2021/02/18

資産運用のパワー

 マーケットが堅調である。

各国中央銀行の金融政策、各国政府の財政出動に加えて、やはりワクチン効果は大きい。

コロナ感染者数で世界ワーストのアメリカであるが、ワクチン接種がすすんでおり、7月後半にはアメリカ国民が2度、摂取できるワクチンを確保できるとバイデン大統領は表明した。

16歳以上のアメリカ国民のワクチン摂取が進み、年内にも集団免疫を獲得する見込みである。

各種景気指標からも明らかであるがアメリカ経済の回復基調は鮮明となっており、10年国債の利回りも1.3%と上昇した。もちろん、インフレ、金利の急上昇、コロナの感染再拡大には警戒が必要であるが、FRBパウエル議長は、しっかりと先手を打ち、2023年末まで利上げをしない意向を明らかにしている。さらにバイデン政権の財政出動は、世界最大の経済大国アメリカのGDPの約9%と巨額である。

また世界第2位の中国経済も好調。コロナの影響から世界で最も早く抜け出し、巨額のインフラ投資を加速させている。鉄鉱石や原油価格も上昇基調で、コモディティの価格もじわじわと上がっている。ドル高を受け金価格は下落基調で実体経済の回復とともに銅やニッケルも上昇気配。もちろん米中摩擦には引き続き警戒が必要であるが、米中2つの大国の経済が好調に継続する流れは確実であり、株式市場には今後も追い風が吹きそうである。

資産運用で成功体験の少ない日本では、株があがってもマーケットに悲観的な見方も多いが、世界をみれば大きな変革の時代であり、新しいスター企業が次々と誕生しており、数々の投資機会(チャンス)があると考えている。マーケットの予測は難しいが、個人的に今年は、いい流れが継続すると考えている。

さて当社は、日々、マーケットとお客様の資産の動きを観察しているわけであるが、あるお客様の運用状況を確認して資産運用のパワーにあらためて驚いた。

5年前の2016年1月25日にお客様にある投資信託1本に1億円ご投資いただいた。以来、殆ど何もしないでBUY&HOLD。そして5年が経過した本日の残高は、初めて2億円を超えたのだ。そのお客さまが、数年前におっしゃった言葉が今も印象に残っている。

『M銀行の定期預金の金利は0.01%で1億円預けても年間の利息は1万円。利息にかかる税金を控除すると8000円。中浜さんの薦める投資信託のほうが成績が良いね(笑)』*現在は、0.002%なので利息2000円、税控除後、1600円。

当時、お客様は、購入時の手数料や信託報酬という投資信託の運用コスト、そして価格変動リスク、為替リスクなどをご理解いただいた上で、ご提案した商品に投資する価値があると判断してくださった。

結果的にわずか5年で1億円が2億円になった。ギャンブルではなく、リスクを抑えながら運用力でリターンを積み上げたのである。個別銘柄や仮想通貨で2倍になったわけではなく高度なリスク分散によるものである。72の法則によると、5年で元本が倍になったということは、72÷5年=14.4%。つまり年率換算で14.4%で運用されたという事である。

年率14%という数字は同期間の世界株インデックスを大きく上回っていることはもちろんである。世界の優良企業のROE(自己資本利益率)に匹敵するリターンを獲得していることは、あらためて驚きである。 

ファイナンシャルアドバイザーとしてお客様に喜んでいただくには時間(忍耐)が必要である。運用資産が2倍になればお客様は、喜んでいただけると思うが、やはり運用金額が大切である。100万円が200万円になるよりも3000万が6000万、5000万円が1億になるほうがいいに決まっている。いい商品を長期保有する。時間を味方につけて資産運用のパワーを最大限に生かせば経済的な不安はなくなるはずである。

当社のお客様の多くは長期投資の継続による運用益(含み益)で経済的な将来不安が年々、軽減していることを、実感していただいているようだ。

とはいえ、まだまだ先は長い。これからが本当の勝負である。気を引き締めていきたい。

2021/02/12

ブログ再開

昨日、10年以上にわたって親しくさせていただいている50代前半の開業医の先生とゴルフをご一緒させていただいた。先生は、仕事も趣味も何事にもストイックな方で本当に心から尊敬する人物である。

資産運用に関しては10年以上前に私と一緒に打ち合わせをした運用方針、運用計画に従ってポートフォリオ運用して長年にわたって淡々と投資を継続している。

基本的には投資信託を活用したポートフォリオ運用でBUY&HOLD。日々の株価に一喜一憂しないで、リーマンショック、ギリシャ・ショック、コロナショックも乗り越えて、資産は着実に成長している。すでに一生、経済的に困ることはなく安泰であるが、その資金を預金に置きっぱなしにするという発想はない。長期にわたって預金に置くことは、名目で減らないとしても長期的には物価上昇に負けて実質的に目減りするからである。今日の1億円と20年後の1億円の価値は全く違うのである。これからの世界を見据えて、どこにお金を預けるのが最適なのか?という視点が重要である。

先生は稼ぐ力(フロー)と稼いだお金(ストック)の両輪が長年連動して働いており、ご自身はいつも謙遜されるけれど、間違いなく既に日本を代表する長期投資家である。将来、どこまでいってしまうのか?本当に楽しみである。

そんな先生から昨日『中浜さん、最近ブログの更新してないですね。楽しみに見ていたので、また更新してほしいです(笑)』と言葉をいただいた。私自身、先生の言葉にハッとした。昨年、コロナ感染が拡大して以来、理由はよくわからないけれど、知らず知らずのうちにブログ更新が滞りがちになってしまっていた。

大切なお客様からこのようなご指摘いただき、少し反省しつつ、あらためて定期的にブログ更新を再開しようと思った次第である。

さて、最近の私の仕事であるが、ほぼ100%リモートワークになっている。リアルで一度もお会いしたことがないお客様も20人以上となった。昨年の3月を底にマーケットは反転し、アメリカ大統領選挙でバイデン勝利、FRBの金融緩和の継続、コロナワクチンなどが追い風となっており、マーケットの一部に過熱感も見られている。投資経験の浅い人は、マーケットが崩れる前に一旦売却したほうが良いのでは?と聞いてくるが、長期投資を成功させるために、そのような運任せのやり方は賢い戦略とは言えない。売却することで当然、税金がかかるし、そもそも素人であれ著名投資家であれ、短期的な予測は当たらない。まさに神のみぞ知るということだろう。長年にわたってバブルがはじけるとか猛烈な円高になるとか自身の発言に何の責任も持たない偽物専門家の声を真に受けてはならない。いつの時代も株価は突然上昇するわけで、バブルに関してもグリーンスパンがいったように、はじけなければわからない。短期的な予測は不可能なマーケットであるが、長期では右肩上がりで上がる、これが資本主義社会の根幹である。マーケットが上昇するときにマーケットにいないことこそが大きなリスクである。

マーケットにおける価格変動リスクを避けて、売ったり買ったりするよりも、短期的な価格変動を受け入れて、自分のリスク許容度に合ったポートフォリオを維持して長期投資を実行するほうが資産は間違いなく増えていくのだ。

長期投資のみならず、人生においてリスクをとらなければリターンは生まれない。ただしリスクといっても変なリスクはとってはいけない。リスクに見合ったリターンが期待できるのか?リスクとリターンのバランスが大切である。これまで多くの人をコンサルティングしてきたが、自分だけは雨に濡れたくないと考えて、リスクをとらない人が多い。一方でビットコインやワンルームマンションなどギャンブルのような投機に走る人も多く、両極端である。

ゼロ金利時代においては安全確実に5%のリターンをとれる商品はないのである。

当社は2006年創業以来、15年にわたって投資信託をコアとしたポートフォリオ運用を推奨してきた。一例であるが12年前にお客様にご投資いただいた株式型の投資信託の基準価格は、3倍以上になっている。複数の銘柄にリスク分散して3倍というのは、リスクとリターンのバランスが良い。あらためてであるが投資信託による運用は、税金を繰り延べてくれる。投資信託(ファンド)が企業から受け取る配当や利息は非課税であり、ファンド自体が株式を売却した際のキャピタルゲインも非課税であるため、投資家は良いファンドを保有している限り税金を繰り延べることができるのだ。複利効果を最大限に享受できるこの仕組みが、投資信託の最大のメリットなのだ。

素人に毛の生えた人たちが、好奇心で個別銘柄(ETFも含む)を売ったり買ったりしている。もちろん自由にやればいいと思うが、まず勝ち目はないゲームだろう。

アメリカのロビンフッドの問題(学生がオプション取引で巨額負債を抱えたと誤認して自殺)もそうであるが、日本も世界においても、賢明な投資家は、ごくごく少数派である。長くなった人生、経済が成熟する中で投資の巧拙が人生に大きく影響を与えるにもかかわらず、適切な投資教育は提供されていない。ネットに蔓延する信用できない情報ではなく真に役立つ投資教育が必要だと感じる今日この頃である。

Bostonでインフレを実感

  昨年7月に続いて先週プライベートで ボストンに一週間程度滞在したのだが、あらためてアメリカのインフレと円安ドル高を実感した。昨年よりも確実に物価は高くなっていた。 まず家族4人でノースエンドのイタリアン人街にあるTrattoria I’ll Paninoに行った時のこと。 炭...