2022/10/30

New Regular

仕事と関係ない話。今朝、留学中の息子と久しぶりにLINEで話をした。息子によると『今、人生で一番忙しい』とのこと。来年5月卒業に向けて9月からラストイヤーが始まっており、現在テスト中でギリギリの戦いをしていること、そして来年の就職に向けた活動も並行して行っているため忙しいようだ。

そんな息子であるがボストン大学近くのBar『The Corner Tavern』には毎週金曜日の夜に必ず顔を出しているようだ。私も7月に2日間、息子に案内してもらったがお店の雰囲気も素晴らしいし、魅力的なRegular(常連客)がたくさんいて、居心地がよくボストンの旅で一番の思い出の場所であった。Bostonに『The Corner Tavern』あり、まさにBostonの素敵な人々が集う社交場である。

息子は毎週金曜日の授業終了後にお店に通い続けており、最近ではお店の『New Regular』と呼ばれるようになったらしい(笑)日本人で唯一そして最年少のRegularを獲得したのだ。ちなみにこの店のRegularと呼ばれる人は、10人程度らしい。お店のスタッフやお客さんも21歳の日本人が毎週金曜日に来るのが面白いのだろう、アダムさんを初めとしたRegular の皆さん、息子に良くしてくれてありがとうございます。この店のクレジットカードの決済金額が毎週1800円程度なのでいつもビール1杯飲んで帰っているのかと思いきや、2杯目以降は、Regularの皆さんにごちそうになっている事も多いようだ。

息子は大学での勉強と同様にThe Corner Tavernで人生におけるさまざまな事を学んでいる。アメリカの経営者やコンサルタント、ビジネスパーソンと1杯飲みながら語り合える、まさにビジネススクールのようである。たまに大学の友人らと飲みに行くこともあるらしいが、このBarには必ず一人で通って、アメリカの社会人らと語り合う、それがBostonでの楽しみの一つのようだ。ある日のことアメリカの大手企業の幹部と話をして、就職について相談したところ、大企業に入るのではなく実家のビジネスに進んで将来は、継ぎなさいとアドバイスを貰ったようだ。早くから取り組んだほうが成果が出るという事らしい。私は、まず大企業に入って経験を積んだほうが良いとアドバイスしているのだが、いろんな意見があるものである。息子は、The Corner TavernでRegularになり、多様な人々の意見やアイディアにふれ、刺激を受け、成長していることを電話でのやり取りで感じ、少し安心した。


2022/10/29

第2の創業期

 一部のお客様にはお伝えさせていただいたが、今年8月1日に娘が3年間勤務した証券会社を退職し、当社に入社。そして今月あらたに証券会社出身の29歳男性をヘッドハンティングし、現在ファイナンシャルアドバイザーとして研修中である。

近年、資産運用のニーズは一層高まっているが、当社も素晴らしいお客様に恵まれ、資産残高もお客様の口座数も順調に増えてきた。これまでのアドバイザー2名体制では限界が近づいていたこともあったし、お客さまから『将来どうするんですか?』というお声もいただいたこともあり、メンバー増員は急務であった。2022年このタイミングで若い人の育成なくして会社の未来はないと判断した。今後は私自身もファイナンシャルアドバイザーとしての活動と並行してアドバイザーの採用、育成に力を注いでいく方針である。

そんなこともあり、近年、リモート中心に単独で活動してきた私は、今月から毎日みなとみらいに出社し、若いメンバーと一緒に仕事をしている。会社に通勤するのは何年ぶりなのか忘れてしまったが、会社員時代から朝の電車が嫌いなため、今のところ車と電車を交互に利用して、みなとみらいに通っている。事務所は、WeWork内に個室スペースがあるが、メンバーが2名増えたため、来月から10名以上入れる広いスペースに移動することにした。ここで社員一同、第2の創業と捉え、切磋琢磨していくことにした。年間オフィス賃料は、約1000万円で小さな会社にとって決して安いコストではないが、オフィス環境は若いメンバーの士気を高めるためにとても重要であると判断した。またホームページも新たに作り変える必要があるし、どのような方法で採用と育成を加速させるのか?やるべきことが山積し、時間が足りない。来年以降は、全国の居酒屋巡りの旅やプライべートのゴルフも数を減らして、企業価値を高めることを最優先したい。

そんなことで社長と私がそれぞれ勝手に動いていたフリーエージェントの時代は終わり、今後はチーム(組織)としてお客様に最適な資産運用アドバイスを提供していく決意である。

私自身の働き方は180度転換し、まるで転職したような気分であるが、非常にワクワクした気分である。

お客様におかれましては、資産運用ミーティングに若い2人も同席させていただく機会も増えると思いますが、その際は、どうぞよろしくお願いいたします。


2022/10/03

グローバリズムとGAFAMの終焉

 2022年も残り3カ月。新型コロナウイルスによる中国経済の減速、長期化するロシアのウクライナ侵攻、そして世界的なインフレに対する各国中央銀行(日本や中国を除く)の急速な金融引き締めを受けて、世界経済の景気後退(リセッション)懸念から株式市場も債券市場も全面安の展開となっている。

以前の投稿でも述べたが現在のマーケット環境は、2000年~2002年のITバブル崩壊、NY同時多発テロ事件、SARSが起きた時期と類似しており、かなり厳しい。長期投資家にとって、今の不安定なマーケットは、ストレスとなることは間違いないが、長期投資を成功させるためにはこのような難局を乗り越えていく必要がある。

あくまでも私見であるが、世界経済が来年2023年中に景気後退(リセッション)に陥ることは間違いないだろう。しかし、この景気後退は、あくまでも景気循環における景気後退。

過熱した経済を放置するとバブルが大きくなるため、現在進行中のインフレを退治することは、ある意味で健全である。アメリカは、1980年代の日本のバブルような事態を避けるため必死に行動している。

当初FRBパウエル議長は、インフレを過小評価していたため慌てて金融引き締めを行っているのだが、もはやソフトランディングは不可能で多少の痛みを伴っても物価の安定を優先するという方針である。金利上昇を受けて株も債券も調整しているものの、金融市場は危機的な状況ではなく、現時点でリーマンショックのような金融危機に陥る可能性は極めて低いだろう。

景気は、循環する。よっていつの時代も景気はピークに達した後スローダウンし、景気後退する。景気悪化は、どこかで止まり、また景気は回復する。ずっと景気が良いことはないし、悪いこともない。ただ景気が良い期間は悪い期間よりも長いため、マーケットは上昇する年のほうが下落する年よりも多いのである。

リーマンショック以降、長らく続いた金融緩和によって、金融緩和マネーは、株式市場に流れ、ハイテク関連株を中心に資産価格を押し上げてきたのだが、今は金融引き締めによってマネーが逆回転している。マーケットの調整によって投資家心理は悪化し、これらが個人消費や住宅販売を低迷させ、実体経済をじわじわと悪化させる。今後、企業業績の悪化が鮮明になってくるとマーケットは、さらに調整する可能性もあるが、今後は企業やセクターによって株価に明暗が分かれるだろう。景気にかかわらず強い企業の株は上がっていくし、弱い企業は下がる。また長期投資家にとっては良いニュースであるが金利が高い(価格が安い)債券への投資妙味が出てきている。我慢強くバランスの取れた資産配分で投資を継続することが大切である。

近年、不安定ながらも株式市場は概ね堅調であった。NISAとかIDECOで投資を始める人が増えていることはいいのであるが、知識もないままにただNISAとかIDECOというニンジンにつられて投資を始める人も増えてしまった。ネットでは投資の素人ユーチューバーなどによって『S&P500に投資していれば儲かる』といったような安易な考え方が、散見されているが、とても危険な考え方であると思う。

世界一の投資家バフェットや賢人チャールズ・エリスらが言いたいことは、自分で銘柄選択したり、質の悪いアクティブファンドを買うくらいならインデックスファンドを買ったほうが良いと言っているのであって、これを買っておけば投資がうまくいくとは言っていない。当たり前であるが、そんなことで成功できるほど投資は単純ではないのだ。

ベルリンの壁崩壊後、冷戦が終結して以来、アメリカを中心としたグローバル化が進展してきた。しかし、ついにこの大きなグローバル化の流れは終焉したようだ。グローバル化の進展によって世界の工場 中国から安い労働力を背景とした商品を消費して世界経済は成長してきた。またグローバリズムの進展とは対照的に国家の財政赤字が積み上がり疲弊する中、米テック企業GAFAMの影響力が増し、国家に代わって覇権を握ってしまった。コロナ禍で国家の財政はますます疲弊した。GAFAMに関しては、かつての東インド会社以上の影響力だと言えるが、あまりに大きくなりすぎた。例えばメタ(旧フェイスブック)は、個人情報やプライバシーの問題でビジネスモデルの転換を余儀なくされており、メタバースで収益を得るにはまだまだ時間がかかりそうである。誰の目からも明らかであるがFacebookやinstagramなどSNSも終わりを迎えている感じ。『天まで伸びる木はない』ということだろう。GAFAMに関しては、終焉といっても今後も優良企業であり続けることは間違いないだろう。しかし、これまでのような高い成長は望めないということ。自然な流れであるが成長企業から成熟企業に落ち着いていくと考える。

さてグローバル化は、経済を成長させたが結果的に格差を生み、アメリカ国内ではグローバル化に乗り遅れた白人労働者者層の票がトランプ政権を誕生させた。イギリスのEU離脱もグローバル化終焉の象徴と言えるだろう。

米中摩擦やロシア問題、そして新型コロナの影響も大きいが世界は分断し、世界は内向きとなり国内回帰する流れとなった。世界的なインフレは、グローバル化の終焉とリンクしているため、今後、落ち着いたとしてもなかなか2%のレベルに落ち着くことはなさそう。最近起きている変化はベルリンの壁以降続いたグローバル化からの大きな転換である。この数年で時代は大きく変わった。

毎日のように新聞記事には企業が中国から撤退し、アメリカや東南アジアに移すとか、トヨタのロシア撤退などグローバル企業再編の記事に溢れている。世界は、巨大化した中国や危険なロシアとどう向き合うのか?という問題に対応せざるを得ない。サプライチェーンの再配置が世界規模で起きており、このような地殻変動をチャンスに変える企業が今後、世界をリードしていくかもしれない。

世界は様々な問題が山積している。この諸問題を解決していく企業は、どのような企業なのだろう?GAFAMに代わって世界をけん引する企業がこれから出てくるだろう。

あたりまえであるが世界の繁栄は平和の上に成り立っている。2030年に向けて、世界がより平和で、より良くなっていくことを願っている。



2022/07/14

BOSTONで感じたこと

7月2日から10日まで夏休みを取り、息子が留学するボストンを訪問。息子に会うこと以外、特に計画もないまま滞在中はボストン近郊で過ごすことにした。

アメリカは、ウィスコンシンを訪問して以来3年ぶりであるが、東海岸に関しては、随分前にニューヨークを旅して以来でボストンは私も妻も初めてであった。

成田を18時半に離陸し、JAL直行便で13時間のフライト。時差も13時間なので成田出発と同時間の18時半にローガン国際空港に到着。空港からタクシーで約20分でボストン市街にある宿泊先(エアビー)に到着。先に宿泊先に到着していた息子の案内で荷物を置くなり、夜のボストン市街を散策。フェンウェイパーク近くのBARに入り、明日以降のスケジュールについて家族会議した。

         

ボストンは、アメリカで最も古い都市で、ニューヨークやロサンゼルス、シカゴ、サンフランシスコと全く雰囲気が異なる。やはりヨーロッパの雰囲気が感じられ、まさにニューイングランドの首都といった感じであった。7月4日独立記念日の日にチャールズ川にて3年ぶりにコンサートや花火大会が行われ、ボストン中の人々が徒歩で会場に押し寄せ、街中がお祭り騒ぎで熱気に包まれていた。ボストンでの独立記念日は、貴重な経験であった。

ボストン市街には『フリーダムトレイル』という赤いレンガの線の入った4.4キロの歩道があり、ボストンの史跡16箇所をたどることが出来るのだが、とにかく市街をただ歩いているだけでもワクワクする街である。飲食店も名物のオイスターやロブスター、クラムチャウダーなどシーフード、ステーキ、イタリアン、スペイン料理、中華、タイ料理など、各国料理があり、どの店もレベルが高かった。特に中華街で食べた台湾料理、有名スペイン料理店バルセロナ、オマハ産ステーキ、ノースエンドのイタリア人街で食べたパスタは、絶品であった。インフレと円安の影響で、有名レストランでの食事は日本と比べてかなり高い印象であった。中華街やタイ料理などは比較的リーズナブルであったが、ランチを食べるにも最低3000円程度出さないと食べられない感じ。

息子の案内で毎日BARに行ったが、店員や常連客と語り合うことが出来た。

ボストンで話をした人々に共通することは、皆さんボストンを愛していることである。ボストンで生まれ育った人だけではなく、ニューヨークやヨーロッパ、南米などから移住してきた人も口をそろえてボストンは最高だという。私も僅か8日間の滞在であったが、これまで訪問した街の中でどの街よりも魅力的な街だと感じた。

滞在中、アメリカ最古の球場フェンウェイパークにて、レッドソックス対レイズのデイゲーム(7月4日)とレッドソックス対ヤンキースのナイトゲーム(7月7日)2試合を観戦した。特にヤンキース戦は超満員で、ニューヨークに対するライバル意識むき出しでフェンウェイパークは異様な雰囲気であった。私たちは前日にチケットを取ったため、立見席しか取れなかったが人気カードということで一人10000円程度であった。ドリンクや食べ物の持ち込みは厳禁で、球場内でペットボトルの水3本買ったら15ドル程度、なんと現在のレートで約2000円。日本でもゴルフ場などで1本250円くらいで売っていることもあるが、それにしてもビックリである。

ちなみに息子によると5月6日に観戦したレッドソックス対エンゼルス戦、大谷が二刀流で出場した試合は、結構空席が目立っていたようで、チケットも3000円程度だったそう。大谷はアメリカでも人気であると思うが、やはりボストン対ニューヨークは、ボストン市民にとって特別なんだと実感した。ヤンキース戦に関しては、比較的良い席は、3万円以上と高額であるが、それでも満席になっているところを見ると、ボストン経済に関しては、底堅い印象を受けた。

            

UberやLyftのドライバーやBarの店員やお客さんにボストンの景気について尋ねてみたが、観光客も戻ってきているし、レストランやBARもたくさん人が入っており、『悪くないよ』というのが多数の意見であった。ボストンのダウンタウンを見ている限りでは、景気は堅調そのものに見えた。アメリカの州や都市によっても景気に違いがあると思うが、ボストンの実体経済は比較的良いほうかもしれない。

日本に帰国後、息子のリクエストで成田空港から車で自宅そばの吉野家に直行。牛丼セットを3人でオーダーして2000円程度。フェンウェイの水3本と同じである。息子は久しぶりの吉野家の牛丼に喜んでいたが、確かにこのクオリティでこの値段は今のアメリカでは不可能だろう。日本の素晴らしさの一つが、日本食のクオリティである。ボストンは、日本より所得も高いが物価も高く、富裕層や観光客にとってはサイコーの街と思うが、ずっと暮らし続けるには厳しい街かもしれない。

昨日、息子の大学から2022年9月-12月(半期分)の学費の請求書が来た。アメリカの大学の費用は、近年高騰しておりクレイジーな状況であるが、昨年は半期分の支払いで450万円であったが、今年は円安の影響が大きく595万円の請求であった。なんと145万円UPである。12月に2023年2月-5月分の請求が同様の金額であるため、年間の授業料と寮費で約1200万円。すでに支払った夏期講習費用(約150万円)や息子の生活費等を考慮すると年間1500万円を超える計算である。インフレ、ドル高が続く最近のアメリカの留学生の親たちは、本当に大変である。確かにアメリカの大学は素晴らしいが、今の授業料は異常である。

12月に約600万円を支払い息子が来年5月に無事に卒業することができれば、私も晴れて教育費の支払いから卒業することが出来るのだ。その日は近い。頑張っている息子のためにも気を引き締めて、頑張っていこう。

さて今回のボストンの旅であらためて感じたことであるが、アメリカ人は楽観的であるということ。コロナを気にする人は皆無で誰もマスクはしていない、もうみんな感染しているのだろう(笑)日本人のように先行きを過度に心配する人は少ないし、基本的に何とかなるだろうというマインドを持っている、そんな気がするのだ。多少景気が悪くなろうと、ヤンキース戦は絶対に見に行くし、BARでみんな楽しく飲んでいる。

『人生を楽しむ』ということが私にとって重要なテーマであるが、それに関しては、アメリカ人から学ぶ点が多いと感じた。今回の旅では、息子が通うバーの常連アダムさんと親しくなった。アダムさんは週3回必ずBARで飲んでいるそうでナイスガイであった。近い将来、ボストンのThe corner Tavernのカウンターでアダムさんと再会したいものだ。


2022/06/29

長期投資の秘訣

6月の異例の猛暑の中、マーケットもあいかわらず落ち着かない展開が続いている。

私も日々、お客さまからの資産運用の相談に対応しているのだが、その中で最も多い質問は、投資タイミングに関することである。今は投資タイミングなのか?それとも、まだ下がるのか?といった質問である。

もちろんお客様の一番安いところで買いたい気持ちは良くわかる。しかし現実的に一番底の価格を見極めることが出来る人はいないだろう。専門家と素人で予想の精度に違いはあれど専門家の予想もほとんど当たらないのが現実である。よって短期的なマーケットの値動きを予想することは、長期投資家にとってあまり重要ではないのだ。

あらためてであるが長期投資においては、投資タイミングを考えるのではなく、長期に投資を継続することが大切である。

【Time,not timing】 

タイミングではなく、タイムが重要であることをキャピタルグループの動画は分かりやすく解説している。当社のお客様、すべての投資家に是非、見ていただきたい5分程度の価値あるコンテンツである。

キャピタルグループ動画




2022/05/21

世界経済の減速

誰の目にも明らかであるが2022年の世界経済は、問題が山積しており、非常に厳しい状況である。世界経済は、リセッションに陥るのか?それともソフトランディングできるのか?が焦点である。

ゼロコロナによる中国経済の急減速、ウクライナ問題、世界的なインフレ、アメリカの金融引き締め等、複合的な要素が絡み合い、マーケットは大変動している。個人的には2000年から2002年にかけて先進国の株式指数は3年連続で二桁下落したことを思い出す。

2000年から2001年にかけてのITバブル崩壊、2001年9月世界同時多発テロ事件、2002年のサーズ、その後、9.11の報復としてイラク戦争につながっていくわけだが、振り返ると世界経済、マーケットにおいても大変な3年間であった。地政学リスクとバブル崩壊、パンデミックというところも今の状況と似ている。2003年から、その後マーケットは回復したものの2008年リーマンショックや2011年欧州債務危機など、マーケットは上昇と下落を繰り返し、投資家を翻弄してきた。上昇と下落に一喜一憂していては、長期投資の継続は困難である。

下がっている時は、何よりも忍耐が必要である。大きく下落したとしても、適切なポートフォリオ、良質な投資信託であれば、どこかで下げ止まり時間とともに反発していく。もちろんダメな投資信託の場合は、下がったままで戻らない可能性もあるが。

このような世界経済が減速しているマーケット環境においては、やはり資産配分が重要であることを再認識する。ポートフォリオにしっかりと債券を組み込むこと、このような状況下で強い企業を見極めてくれる運用会社、投資信託を選択することが大切である。ただしどんな良い投資信託でもずっと勝ち続けることは不可能であり、上がったり下がったりを繰り返し、長期でみれば右肩上がりとなっていくのである。

それから昨今の円安を気にするお客さまもいるが、円が高くなるまで待って投資をするというのはナンセンスである。長期投資のリターンの大部分は、株式の値上がり益、配当、債券の値上がり、利息であるが投資信託という箱を使って、これらのリターンを複利で運用することが可能となるのだ。

当社のお客さまには申し上げているが、運用期間は生きている限りであり、運用を継続しながら必要な資金を取り崩していくのが良いと考えている。上がったから売却したり、下がって慌てて売却するのでは長期のリターンは得られない。一般的にはそのような未熟な投資家が多いと思うがお金が必要になった時に必要な金額を売却すれば、生きている限り運用を継続することが可能である。60歳の方が100歳まで生きれば40年間運用が可能である。30歳の方は70年である。ウォーレンバフェットは10歳で投資を始めて90歳を超える今も現役バリバリのまさにメジャーリーガーである。

当社にも70歳を超えるお客さまも多数いらっしゃって長期投資を実践している。お客様のご両親、私の両親も長期投資を実践している。

高校で投資教育が始まるようで興味深いが、単に金融知識を持っているだけではダメで長期投資を継続するための忍耐力、強いハートが必要である。もちろん勉強することも良いことであるが、悪いマーケット環境にも耐えられる強い精神力が必要である。残念ながら、メジャーリーガーのようなタフな個人投資家は、なかなかいない。実際に投資の世界のメジャーリーガーを育てることは難しいだろう。

よって、あらためてであるが、私たちファイナンシャルアドバイザーがお客様の長期投資をしっかりサポートしなければならない。そんなことを愛媛に出張中に当社社長と議論し、お客様の不安を少しでもやわらげられる体制を早急に整備していくことにした。当社のお客様に会社としてどのような情報を提供するのか?長期投資を継続していただくためのサービスを準備している。数か月内に準備したいと考えている。


お客さまに関しては、投資に関するご質問などお気軽にご連絡ください。必要であれば訪問しますし、リモートでのミーティングも対応させていただきます。引き続き、よろしくお願いいたします。

2022/03/08

投資を継続すること

2022年2月24日、ロシアがウクライナに侵攻して12日が経過。コロナ禍で不安定であった世界をさらに大混乱させ第3次世界大戦というフレーズが聞こえるほどの状況である。

必然的に世界経済と金融市場には大嵐が吹いており、世界株式は一部の原油関連株や兵器関連株などを除き、大きく売られ下げている。当たり前のことであるが、経済もマーケットも社会基盤の上に立っており、戦争によって社会の安定が損なわれれば経済やマーケットに大きなダメージを与える。

現時点でリーマンショックのような金融危機に陥る可能性は低いと考えるが、未だ事態の収束が見えないこと、世界的なインフレやアメリカの利上げ、世界経済減速など複合的な要因が絡んでおり、マーケットは不安定な状態が継続することは間違いない。

独裁者プーチンが一方的に戦争を仕掛けたのに対して、アメリカを含めた西側諸国は意外と無力であり、この問題に直接介入して抑止することができないことが明らかになった。ロシアと近い中国の対応も微妙であり、まさにイアン・ブレマーのいう『Gゼロの世界』である。

ロシアに対する経済制裁によってもプーチンの暴走を止めることは出来ず、むしろプーチンは核抑止部隊を動員するなど核をちらつかせて自身の妄想を完遂しようとしている。世界史に残る大悪党プーチンの戦争がどのような結末を迎えるのか?もちろん私には全く予想が出来ないが、今回のような想定外の事態が起きた場合に個人投資家はどのように考えるべきなのか?

最初に結論から述べたいと思うが、『投資を継続すること』こそが一番大切であると考えている。当社のお客様からも少数であるが以下のような質問を受けることがある。

『一旦、ポートフォリオ運用を解消(売却)して、マーケットが落ち着いてからまた投資を再開したほうが良いのでは?』

私の答えは、NOである。投資を一旦やめてマーケットが落ち着いてからまた再開するというアイデアはなんとなく聞こえはいいが、そんなことが出来れば苦労はしないし、事実そのような都合の良いやり方は不可能である。残念ながら、投資はそんなに単純ではないし、簡単ではないのだ。

投資タイミングを意識してトレードすることは、そもそも投資ではなく投機である。

私たちの考える投資の王道は、適切なポートフォリオを構築したうえで質の高い投資信託を活用し運用を継続すること、BUY&HOLDが基本である。

当社が創業した2006年以降で考えてもリーマンショック、欧州債務危機、東日本大震災、ブレグジット、米中貿易摩擦、コロナショックなど様々な危機がマーケットを襲った。今、思い出しても、そのような危機を乗り越えて投資を継続したお客様はかなり忍耐を要したことは間違いない。忍耐力を発揮し、長期で適切な投資を継続すること、さまざまなリスクを乗り越え、忍耐という代償を払った投資家にリターン(褒美)はついてくる。

最近読んだ世界的ベストセラー『サイコロジー・オブ・マネー』モーガン・ハウセル著に次のように書かれているので紹介したい。

■投資の神様は代償を支払わずにリターンを求める者を嫌う

投資の世界には『株は長期的に保有すべし』という格言がある。

たしかに、これは良いアドバイスだ。

しかし、株が暴落しているときに長期的な視点を持ち続けるのは、とても難しい。

価値あるものがすべてそうであるように投資の成功にも代償が必要だ。

中略 

投資の代償とは、ボラティリティや恐怖、疑念、不確実性、後悔などに耐えることだ。

これらは、実際に投資を始めてリアルタイムでさまざまな問題にぶち当たるまでは、その存在に気づかないものばかりだ。

『投資で成功するには代償が必要である』という認識がないと、タダで何かを手に入れようという心理が働く。それは万引きと同じだ。


当社バリューマネジメントのお客さまは、職業、年収、年齢、投資金額、投資年数、投資経験、リスク許容度などさまざまであり、今回の事態においても感じ方はさまざまであると思う。特に投資経験年数の浅いお客様は、初めての下落に大きな不安を覚えているだろう。投資経験年数の長いお客さまももちろん不安だろう。しかし、不安や恐怖に駆られて投資をストップすることは、賢明ではない。それは避けるべきである。

今回、マーケットの調整にどれくらいの期間を要するか?は誰にも分からないが、マーケットはどこかで下げ止まり、反転し、上昇基調になる。それが資本主義社会であり、マーケットの歴史である。悲観的な情報が多い中では、業績の良い企業の株価も下がり割安となる可能性が高い。このようなピンチはチャンス(投資機会)でもあり、過去の危機においても投資を継続した人だけがリターンを出し、投資をストップした人だけが損失を出したのだ。

あらためて『投資を継続すること』が何よりも重要であることを声を大にしてお伝えしたい。ファイナンシャルアドバイザーとして投資を継続する当社のお客様を全力でサポートし、この危機を一緒に乗り越えていきたい。




2022/01/13

米国金融政策とオミクロン株

 年末年始は久しぶりに家族で横浜で過ごすことができた。

そして1月5日から妻と一時帰国中の息子と3人で早朝便で鹿児島に。個人的に歴史とおいしい料理と酒がある鹿児島は大好きな街である。鹿児島空港到着後、朝からレンタカーで鹿児島市内と桜島と温泉、翌日は知覧特攻会館と武家屋敷を観光し、霧島神社を経由してレンタカー返却のため空港方面に向かっていると、東京の雪で着陸不能となり羽田便が欠航となった。仕方なくレンタカーを延長し、霧島にホテルを予約。

霧島温泉と鹿児島の郷土料理を満喫して、翌日の午前便で帰ることに。結果的に2泊3日の楽しい旅であったが、羽田空港から予想外の事態が待っていた。雪は殆ど溶けていたように見えたが、首都高速の入口は殆ど閉鎖され、羽田周辺は前日からのマヒ状態は解消されておらず大渋滞、大混乱となっていた。

結局、羽田空港から自宅まで車で通常30分のところ4時間超もかかった。急用があった妻と息子は車から降りて電車で帰宅。私は一人閉じ込められた車内であらためて思った。

『桜島と共存する鹿児島と比べて、東京は、なんと脆弱な都市なんだろう。将来は都会を離れて地方でのんびり暮らしたい』と。大渋滞による疲労で霧島温泉の効能も吹っ飛んでしまったような気がするが、私の新年はそんなスタートであった。

さて2022年のマーケットは、どうなるのだろう?

現在進行しているオミクロン株の世界的な感染拡大も懸念材料であるが、個人的には、アメリカの金融政策により注目せざるを得ない。

FRBは3月にテーパリング(量的緩和縮小)を終了し、6月に利上げに踏み切る可能性が高くなってきた。いや、もしかすると3月の利上げの可能性も否定できない。年内3回もしくは4回とのタカ派的な利上げ予想もあり、パウエル議長は、今後のインフレ動向を注視しながら、マーケットと対話しつつ最適な利上げのタイミングを模索していくことになりそうだ。

よって2022年前半のマーケットは、FRBの金融政策を見ながら神経質な展開が予想されることは間違いないのだが、このようにマーケットの上値が重い状況においては、インデックスファンドよりもアクティブファンド(もちろん良質なファンド)が安全であると考える。マーケットが悪い時にどれくらい下値抵抗力を発揮するか?これがファンドの価値であり、ポートフォリオマネージャーの銘柄選択(目利き)がより重要となるだろう。

似たような例を挙げるならば、高度成長期には経済全体のパイが大きくなったため、大した企業でなくとも利益を上げることが出来た。しかし成熟時代となり経済のパイが大きくならない世界では、強い企業と弱い企業の格差はより大きくなる。近年において典型的な例が、GAFAMやテスラ、ネットフリックスに代表される米国テック企業の巨大化であるが、今後も成熟期において強い企業はますます強くなり、弱い企業との格差はより広がっていく可能性が高い。世界では次なるアマゾンやテスラが出てくることは確実で、そのような成長企業を発掘してくれる運用会社を選別していくことが大切である。

格差拡大は企業だけでなく個人や国家にも言えることである。個人も組織も国家にも調子がいい時と悪い時がある。ずっと順風満帆なんてことはありえない。よって悪い時、ピンチにおいて、どのように対処するかが重要であり、その人や組織あるいは国家の価値が試される時なのだ。

2022年の中頃にはアメリカの利上げの方向がはっきりしてくると思うが、アメリカが適切なタイミングで利上げし、オミクロン株を含めたコロナの収束が進むようであれば世界の株式市場は、回復基調に戻ってくる可能性が高いと考えている。

今年は、北京オリンピック、参議院選挙、アメリカの中間選挙などのイベントを控えているが、あまりこれらのイベントはマーケットに影響はないだろう。やはり米国の金融政策とオミクロン株への各国の対応を含めたコロナの動向がマーケット全体に影響を与えそうである。


Bostonでインフレを実感

  昨年7月に続いて先週プライベートで ボストンに一週間程度滞在したのだが、あらためてアメリカのインフレと円安ドル高を実感した。昨年よりも確実に物価は高くなっていた。 まず家族4人でノースエンドのイタリアン人街にあるTrattoria I’ll Paninoに行った時のこと。 炭...