2021/05/20

コロナ禍における日本

 2020年世界を襲ったパンデミックに対して、国民の自粛(忍耐)に依存してきた日本は、ワクチン接種で世界から完全に取り残されてしまった。行き過ぎた自粛による日本経済の落ち込みは想像以上に大きく、日本経済の停滞を余儀なくされている。先日、地元愛媛に出張したが、他県に比べて感染者数が少ない愛媛においても蔓延防止等重点措置が取られており松山市内の歓楽街は、ロックダウンしているかのようで見たこともない光景であった。これほどまじめな都道府県はあるのだろうか。愛媛県人は、みんな真面目で横浜からきた私に会うことを会社で禁じられている人も多いようだ。

もちろん個人個人が真面目であることは素晴らしいことであるが、全員が真面目であれば経済は破綻する。私は、まじめすぎる愛媛県民と愛媛経済のことを大変まじめに心配している。みんなが投資しないで預金だけすれば経済が回らないことと同様であり、まさに『合成の誤謬(ごびゅう)』とはこのことである。

あまり報道されないが医療現場ではかなりのワクチンが廃棄されているという。ワクチンがないわけではなく、予約システムを含めオペレーションが非常にまずい。緊急を要する危機対応(ワクチン配布)において、あまりにも丁寧かつまじめにやりすぎる日本は、そもそも適していない。細かいことを気にしすぎて、大きなものを失っていることに全く気づいていないのだ。

高齢者がテレビのインタビューで『自分が友人より先にワクチンを接種して申し訳ない。』ようなことを語っていたが、そんなメンタリティは何の役にも立たない。とにかくワクチン接種を最優先するアメリカを見習うべきである。ワクチンを接種したらヤンキース戦のチケットをプレゼントするアメリカは、さすが合理的である。

バイデン大統領就任と時を同じくするようにアメリカのコロナ対応は一変。ワクチン接種は加速し、徐々に日常生活が戻りつつあり、経済活動も活発化しており、アメリカ国内の航空需要もコロナ前の9割程度に戻っているとのこと。

今週からサウスカロライナ州にて全米プロゴルフ選手権が始まるが、ギャラリーの様子を見ればアメリカ経済の回復ぶりが見れるだろう。

アメリカに留学中の息子によると5月1日に大学の近くの薬局で2回目のワクチン接種を済ませ、空港など公共の場以外ではマスクを着用しなくてもよい状況。今週から大学は夏休みになり、今まさに帰国のため羽田にフライト中である。さて水際対策において日本に入国するためには、出国時間の72時間前に現地にてPCR検査を受けなければならない。書類の不備があって出発国に戻されたという信じられない話もチラホラあるし、実際に息子の友人(日本人)も陰性証明書のフォームが日本のフォームに準じていないという理由で経由地のシカゴのホテルに2日間滞在させられたようだ。(数日前の話)

息子が住むウィスコンシン州は田舎町であるが、もちろんPCR検査を受けることは出来るが、採取した検査結果の取得に時間がかかり、フライト前日に結果が出てこなかった。しかも結果はメールで送られてくるため、日本入国で求められている陰性証明書のフォームに手書きで記入してくれるドクターを探さなければならない。このような状況であるため、現地の陰性証明書ではダメなのか?厚労省に問い合わせてみたが、かたくなに決められたフォームにドクターのサインをもらわないと原則入国できないとの一点張り。挙句の果てには現地の大使館に相談してくれとたらい回しされる始末。私は、怒りよりも日本の役人の仕事ぶりに呆れ、哀れさえ感じた。

息子は急遽、昨日、タクシーで片道2時間かけてミルウォーキーのクリニックにてPCR検査を受け、日本に入国するための日本政府が定めたフォームに現地のドクターのサインがついた陰性証明書を取得した。クリニックを往復してくれた運転手さんに日本のワクチン接種は、年末くらいになりそうと話すと『日本は、そんなに遅いのか?』と驚いていたらしい。

帰国前にもう、心身ともにヘトヘトである。

本日午後に羽田に到着するが、羽田空港でも世界でも悪名高い入国審査が待っているようだ。ある方の情報によるとさながら『帰国者への罰ゲーム』のような全く意味のない手続きに膨大な時間を要し、長いフライトを経てようやく日本についた後の手続きで2時間以上を要するらしい。しかも、ソーシャルディスタンスが確保されておらず、むしろ羽田空港での感染リスクのほうが懸念されるくらいである。入国前に事前にウェブ上で申告した内容について何度も繰り返し書類に手書きで記入させられる。なんでこんな無意味なことをやるのか?

想像するにオリンピック開催前の水際対策に関して政府からの命令に対して、役人が自分たちはちゃんと忠実に守って仕事をしていることをアピールするため、あるいは空港で何か起こった時に自分たちは、ちゃんとやってますと政府に見せるための書類なのだろう。愚かな人間が考えた愚かなルールが改められない現状、本当に帰国する皆様には気の毒である。

息子によるとアメリカから欧州やカナダへの入国は、ほとんどスマホによる申告で入国できるらしい。こんなに膨大な紙に記入させられる国は、おそらく世界で日本だけだろう。

デジタル分野でもワクチン接種でも世界から完全に遅れてしまった日本。政府の命令に従うだけの役人や上司のいう事しかやらない社員、一体どこを向いて仕事をしているのだろう。デジタル庁をつくるのはいいが、もっと自分で考えて当たり前のことができる人材を育てていかないとこの国の未来は非常に暗いものになるだろう。

コロナ渦において日本は、頑張って自粛するのはいいが、内実は何もしないで思考停止しているかのようである。夕方、羽田に息子を迎えに行くが、2週間の隔離を義務づけられアプリで毎日、健康状態を問われ管理下に置かれるらしい。息子は9月からボストン大学3年生に編入するためボストンで生活することになるが、日本滞在中に息子と日本の未来について考えてみたい。



Bostonでインフレを実感

  昨年7月に続いて先週プライベートで ボストンに一週間程度滞在したのだが、あらためてアメリカのインフレと円安ドル高を実感した。昨年よりも確実に物価は高くなっていた。 まず家族4人でノースエンドのイタリアン人街にあるTrattoria I’ll Paninoに行った時のこと。 炭...