東京オリンピックまで一カ月。先進国最下位の日本のワクチン接種スピードがようやく加速してきているが、過度の自粛は継続しており経済回復は遅れている。今回のコロナショックが将来の日本の財政や経済、人々の生活にどのような影響を与えるのか?まだわからないが、このような予期せぬ危機対応に日本が非常に弱いという事は明らかになった。日本という国は、想像以上に脆弱なのかもしれない。
ワクチンなしでまじめな国民性でコロナ感染を抑えていることは素晴らしいが、一方で過度な自粛によって経済回復は遅れ、経済自体はかなり疲弊している。
ある調査によると主要国(日本、アメリカ、イギリス、ドイツ、フランス、イタリア、インド、中国)において新型コロナへの感染を恐れている人の割合が突出して高いのが日本で、約80%。アメリカ、イギリス、フランスは40%未満で変異株が猛威を振るっているインドも60%程度。高齢者の比率が高いこともあるが、世界一心配性なのが日本人なのかもしれない。
私は愛媛出身で大学時代は山口で仕事柄も地方に友人、知り合いが多いのだが、都市部と地方のコロナに対する意識のギャップには非常に驚かされる。地方の人は東京や大阪に行くことを極度に恐れている。マスコミ報道のせいかもしれないが、過剰反応である。結果、感染者が殆どいない地方の田舎街でも過度の自粛が行われている。もちろん田舎だけではない。横浜でも一人で車を運転している時にもマスクをしている人をたくさん見かけるが、客観的に見れば異常な光景である。
今の日本では自粛してないと誰かに批判されるような雰囲気があり、それが怖いのか?それとも本当に自粛が大好きなのか?理由は分からないが、とりあえず面倒だから、何も考えずに言われたとおりに自粛する。政治家や官僚、専門家の言う通りにみんなが行動する。ある種、この思考停止状態によって経済全体として大きなダメージを受けているのが、今の日本ではないだろうか。
話は変わるが、日本の個人金融資産は2000兆円に達したようである。1000兆円超が全く金利のつかない預金に置かれている。投資は怖いから預金に置いている人が多いことは間違いない。コロナに感染したくないから自粛。投資は怖いから預金。まさに思考停止状態、自分だけでなくお金にも自粛させているのが、多くの日本人である。
経済とはモノやサービス、お金の流れである。過度の自粛は、経済を壊してしまう。日本全国の中小零細企業、個人事業主がコロナではなく、過度の自粛によって苦境に立たされている。
さて私自身はオリンピックと全く関係ないのだが、世界中のアスリートやその家族、関係者、オリンピックに関わる人々は、東京オリンピックに人生をかけている人も多いだろう。個人的には無観客や中止、延期を声高に求めている専門家には大きな違和感を覚える。
オリンピックをやめれば感染が収まるわけではないし、そもそも開催中止という選択肢は良い選択ではないだろう。訪日外国人客がいない今、外国人はアスリートと大会関係者、メディア、日本在住の外国人であり、オリンピック開催に批判的な国は、世界中どこにもないだろう。唯一、選手を感染リスクから守るという建前で北朝鮮が不参加を表明したくらいである。普通の国では、選手の参加に反対する国はないのは当たり前である。
単純な結論であるがオリンピックは、他のスポーツイベント同様に感染対策をしっかり講じて、開催すればよい。感染拡大を招いたGo toトラベルやGo toイートより全然、安全であることは間違いない。医療関係者からしてみれば過去に愚策を繰り返してきた政府に対する不信感がオリンピック開催に対して批判的な声になっているのかもしれない。その気持ちも分からないでもないが、世界標準から考えれば、観客を入れて安全に開催すればよいということになるだろう。開催に反対している人もオリンピックが始まれば、意外と盛り上がっているだろう。くだらないテレビ番組を見ているよりは、オリンピックのほうが間違いなく面白いはずである。いずれにしても、世界経済やマーケットとは、ほぼ無関係のオリンピックに対する報道にはうんざりである。早く終わってほしいものだ。