2021/09/13

9.11から20年、今思うこと


 2001年9月11日、世界同時多発テロ事件から20年が経過した。早いもので2001年1月生まれの息子は、現在ボストンに留学中の20歳である。私自身は、あの日2001年9月11日の夜、ワールドトレードセンターに旅客機が衝突した瞬間、横浜鶴見の屋台で一人で飲んでいた。隣の酔っ払いのおやじが、『お前こんなとこで飲んでる場合じゃないぞ。アメリカが大変だ!』とからんできた。この酔っ払いのおやじ、何言ってるのかと思いながら帰宅すると、妻が『アメリカが大変なことに!』と。ニューヨークの悪夢の光景に酔いがさめ、深夜までテレビにくぎ付けになったことを思い出す。

9.11あの日以来、世界は変わった。米ソ冷戦は終わったが、世界はテロの脅威にさらされることになったのだ。

この9.11のテロ事件に加え、2000年初頭のITバブル崩壊、2003年のイラク戦争とつながる流れは、21世紀の幕開けに暗い影を落としたのであった。冷戦以降、唯一の超大国であったアメリカは、2008年9月のリーマンショック以降、しだいに衰えていく。アメリカだけではなく、金融危機の影響は世界に拡大し、欧州債務危機によって欧州経済も体力を失っていった。これまで世界の中心であった米欧先進国の力は衰え、世界経済の成長のエンジンは中国を筆頭とする新興国に軸足を移している。中国を筆頭にグローバルリズムは拡大の一途をたどるようにも見えたが、先進国における経済停滞は長期化し、格差はしだいに拡大し、中産階級からこぼれた人々の批判の矛先はグローバリズムそのものに向けられた。

アメリカでは格差拡大の批判票(中高年の白人低所得者層など)を受け皿にトランプ政権が誕生し、欧州でもイギリスのEU離脱、ブレグジットという歴史的大事件につながった。

米中摩擦は激化し、米中による新たな冷戦が勃発。まさにグローバリズムが終焉を迎えようとしている最中の2020年、武漢を震源地としたパンデミックが世界を襲った。

先進国においては歴史に類を見ないスピードでワクチン接種が進んでいるものの未だ、新興国や途上国においては厳しい状況が続いており、世界はコロナに打ち勝ったといえる状況とは程遠い。このコロナショックによる影響は、まだはっきりしないが、世界は大きく変わっていくことは間違いない。

アメリカのアフガニスタン撤退は、アメリカは自国のことに精いっぱいでもはや世界の紛争に関与する余裕はないことの象徴である。2000年初頭からこの20年で急速に力をつけてきた中国と対峙することに資源を集中するために、アフガニスタンから撤退せざるを得なかったのだろう。

さてデルタ株の感染拡大により、まだまだ世界経済は大変であるが、2020年3月20日を底にマーケットは堅調に推移している。良くも悪くも、世界は今回のパンデミックが2008年のような金融危機につながってはいけないという信念のもと、各国中央銀行による金融緩和(量的緩和)と各国政府による巨額の財政出動を進めてきた。結果的に金融市場はリーマンショック時の時と対照的に落ち着いており、一部には量的緩和マネーによるバブル懸念も指摘されているものの、多くの企業が業績を伴う株価上昇であり、バブルといえる状況ではない。

未熟な投資家は、コロナでビックリして資産を売却したが賢明な長期投資家はしっかりとリターンを獲得している。

最近は、企業業績よりもアメリカの中央銀行FRBによる量的緩和縮小(テーパリング)の時期に注目が集まり、マーケットは金融引き締めによる金利上昇リスクを注視している。パウエル議長は、マーケットと経済と対話しながら、職人芸のような難しいかじ取りが必要とされるだろう。出口戦略は難しくなることは間違いない。アメリカだけではなく、全く出口すら議論されない黒田日銀の金融政策も大きな頭痛の種である。総裁選に出馬する政治家らの発言を聞いていると彼ら彼女らは全く経済、マーケットのことをわかっていないようだ。これまでもそうであるが、分かっていない人たちが意思決定することも大きなリスクとなるだろう。

未来は不確実で誰にもわからない。しかし、一つだけ言えることは、世界を良い方向に変える価値ある企業の株価は今後も上がっていくということである。世界経済が悪化しようと低成長であろうと価値ある企業は成長する。もちろんその価値ある企業を支えるのは価値ある人である。2030年に向けて、ますます世界は激変する。その変化に柔軟に対応し、世界に価値をもたらす企業を見極めていくことが、今後の長期投資における大きな課題だと考えている。

9.11から20年、今思うこと

 2001年9月11日、世界同時多発テロ事件から20年が経過した。早いもので2001年1月生まれの息子は、現在ボストンに留学中の20歳である。私自身は、あの日2001年9月11日の夜、ワールドトレードセンターに旅客機が衝突した瞬間、横浜鶴見の屋台で一人で飲んでいた。隣の酔っ払いの...