2022年2月24日、ロシアがウクライナに侵攻して12日が経過。コロナ禍で不安定であった世界をさらに大混乱させ第3次世界大戦というフレーズが聞こえるほどの状況である。
必然的に世界経済と金融市場には大嵐が吹いており、世界株式は一部の原油関連株や兵器関連株などを除き、大きく売られ下げている。当たり前のことであるが、経済もマーケットも社会基盤の上に立っており、戦争によって社会の安定が損なわれれば経済やマーケットに大きなダメージを与える。
現時点でリーマンショックのような金融危機に陥る可能性は低いと考えるが、未だ事態の収束が見えないこと、世界的なインフレやアメリカの利上げ、世界経済減速など複合的な要因が絡んでおり、マーケットは不安定な状態が継続することは間違いない。
独裁者プーチンが一方的に戦争を仕掛けたのに対して、アメリカを含めた西側諸国は意外と無力であり、この問題に直接介入して抑止することができないことが明らかになった。ロシアと近い中国の対応も微妙であり、まさにイアン・ブレマーのいう『Gゼロの世界』である。
ロシアに対する経済制裁によってもプーチンの暴走を止めることは出来ず、むしろプーチンは核抑止部隊を動員するなど核をちらつかせて自身の妄想を完遂しようとしている。世界史に残る大悪党プーチンの戦争がどのような結末を迎えるのか?もちろん私には全く予想が出来ないが、今回のような想定外の事態が起きた場合に個人投資家はどのように考えるべきなのか?
最初に結論から述べたいと思うが、『投資を継続すること』こそが一番大切であると考えている。当社のお客様からも少数であるが以下のような質問を受けることがある。
『一旦、ポートフォリオ運用を解消(売却)して、マーケットが落ち着いてからまた投資を再開したほうが良いのでは?』
私の答えは、NOである。投資を一旦やめてマーケットが落ち着いてからまた再開するというアイデアはなんとなく聞こえはいいが、そんなことが出来れば苦労はしないし、事実そのような都合の良いやり方は不可能である。残念ながら、投資はそんなに単純ではないし、簡単ではないのだ。
投資タイミングを意識してトレードすることは、そもそも投資ではなく投機である。
私たちの考える投資の王道は、適切なポートフォリオを構築したうえで質の高い投資信託を活用し運用を継続すること、BUY&HOLDが基本である。
当社が創業した2006年以降で考えてもリーマンショック、欧州債務危機、東日本大震災、ブレグジット、米中貿易摩擦、コロナショックなど様々な危機がマーケットを襲った。今、思い出しても、そのような危機を乗り越えて投資を継続したお客様はかなり忍耐を要したことは間違いない。忍耐力を発揮し、長期で適切な投資を継続すること、さまざまなリスクを乗り越え、忍耐という代償を払った投資家にリターン(褒美)はついてくる。
最近読んだ世界的ベストセラー『サイコロジー・オブ・マネー』モーガン・ハウセル著に次のように書かれているので紹介したい。
■投資の神様は代償を支払わずにリターンを求める者を嫌う
投資の世界には『株は長期的に保有すべし』という格言がある。
たしかに、これは良いアドバイスだ。
しかし、株が暴落しているときに長期的な視点を持ち続けるのは、とても難しい。
価値あるものがすべてそうであるように投資の成功にも代償が必要だ。
中略
投資の代償とは、ボラティリティや恐怖、疑念、不確実性、後悔などに耐えることだ。
これらは、実際に投資を始めてリアルタイムでさまざまな問題にぶち当たるまでは、その存在に気づかないものばかりだ。
『投資で成功するには代償が必要である』という認識がないと、タダで何かを手に入れようという心理が働く。それは万引きと同じだ。
当社バリューマネジメントのお客さまは、職業、年収、年齢、投資金額、投資年数、投資経験、リスク許容度などさまざまであり、今回の事態においても感じ方はさまざまであると思う。特に投資経験年数の浅いお客様は、初めての下落に大きな不安を覚えているだろう。投資経験年数の長いお客さまももちろん不安だろう。しかし、不安や恐怖に駆られて投資をストップすることは、賢明ではない。それは避けるべきである。
今回、マーケットの調整にどれくらいの期間を要するか?は誰にも分からないが、マーケットはどこかで下げ止まり、反転し、上昇基調になる。それが資本主義社会であり、マーケットの歴史である。悲観的な情報が多い中では、業績の良い企業の株価も下がり割安となる可能性が高い。このようなピンチはチャンス(投資機会)でもあり、過去の危機においても投資を継続した人だけがリターンを出し、投資をストップした人だけが損失を出したのだ。
あらためて『投資を継続すること』が何よりも重要であることを声を大にしてお伝えしたい。ファイナンシャルアドバイザーとして投資を継続する当社のお客様を全力でサポートし、この危機を一緒に乗り越えていきたい。