業のROE(自己資本利益率)に匹敵するリターンを獲得していることは、あらためて驚きである。 

ファイナンシャルアドバイザーとしてお客様に喜んでいただくには時間(忍耐)が必要である。運用資産が2倍になればお客様は、喜んでいただけると思うが、やはり運用金額が大切である。100万円が200万円になるよりも3000万が6000万、5000万円が1億になるほうがいいに決まっている。いい商品を長期保有する。時間を味方につけて資産運用のパワーを最大限に生かせば経済的な不安はなくなるはずである。

当社のお客様の多くは長期投資の継続による運用益(含み益)で経済的な将来不安が年々、軽減していることを、実感していただいているようだ。

とはいえ、まだまだ先は長い。これからが本当の勝負である。気を引き締めていきたい。

2021/02/12

ブログ再開

昨日、10年以上にわたって親しくさせていただいている50代前半の開業医の先生とゴルフをご一緒させていただいた。先生は、仕事も趣味も何事にもストイックな方で本当に心から尊敬する人物である。

資産運用に関しては10年以上前に私と一緒に打ち合わせをした運用方針、運用計画に従ってポートフォリオ運用して長年にわたって淡々と投資を継続している。

基本的には投資信託を活用したポートフォリオ運用でBUY&HOLD。日々の株価に一喜一憂しないで、リーマンショック、ギリシャ・ショック、コロナショックも乗り越えて、資産は着実に成長している。すでに一生、経済的に困ることはなく安泰であるが、その資金を預金に置きっぱなしにするという発想はない。長期にわたって預金に置くことは、名目で減らないとしても長期的には物価上昇に負けて実質的に目減りするからである。今日の1億円と20年後の1億円の価値は全く違うのである。これからの世界を見据えて、どこにお金を預けるのが最適なのか?という視点が重要である。

先生は稼ぐ力(フロー)と稼いだお金(ストック)の両輪が長年連動して働いており、ご自身はいつも謙遜されるけれど、間違いなく既に日本を代表する長期投資家である。将来、どこまでいってしまうのか?本当に楽しみである。

そんな先生から昨日『中浜さん、最近ブログの更新してないですね。楽しみに見ていたので、また更新してほしいです(笑)』と言葉をいただいた。私自身、先生の言葉にハッとした。昨年、コロナ感染が拡大して以来、理由はよくわからないけれど、知らず知らずのうちにブログ更新が滞りがちになってしまっていた。

大切なお客様からこのようなご指摘いただき、少し反省しつつ、あらためて定期的にブログ更新を再開しようと思った次第である。

さて、最近の私の仕事であるが、ほぼ100%リモートワークになっている。リアルで一度もお会いしたことがないお客様も20人以上となった。昨年の3月を底にマーケットは反転し、アメリカ大統領選挙でバイデン勝利、FRBの金融緩和の継続、コロナワクチンなどが追い風となっており、マーケットの一部に過熱感も見られている。投資経験の浅い人は、マーケットが崩れる前に一旦売却したほうが良いのでは?と聞いてくるが、長期投資を成功させるために、そのような運任せのやり方は賢い戦略とは言えない。売却することで当然、税金がかかるし、そもそも素人であれ著名投資家であれ、短期的な予測は当たらない。まさに神のみぞ知るということだろう。長年にわたってバブルがはじけるとか猛烈な円高になるとか自身の発言に何の責任も持たない偽物専門家の声を真に受けてはならない。いつの時代も株価は突然上昇するわけで、バブルに関してもグリーンスパンがいったように、はじけなければわからない。短期的な予測は不可能なマーケットであるが、長期では右肩上がりで上がる、これが資本主義社会の根幹である。マーケットが上昇するときにマーケットにいないことこそが大きなリスクである。

マーケットにおける価格変動リスクを避けて、売ったり買ったりするよりも、短期的な価格変動を受け入れて、自分のリスク許容度に合ったポートフォリオを維持して長期投資を実行するほうが資産は間違いなく増えていくのだ。

長期投資のみならず、人生においてリスクをとらなければリターンは生まれない。ただしリスクといっても変なリスクはとってはいけない。リスクに見合ったリターンが期待できるのか?リスクとリターンのバランスが大切である。これまで多くの人をコンサルティングしてきたが、自分だけは雨に濡れたくないと考えて、リスクをとらない人が多い。一方でビットコインやワンルームマンションなどギャンブルのような投機に走る人も多く、両極端である。

ゼロ金利時代においては安全確実に5%のリターンをとれる商品はないのである。

当社は2006年創業以来、15年にわたって投資信託をコアとしたポートフォリオ運用を推奨してきた。一例であるが12年前にお客様にご投資いただいた株式型の投資信託の基準価格は、3倍以上になっている。複数の銘柄にリスク分散して3倍というのは、リスクとリターンのバランスが良い。あらためてであるが投資信託による運用は、税金を繰り延べてくれる。投資信託(ファンド)が企業から受け取る配当や利息は非課税であり、ファンド自体が株式を売却した際のキャピタルゲインも非課税であるため、投資家は良いファンドを保有している限り税金を繰り延べることができるのだ。複利効果を最大限に享受できるこの仕組みが、投資信託の最大のメリットなのだ。

素人に毛の生えた人たちが、好奇心で個別銘柄(ETFも含む)を売ったり買ったりしている。もちろん自由にやればいいと思うが、まず勝ち目はないゲームだろう。

アメリカのロビンフッドの問題(学生がオプション取引で巨額負債を抱えたと誤認して自殺)もそうであるが、日本も世界においても、賢明な投資家は、ごくごく少数派である。長くなった人生、経済が成熟する中で投資の巧拙が人生に大きく影響を与えるにもかかわらず、適切な投資教育は提供されていない。ネットに蔓延する信用できない情報ではなく真に役立つ投資教育が必要だと感じる今日この頃である。

Bostonでインフレを実感

  昨年7月に続いて先週プライベートで ボストンに一週間程度滞在したのだが、あらためてアメリカのインフレと円安ドル高を実感した。昨年よりも確実に物価は高くなっていた。 まず家族4人でノースエンドのイタリアン人街にあるTrattoria I’ll Paninoに行った時のこと。 炭...