2021/12/28

アメリカ一人勝ちの要因

今年もあと僅かとなった。 

岸田首相のオミクロンの極端な水際対策や受験生への対応を見てると、想像力が欠如していて正直なところ危ない感じがする。いつまで日本は鎖国を続けるつもりなのだろう? 外国人の入国禁止で支持率が上がったようだが、ワクチンや治療薬、資源を含めて、海外に依存しているのに留学生を含めた外国人は全く受け入れないという姿勢は、いかがなものか。長期的に日本の国益を失っていると考えないのだろうか?アメリカは、無症状の国民を狭いホテルに隔離(人権侵害と思う。)などしないし、外国人である私の息子もアメリカ国民と同じルールで受け入れてくれる。

オミクロン感染が拡大するとアメリカ人であろうと外国人であろうと誰に対しても無料でワクチンを接種する機会を与えてくれる。 日本人は、政府や役人から命令されたことを忠実に守る人が多いが、彼らの指示は的外れで間違っていることが多い。公衆衛生の専門家といわれる人も正しいとは限らないし、盲目的に信用することはできない。

 日本の長期にわたる低迷は、大して能力もない政府や役人、仕事のできない上司から指示されたことに従順に従って、自分の頭で考えて行動する習慣がないことが要因ではないか。

 12月26日の日経電子版記事によると、『世界の株式市場で米国の一人勝ちが鮮明だ。12月24日時点の時価総額上位1000社を集計したところ、2008年の金融危機後で初めて5割を超え、社数でも最多となった。一方、日本企業は5%を割り込み、存在感の低下に歯止めがかからない。』とあった。

 アメリカの一人勝ち、日本企業の低迷の要因は、いろいろあると思うが個人的には、大学教育の違いが大きな要因と考えている。

 先週、アメリカの大学に留学する息子が一時帰国した。3日間狭いホテルでの強制隔離から自宅に戻った息子にアメリカの現状、大学や授業内容、教授、友人などボストンでの留学生活について詳しく聞いた。

 息子もそうであるが、アメリカの大学生はとても良く勉強する。勉強しないと単位が取れず、成績が悪い学生は容赦なく教授から他の大学への編入を強いられる。高い授業料を払ってもクビになるのである。実際に息子の友人らも授業についていけず編入する人も少なくないようだ。日本と違ってアメリカでは成績の悪い学生は、留年ではなく、リストラされる。だから死に物狂いで勉強する。 特に試験前は朝から晩まで食事をする時間も惜しんで勉強するため、息子も夏から5キロ体重が減っていた。

息子は試験中、さすがに深夜12時には寝るようであるが、ルームメートのアメリカ人は朝3時過ぎまで勉強しているらしい。それでもなかなか良い点が取れるわけではないらしい。 アメリカの大学生は、大学4年間で徹底的に鍛えられ、企業に入る時点で即戦力となる。アメリカの優良企業は、即戦力の学生しか雇わない。企業は、日本のような横並びの新入社員教育はやらない。入社してから育てるような非効率なことはしない。アメリカの企業は、学校の成績だけでなくその人の人物像、インターンの実績など多面的に評価して、会社に価値をもたらす可能性の高い人材のみ雇用する。

日本のような就活はなく、学生は企業に自分を売り込み興味のある企業にインターンのオファーをする。アメリカの学生は、勉強と並行して長期の夏休みを利用して積極的に企業にインターンする。勉強とインターンの両立が必要となるため、日本の大学のように簡単に卒業は出来ない。 講義は実践的で教授の質も高く、民間企業で実務経験のあるプロが指導する。

例えば息子の受講するファイナンスの授業は、ステートストリートやシティバンク、ヘッジファンドでプロとして運用経験のある教授が学生を指導するため、机上の勉強ではなく、実践的で面白いらしい。教授がアメリカの優良企業5社を提示し、学生は、少人数のグループに別れ、各チームは、5社から2社を選ぶ。息子のチームは、テスラとフォードを選び、それぞれの企業のビジネスを徹底的に調査比較して、どちらに投資するべきか議論し、意見を戦わせる。

 学生は、大学が保有するデータをクラウドからダウンロードすることが出来る。財務諸表や決算書、アナリストレポート、サプライチェーン、ESGスコアなど徹底的に企業を比較分析する。少人数のチームのメンバーで役割分担し、テスラとフォードのビジネスの違いを明らかにしていく。息子は、テスラとフォードのサプライチェーンを調べたようだが、各チームメンバーが調べた内容を議論し、最終的にどちらに投資するべきか決定し、皆の前でプレゼンをする。しかもプレゼンは本格的で学生は、ビジネススーツに着替えネクタイをして運用会社のアナリストのように教授や学生の前でプレゼンするようだ。 教授は、各チームのプレゼン内容を多面的に採点し、問題点を指摘する。

私は、息子のチームの分析とプレゼン内容を実際に見せてもらったが、正直なところ、そのレベルの高さに驚いた。そして、こんなレベルの高いことを大学生がやっているアメリカが強いことは当然なのかもしれないと感じた。 全体的に日本の大学生は、アメリカの学生と比べると勉強量が足りないと思う。息子と話していると私も当時の自分が恥ずかしくなる。 日本は、大学受験で疲弊して、大学に入ると勉強しない。多くの学生がアルバイトとサークルで必死になって勉強していない。当然親も同様だったから、子どもたちに勉強しろとは言えない。私も娘に勉強しろとは言えなかった(笑)

 学生のレベルも低ければ、当然であるが大学教授の質もアメリカと比べると低い。もちろん日本にも素晴らしい教授もいると思うが、少数だろう。日本の大学教授の多くが民間企業での実務経験もなければ成功体験もないから、大学における学びが社会で役立つ知識とリンクしていない。別物なのだ。講義は実践的でないし、今の変化の激しい世の中についていけてないから、大学が社会で真に役に立つ人材を育てることは困難である。そして必然的に企業に教育を任せることになる。日本でも社会人が専門領域について深く学ぶためビジネススクールに通っているが、アメリカの大学は、4年間でビジネススクール並みのことはやっている印象である。

 日本企業は、新入社員研修と称して入社してから横並びの人材を育てる。これでは、平均的なありきたりの人材しか育たない。当然であるが企業にとって即戦力ではなく、生産性は低い。アメリカ企業の強さは、アメリカの大学で鍛えられた個人の強さによるところが大きい。もちろんアメリカも格差があるし、日本にはないさまざまな問題を抱えているし、日本のほうがアメリカより素晴らしい面もある。しかし、これまで会ってきた多くの留学生やアメリカ人は、「アメリカで一番素晴らしい場所は、大学である。」ことを認める。アメリカの大学とアメリカ企業の強さは強く結びついていることは間違いないと思う。

Bostonでインフレを実感

  昨年7月に続いて先週プライベートで ボストンに一週間程度滞在したのだが、あらためてアメリカのインフレと円安ドル高を実感した。昨年よりも確実に物価は高くなっていた。 まず家族4人でノースエンドのイタリアン人街にあるTrattoria I’ll Paninoに行った時のこと。 炭...